レイク & トレール
Harley-Davidson Rake & Trai

ハーレーのステアリングシステムのディメンションは、大きく以下の3ポイントで把握することができます。

図.ステアリングシステムのディメンション
スケールは、ブレーキロータの直径(10inch)から導いた長さ。

1977年、ウイリー・Gは、ローライダーのロー&ロングスタイルを、標準30度レイクフレームを加工することなく、2インチのフロントフォーク延長とオフセット、リアサスのローダウンで実現したといわれている。トレールのカタログスペックは不明。

Offset(オフセット)Rake(レイク)Trail(トレール)の3点の他にも、ホイールの径、フロントフォーク、リアサスペンション、積載重量や搭乗者の体重により、ステアリングシステムのディメンションが変わってきます。



以下の図は、標準30度レイクフレームに、ロングフォークを装着したイメージです。 レイクツリーにより約+15度レイクさせています。
レイクツリーを使わずに、図のようなロングフォークを装着した場合には、車体が大きく前に持ち上がる格好となります。
その逆で、フロントフォークを延長せずにレイクさせる場合には、前方がローダウンすることになります。この場合、地面と平行を保つためには、リアサスをローダウンする等の考慮が必要になります。

レイクツリーで極端にレイクさせた結果、トレールは負の値(マイナストレール)となります。ハンドリングが不安定になり、かなり危険な状態といえます。





以下の図は、標準30度レイクフレームのネック部を約+15度レイクさせ、ロングフォークを装着したイメージです。

結果として、トレールが適正値を上回ることになります。高速時の直進安定性は増すものの、低速時には乗りにくい、曲がらないバイクになってしまいます。




ロングフォーク等によるスタイルの変更に伴い、前後の車高バランスや、適正なトレールを確保するためには、1箇所の調整だけでなく、複数箇所を調整する必要があるといえそうです。
以下、各箇所の特性を表にしてみました。

各箇所の特性
※各箇所のサイズ等が UP()またはDOWN()した場合に、どう作用するかを示します。
DIMENTION UP() DOWN() SAMPLE
Trail(トレール) 直進安定性がUP()
コーナーへのアプローチがDOWN()
直進安定性がDOWN()
コーナーへのアプローチがUP()
レーサーレプリカ 3.7インチ前後。
国産ネイキッド 4インチ前後。
ハーレー 5インチ前後。
Rake(キャスター角) トレールがUP()
ハンドルの切れ角がDOWN()
車高(前)がDOWN()
車重(前)がUP()
トレールがDOWN()
ハンドルの切れ角がUP()
車高(前)がUP()
車重(前)がDOWN()
レーサーレプリカ 25度 前後。
国産ネイキッド 27度 前後。
ハーレー 30度 前後。
・キャスター角0度の場合、ハンドル1度の切れでタイヤが1度動く。
・キャスター角45度の場合、ハンドル1度の切れでタイヤが0.5度動く。
フォークオフセット トレールがDOWN()
車高(前)がDOWN()
車重(前)がUP()
キャスター角がDOWN()
トレールがUP()
車高(前)がUP()
車重(前)がDOWN()
キャスター角がUP()
レーサーレプリカで1.2インチ (トレールを稼ぐために切詰めた結果。)
ハーレーで2.4インチ
フォークオフセットレイク トレールがDOWN()
車高(前)がDOWN()
車重(前)がUP()
キャスター角がDOWN()
トレールがUP()
車高(前)がUP()
車重(前)がDOWN()
キャスター角がUP()
ハーレーにレイクツリーをつけた場合、トレールがゼロになる角度は6度前後。
フロントホイールの径 トレールがUP()
車高(前)がUP()
車重(前)がDOWN()
キャスター角がUP()
トレールがDOWN()
車高(前)がDOWN()
車重(前)がUP()
キャスター角がDOWN()
 
フロントサス トレールがUP()
車高(前)がUP()
車重(前)がDOWN()
キャスター角がUP()
トレールがDOWN()
車高(前)がDOWN()
車重(前)がUP()
キャスター角がDOWN()
 
