HDK STYLE BOOK
 LANGLITZ LEATHERS
ラングリッツレザーズの検討

ラングリッツレザーズのウエアといえば、お馴染みのロゴの入ったロンTスエット がありますが、本命レザージャケットは、現実的に手にいれることの難しい憧れのモーターサイクルウエアです。
最近、気になっており、ラングリッツレザーズを扱うショップに下見に行ってきました。
...やはり、いいですね。ラングリッツレザーズのジャケット...。

しかし、具体的に検討するにつれ、いくつかの疑問がわいてきました。

● スタイルは、何を選べばいいのか?
● レディメイドにするべきか?カスタムオーダーにするべきか?
● オプションはどうするのか?
● ポケットの数は? ポケットの位置は?
● 素材は?
等...

とてもじゃないですが、その場で決められないことが多すぎることに気づき、ここは、じっくり、検討してみることにしました。
以下は、はじめてのラングリッツレザーズのジャケットを検討し着用するまでの流れです。

ラングリッツレザーズの検討〜着用までの流れ
Making of a "Langlitz Leathers".
ラングリッツレザーズ検討フロー



ラングリッツレザーズとは? (参考:LANGLITZ LEATHERS HOME PAGE

ーターサイクルウエアメーカー、「ラングリッツレザーズ」は、今も、50年前と同じやり方でモータサイクル・ウエアを造り続けている。
創始者、ロスラングリッツが最上のモータサイクル・ウエアに求めた結論。 その遺産を頑なに守り続けることは、ラングリッツレザーズの使命である。 チープなコピー製品は、数限りなくあるが、未だに機能、品質、オリジナル性でラングリッツレザーズを超えるものはない。

界史上最高、究極のモーターサイクルウエア。 徹底的に厳選されたマテリアル

1919年、ラングリッツレザーズの創始者ロスラングリッツ(以下ROSSと呼ぶ)は生まれた。
ROSSは、早くからモーターサイクルに目覚める。

17歳のとき、ハーレーに乗ったROSSは、不運にも、右脚切断の交通事故に遭う。 ドクターは、ROSSに、モーターサイクルを諦めるよう告げた。 しかし、ROSSはモーターサイクルを諦めなかった。病院を抜け出し、バイクに乗ることで、バイクに対する頑なな姿勢を証明してみせた。

二次世界大戦のさなか、ROSSはオレゴン州のグローブ工場の職につき、レザーワークのスキルを学ぶ。ROSSはそこで、持ち前の完璧主義と、プロフェッショナリズムを発揮することになる。

モノ造りに拘る彼は、詰めの甘い製品を買うのが我慢できなかった。自分で作れば、もっといいものができるのにと思った。カリフォルニアでオーダーしたモーターサイクルジャケットを受取ったときも、その出来栄えにひどく失望した。 そして、ROSSは、自分自身のために、モータサイクルジャケットの製作に着手する。 ROSSが造るファーストジャケットの誕生である。 まさしく「Good」な出来栄えであり、ROSSの多くの友人達が同様のジャケットを欲しがった。

年間、ジャケット製作に係るベースを培った後、ROSSは、本業として店を構えることを決意する。そして、1947年「THE LEATHER GARMENT SHOP」をオープン。看板には「SPEEDWAY TOGS」の名前が掲げられた。

1950年、ROSSの評判は、世間に知れ渡ることとなり、ショップの名前を、「LANGLITZ LEATHERS」に変更する。そしてモーターサイクルマガジンに、「スポーツ、ツーリングライダー向け工場直販」の広告をだし、高品質のカスタムレザーをリーズナブルな価格で提供することとなった。

LANGLITZ LEATHERSは、ファミリービジネスである。ROSSのワイフPinky。3人娘のNickiJackie、そしてJudy 。 1983年にROSSが引退した後、Nickiの息子のTomが、生産部門を担当。Jackieは、Chief Cutterとして活躍している。そしてJackieの夫のDave Hansen は、ラングリッツレザーズのマネージャーである。

3000フィートの小さなショップで、15人のスタッフが、製作するウエアは1日6着と少ない。半分がストックパターンのレディメイド。そして半分がメジャーメント・オーダーメイドであり、いつも長期のバックオーダーを抱えている。

1940年にROSSが製作したモータサイクルジャケットの基本スタイルは、マイナーチェンジこそ行われているが、現行製品に息づいている。

●コロンビアスタイル
ROSSが1940年に製作したファーストジャケット。ラングリッツレザーズのラインナップにおけるフラッグシップモデルである。 20世紀中ごろのトラディショナルスタイル。クラシカルでかっこよく、そして極めて実用的である。ラングリッツレザーズが作るポリスジャケットのベースにもなっている。 オプションとして、ショルダーパッド、エルボーパッド、7つの追加ポケット、Sam Browne スタイルベルトをつけることが可能であり、そのようなフルオプション装備の、究極のプロテクションを装備したモデルを、パッデド・ポケット・コロンビアという。 今日のコロンビアスタイルは、ラングリッツレザーズにおいて最もポピュラーなジャケットといえる。
COLUMBIA style

