
| audio lesson 13 補習の2 線材の話 |
| 線材についての話をまとめてみます。 小生が電線の材質によって音色が変わるという話を耳にしたのは随分以前のことですが、当時は信じられない感じでした。電気屋はどうしても理屈が先に立って、線材の抵抗と負荷抵抗から損失を計算し、この太さで十分、などと判断します。 ところが、ある大阪のアマチュアの方が「藤倉電線の電力用ケーブルをスピーカーに使用すると音がよくなる」と言っているという話を聞き、まさか、と思いながら、それまで使用していた50芯平行ビニール線を、30芯のものに交換してみたところ、確かに音が変わりました。 ここで面白かったのは、各々特徴があって、50芯が必ずしも良い評価ではなかったことです。古い記憶ですが ● 50芯 力強さはあるが分解能は劣る。 ● 30芯 分解能は良く、透明感もあるが線が細い。 この種の話(小生の実験ではない)は忽ち広がるもので、各メーカーは一斉にケーブルの開発に乗り出しました。 ケーブルの開発は材質の開発と、構造の開発に分かれます。 材質 最初に追求されたのが酸素の含有量を減らした「無酸素銅」です。 次に登場したのは日立電線の「LCOFC」です。この材料はそれまでの無酸素銅から更に進んで、結晶を縦方向に長くし、電流が結晶境界を通過することによる音の劣化を少なくするという発想です。 その次に現れたのがPCOCCという材料で、単結晶にして境界を無くするというもので、製造は古河電線です。 材料としては無酸素銅の純度をどんどん向上させるという方向も同時に進められていました。 これらの中で印象が深かったのはPCOCC線のアズキャスト線で、音の鮮やかさにはびっくりしたものです。アズキャスト線というのは、銅を線材にするとき、ダイスという穴を通して引き抜くのではなく、熔けた銅が自然にかたまって線の形になるのを待つという製法です。 これを最初にスピーカーコードにしたのがオーディオテクニカ社ですが、音の鮮度の良さはその当時のダントツの良品でした。 これらとほぼ平行して純銀を使用することが一部で行われるようになりましたが、これはコスト的になかなか普及はしませんでした。 ただ、その後ケーブルという商品の価格が高くなるにつれて銀のコストを吸収できるようになり、現在はかなり使用されるようになりました。 実験だけならいろんなことが行われて、アルミ線、ハンダの線などの音も聴きました。それらの試行錯誤を通して、現在使用されているのは ◆ 高純度無酸素銅 ◆ LCOFC ◆ PCOCC ◆ 銀 などです。ただ、ここしばらくは新しい材料は見かけません。 構造(スピーカーケーブル) 構造は昔から「平行型」が主流で、それは今も同じです。ただ、各社とも工夫を凝らしたことは事実で、次のようなものがあります。 ◆ スターカッド型 パイオニア社 4本の芯線を四角に並べ、対角同士を撚り合わせてホット/コールドに使用する。 ◆ 同軸型 日立電線ほか各社 ◆ スパイラル構造 (株)日本オーディオがパテントを持つもので、ホット側の芯線の絶縁物の上に、銅箔をゆるやかに螺旋状に巻いてコールド側にしたもの。 構造(ピンコード) ピンコードの場合、アズキャスト線のような単線は使いにくいので、撚り線を使用します。材質はスピーカーと同じものですが、量が少ないので銀もよく使われます。 ピンコードの場合、外部からの雑音を防ぐために同軸型が主流ですが、送り出し側のインピーダンスが低ければ、平行型の線でも雑音の誘導はそれほど問題になりません。ただ、レベルの低い場所、すなわち、MC用ステップアップトランスの出力などを扱う場合は同軸型でなければいけません。 同軸型と似たものにシールド型があります。芯線が1本だと同軸型ですが、芯線が2本以上のものもあり、その場合は外側の網状の導体は単にシールド効果を利用するだけで、信号は流しません。 ここでもスパイラル構造線が音質的には優れているのですが、使用は一部のマニアの間だけです。 線材を選んだときの効果 以上、線材についての概要を説明しましたが、慎重に選ぶときは、アンプの交換などよりもずっと大きな効き目があります。 ここで注意事項を説明しておきます。 1. 効果は万能ではないこと。 基本的には当人の求める音の方向にマッチするかどうかで、A氏が良いと言ってもB氏が賛成するかどうかは分かりません。その他、隣接するコンポーネントとの相性が厳然としてありますから、試聴によって選択を進めるしか方法はありません。 2. 同軸型に拘らないこと。 かつて、アズキャスト線を2本撚り合わせてピンコードとし、音の鮮度を大きく向上することに成功したことがあります。CDフレーやーの出力ならノイズの問題も起きません。 3. プラグも選択すること。 プラグの材質も音を変化させます。注意が必要です。 いずれにしろ、線材などと軽く考えないで、相当の影響力を持っていることを認識しておかなければなりません。 デジタルケーブル CDプレーヤーでDAコンバーターを別に用意するときは、その間で信号の受け渡しがあり、ケーブルで接続します。これがデジタルケーブルですが、このケーブルの品質が大きくCDの音を変化させます。デジタルは1と0の信号だから音質に関係なさそうですが、オーディオ信号よりずっとケーブルによる音質変化に敏感なのです。 ■ 同軸型 一番多く使用されています。 ■ 光ケーブル 芯線にはプラスチックか石英が使用されます。 ■ 平行型 単に2本の線でつなぐタイプ。 このデジタルケーブルがもっとも未開拓の分野で、現在も盛んに開発が行われています。音質に与える影響が大きいにも拘わらず自作も簡単なので、工作の好きな人には格好の遊び場です。 |