リアホイールの径 トレールがDOWN()
車高(後)がUP()
車重(後)がDOWN()
キャスター角がDOWN()
トレールがUP()
車高(後)がDOWN()
車重(後)がUP()
キャスター角がUP()
 
リアサス トレールがDOWN()
車高(後)がUP()
車重(後)がDOWN()
キャスター角がDOWN()
トレールがUP()
車高(後)がDOWN()
車重(後)がUP()
キャスター角がUP()
 


ハーレーの適正トレールは、一般的に、5インチ前後と言われています。
これは、ブレーキロータの直径(ショベルで10インチ、エボリューション以降で11.5インチ)の半分の長さと一致する値です。
以下は、カタログスペックでほぼ5インチのトレールを持つ1999年型FXSTCソフテイルカスタムを例にしたイメージです。

トレールと、ブレーキロータの半径が、ほぼ一致。

メモ1.トレールとオフセットの関係
●FXSTCのRake 34度
●オフセット 3.1インチと仮定
●タイヤMH90(2.75")21"の半径 = (0.9*2.75*2+21)/2
トレール = tanキャスター角×(タイヤ半径 - オフセット量 / sinキャスター角)
これをエクセル等で計算すると (角度は、PI()/180 を掛けてラジアンに変換)
= TAN(34*PI()/180)*((0.9*2.75*2+21)/2-3.1/SIN(34*PI()/180))
= 5.0 インチ



メモ2.タイヤ径、フォーク延長、トレールの関係
タイヤの半径をXインチダウンさせる場合、 キャスター角を保つためには、 リアをXインチローダウンさせるか、 フロントフォークを、X/cosキャスター角(インチ)延長する必要がある。
リアをローダウンする場合には、トレールは tanキャスター角*X(インチ)減少することになる。

●タイヤMH90(2.75")21" → MT90(5.10")16"の変更
インチダウン=(0.9*2.75*2+21)/2 - (0.9*5.1*2+16)/2
=0.385 インチ
フォーク延長=0.385/COS(34*PI()/180)
=0.464インチ延長することでキャスター角、トレールへの影響はゼロとなる。

リアをローダウンする場合には、キャスター角の影響はゼロとなるが、、、
トレールダウン = TAN(34*PI()/180)*0.385
=0.260インチDOWN()
・・・トレールに対して若干影響する。(気にするほどではない)

メモ3.レイクツリーに伴うローダウンの試算
FXDWGを、トリプルツリーで6度レイクする場合
(変更前)
●キャスター角32度、フォーク角も32度と仮定
●フォーク長 33インチと仮定
(変更後)
●フォーク角38度(+6度レイク)
●フォーク長 33インチ(変更なし)

A.変更前の高さ(フォークトップ〜車軸の水平線)
= フォーク長 * cos32度
B.変更後の高さ(フォークトップ〜車軸の水平線)
= フォーク長 * cos38度

ローダウン = A−B
=33*COS(32*PI()/180)-33*COS(38*PI()/180)
=1.981インチ
=約2インチ フロント側DOWN()



以下は、最新のハーレーダビッドソン VRSCA V-RODのディメンションです。
写真をみると、フォークの傾斜が、従来モデルよりも寝かされていることに気づきます。 キャスター角34度、フォーク角38度(オフセット+4度)とすることで、3.9インチというトレールをだしています。 これは、高速のみならず、ストリート(街乗り)での走行も意識した数値といえると思います。
ちなみに、国産ネイキッド等、オールラウンドな走りのモデルは、この約4インチというトレールを採用しているようです。




以下は、微低速時でのシビアなハンドリングを要求される、トライアルバイクのイメージです。


フロントフォークを立てて、車軸をオフセットすることで、トレールを切詰めている。
このように特殊なバイクの場合でも、トレールが確保されている(マイナストレールにならない)ことに注目。



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トレールの測りかた Pat Kennedy Rake and Trail Tips,