●キャスケードスタイル
スポーツ・ツーリングジャケット。保守的でクリーンで、気張らないスタイル。オプションでパッドをつけることも可能。
CASCADE style

●その他
シャツスタイルのティンバーライン、レザーパンツのウェスタン、フライトジャケット、ベスト、ミットなどを製作。
また自社製作の困難なモーターサイクル関連グッズについては外注品を提供している。WESCO社製シューズ。アイダホレザー社製のベルト、サドルバッグ等。 そのクオリティは、ラングリッツレザーズが認める、いわばお墨つきの品々である。



ベース・スタイルの検討
モーターサイクルジャケットのベーススタイルとしては、コロンビア、キャスケード、特殊なものとしては、シャツスタイルのティンバーラインが対象になる。 はじめてのラングリッツということで、最もポピュラーなコロンビアをベースとすることにした。 気張らないキャスケードには実用性を感じるし、ティンバーラインを大幅に改造したジャケットも気になるのだが、個人的には2着目以降からの選択肢になるだろう。



オプションの検討
ラングリッツレザーズをカスタムオーダーする場合、パッド、ポケット、ベルト、ファー、フリンジ、、と多くのオプションが用意されている。また、エリのデザインをスタンドカラーに変えたり、フロントジッパーの位置をシングルスタイルに変更したり、サイドを編み上げにしたり、色を変更したりといった、自由自在のオーダーが可能だ。

フルオプション装備のパッデド・ポケット・コロンビアは、カスタムメイドとしての充実感にあふれているし、ある意味究極かもしれない。 しかし、ここは一生涯というロングスパンで四季を通して着るレザージャケットというスタンスに立ち戻り、できるだけ飽きこのない、シンプルなデザインでいくことにした。いつも、「この革ジャンは、1年中着てやるんだ」と思って買うが、現実は、そのとおりにはならないのだけれど。
シンプルということであれば、オプションなし、ベルトなしの、ベースそのものが、いさぎよい。 しかし、冬場は、エリにファーがついていたほうがいいし、特別な仕様が、どこか1箇所欲しい。
いろいろ 検討した結論として、コロンビアのベーススタイルに以下の仕様を追加・選択することにした。

<追加オプション(有料)>
<選択オプション(無料)>


マテリアルの検討
マテリアルには牛革、山羊革、そして数は少ないが馬革がある。 ベーシックなラングリッツらしさを求めるのであれば、ここは、やはりヘビーな牛革だろう。

馬革はどうか?馴染んだ後の独特の風合いには、やはりひかれるものがあるが、馴染むまで、数年は苦労するのではないか?

自分が最も気になる、マテリアルは、山羊革だ。ゴートスキンのモーターサイクルジャケットというのはあまり聞かないし、ラングリッツが、それを用意していることに気づいたのは、最近のことだ。
牛革、馬革のジャケットは持っているが、ゴートスキンは持っていない。だから気になるのかもしれない。
ヘビー加減充満の牛革と比べて、柔らかめのなめしは、魅力的だ。 モータサイクルジャケットではないが、以前、ゴートスキンのG1を検討したことがある。ゴートスキンは、なめしの具合によって、かなり違いがでるようだ。堅いなめしの山羊革は、ガチンガチンで本当に頑固だ。何年着てもなじまないらしい。
どのような、なめしが良いか悪いか、一概に言えないと思うし、詳しくないのだが、ラングリッツの山羊革を直接、手に触れて感じたことは、「おっ。着心地よさそう...。」ということだ。

結論として、最も気になる山羊革を選択することとした。



メジャーメンツ (measurements)
オーダーの際、最も注意すべき点は、メジャーメンツ(measurements=採寸)であろう。 12箇所にわたるサイズをインチ指定でオーダーしなければならない。 ラングリッツレザーズのマニュアルに従ってメジャーリングするが、採寸を誤ったり、何らかの考慮が不足している場合には、思わぬ結果になることが予想される。逆に、よく考慮されたメジャーメントでオーダーすれば、まさしく自分仕様のモーターサイクルジャケットを手にいれることができる。
メジャーメントは、素人には難しく、ショップでは、少なくても専門の研修をうけたスタッフが担当するようだ。作るのは、アメリカのラングリッツレザーズであるが、国内でオーダーする場合は、やはり、専門の技術や、ある程度の経験則を持ったショップでオーダーするにこしたことはない。また細かな要望を告げる場合、日本語の話せる国内であれば安心だ。
measurement
メジャーメントは、Tシャツ1枚になってから行う。
そして、、Tシャツ1枚の状態で、12箇所すべてを測定してから、フィット感を指定する。
たとえば、トレーナー1枚 着てジャストなフィット感になるような指定の場合「ミディアム」を指定することになる。
自分の場合、ややタイト目に着ることに慣れている。ただ、現在愛用しているヴァンソンの場合、厚手のキルティングの裏地がつくため、インナーはTシャツ1枚で我慢できるシチュエーションが多いが、ラングリッツの場合、裏地はナイロン1枚のため、 トレーナー1枚着込むシチュエーションが多くなることを想定し、「ミディアム」を指定。

なお、タイトめに着るか、ルーズめに着るかの好みをメジャーメントの段階でも考慮できる。
ショップで、レディメイドの何種類かのサイズのジャケットを試着し、フィット感をイメージしながら、測定個所によっては何度もやり直しながらサイズを決めていった。 図中の番号7番8番4番のサイズは、とくに吟味した個所である。

7番・・・肩幅。肩を落とし気味にするか、内側に入れるのか、あるいはレギュラーにするのかで、測り方が違ってくる。→レギュラーを指定。図と同じイメージか、やや内側のイメージである。

8番・・・後丈。尾てい骨のやや上まで隠れる位置=標準よりやや上。標準といわれる長さは、現在着ているヴァンソンE38インチとほとんど変わらない位置であるが、その場合には、FXSTCのライディングスタイルでシートの背もたれによくあたり調子が悪いため、やや短めとした。

4番・・・前丈。ジーンズのベルトループの下が隠れる位置。

この他、12番(腕周り)は、力を入れた状態を測る。また、10番や6番などの風が進入する部分はタイトめに測る考慮が必要で、ロンTを着ている場合は当然、手首など素肌を露出させて測るし、腕時計のサイズも考慮しない。5番の袖丈は、手の甲の半分にかかる位置とした。



見積り
オプションやマテリアルなどの仕様を固めた後、見積もりをもらう。体格が微妙な場合、見積もりはメジャーメントの後になる。
見積もりは、思った以上の金額になってしまった。どうやら山羊革が響いているようだ。(山羊革は牛革よりも2万円程高かった。)

悩んだが、「自分の価値観で、山羊革のラングリッツを四季を通して一生涯着る」という決意を固め、そのままの仕様でオーダーすることにした。



オーダー
オーダーから完成までの目安は、90日と言われている。実際にどのくらいの期間がかかるかは、オーダーしてから30日後に詳細がわかるらしい。
ただし、ショップでは、「できるだけ急ぎで作ってもらうよう頼んでみます。」と言ってくれた。
’01年11月11日オーダー。

費用の半金を納め納品を待つ。 完成が楽しみです。


納品
1月下旬、ラングリッツレザー完成の連絡が入る。年をまたぐオーダーの場合、工場が12月のクリスマス休暇をはさむため、通常より遅くなる傾向があると聞くが、それを考慮すると、かなり早い完成である。

早速、仕上がりを確認。

袖丈、着丈、手首まわりは、ピッタリ。
ウエストは、サイドの編みを半分締めて、ちょうど快適なサイズ。

肩、胸、背中まわりは、既製品を着たときに感じる窮屈感がなく、若干物足りない気も残るが、非常に楽。
厚みのある(約1.8mm)ヘビー・ゴート・スキンは、非常にソフトで、思ったよりも軽く、ナイロンジャケットにひけをとらないと思えるほど着やすい。

以下、 ディテールの紹介です。
前面


背面

フロント腹部に、水平に入れたステッチ


ウエスト、サイドの編み(標準仕様)


エリのファー背面部分のディテール。

ベルトループ、ステッチのディテール。

袖のファスナーの位置。


脇の下のディテール。通気口は3箇所。

フロントジッパーは、スコーヴィル製。その他は、タロン製。

タグは左胸内ポケットの外側。

内ポケットの内側に、ネーム、製造年月、番号。

左腕下部に追加ポケット。ハイウエイカードが入る。


着用
着用して、感じたのは、最初から非常に着やすいということだ。まるでナイロンジャケットのように、肩がこらない。山羊革の肌触りも新鮮だ。ヘビーなSamBrowneスタイルベルトが付いているが、これを外して着れば、もっと気軽だろう。
ラングリッツを「四季を通じて一生涯かけて、体になじませる」ような気負いは不要かもしれない。
「普通に、四季を通じて着て、一生涯」という感じに、着ていける気がした。



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