HiFiオーディオ教室

audio lesson 23    「室内音響」 定在波と基準振動
 もう何度も定在波の怖さを言ってきました。それでもまだ足りない感じで、ここではその発生から結果まで、もう一度詳しく説明します。

定在波の発生

◆ 定在波というのは、音源から進行してくる波と、反射して戻る波が重畳(重ね合わさること)して、特殊な状態になることです。
◆ 重畳するときに、いつも波の山側と山側、谷側と谷側が出会う場所では一層強い山、谷になります。この場所では二つの山、谷が一緒になって2倍の強さになります。
◆ しかし、その直ぐ隣では、いつも山側と谷側が出会う場所もあります。この場合は重畳すると打ち消しあって、山谷が無くなる、すなわち音の無くなる場所が生じます。
◆ そうすると、進行波と反射波が重畳するとき、ある場所では強い波が発生し、ある場所では音の無くなる場所ができます。
◆ これを次の図で説明します。

 

◆ まず、左のJを見て下さい。これは左からやって来た進行波(実線)が右の固い壁で反射して点線のような反射波となり、それが行き渡った状態で、かつ、進行波と反射波が完全に逆位相で出会った瞬間です。
◆ その瞬間は加算された二つの波は打ち消しあって、波は「ない」状態になります。右側のJ'です。
◆ その一瞬が過ぎると加算がゼロにならず、波が姿を現します。
右側のK'のようにです。
◆ 次には左のLのように、今度は同位相の瞬間がやってきます。両者は合算されて2倍の振幅になります。右のL'のようにです。
◆ 以下同様にして、合成された波は、ある瞬間はゼロに、次の瞬間は大きな波になります。
 さてここで、右側のJ'からP'までの波の状態を眺めると、このような合成された波には次のような特徴のあることが分かります。
@ x−0/x−2/x−4などの場所は振幅の大きな場所で、x−1/x−3等の場所はいつも打ち消しあっていて波は見えない。
A この波は「移動しない」。
 実は、この「移動しない」という特徴から「定在波」と呼ばれているのです。
B 壁から1/4波長の波のない場所は「音圧の節(ノード)」といいます。
C 壁際、及び、壁から1/2波長の、盛大に波の出る場所は「音圧の腹(ループ)」と言います。

 このような定在波の発生する条件は、壁と壁の距離が1/2波長になったときです。それ以上波長が長い低周波では定在波はできません。

 さて、壁間距離が1/2波長の周波数というと、3.4メートルの壁間距離ならば50Hzです。図のx−0とx−2が3.4メートルの場合です。このような一番低い周波数の定在波を「モード1」の定在波と言います。
 次に図のx−0とx−4の距離が3.4メートルと考えると、定在波は2倍の周波数になっています。(3.4メートルで1波長だから100Hz)
 このように、最低周波数の2倍の定在波は「モード2」です。このようにして考えると、ある壁間には1/2波長を最低として、その整数倍の無数の定在波が生ずることが分かります。

 部屋の基準振動(ノーマルモード)

 ここまでの説明は壁が2枚という簡単な例ですが、部屋は6枚の壁で囲まれています。したがって、左右の壁同志、前後の壁、床と天井のように向かい合っている壁の間ではそれぞれの壁間距離によって決まる定在波が発生します。これがもっとも基本的な立場の定在波で、この定在波を「軸波」といいます。
 次は、左壁と天井がチームを組み、右壁と床のチームに対向して定在波をつくります。これが「接線波」です。
 更に今度は、部屋の隅(8個所ある)が斜め方向に反対側の隅に向かって定在波をつくるのです。これは「斜め波」といいます。
 こうなると部屋の中は無数の定在波の大混乱状態になるわけですが、これが実態なのです。
 2枚の壁間では簡単に定在波の周波数を求められましたが、部屋の場合は簡単ではなく、次の式を使って計算します。



 部屋の寸法は先に決まっていますからその数値をL、W、Hに入れます。ついで、x、y、zの所にモードを指定する、1とか2とかの数値を入れます。もし0をいれると「その方向の定在波はなし」という場合のことです。仮にxに1をいれ、他のy、zに0を入れますと、0の入った項はゼロなので、L方向のモードだけが残って、この場合は長さL方向の定在波の、一番低い周波数を求めることになります。
 そこで、モードを指定するときに次のように書きます。
(1.0.0)  L方向が1で他はゼロ。これは軸波です。
(1.1.0)  L方向とW方向が1でH方向はゼロ。これは接線波です。
(2.1.0)  この場合はL方向が2、W方向が1、H方向がなしというモードです。接線波ですが周波数は当然高くなります。
(1.1.1)  すべての方向に1のモード。斜め波になります。
 では具体的にはどの程度までの定在波を計算するかというと、実用上は(2.2.2)程度までです。それでも上の式を26通り計算することになりますが。
 このような室内の定在波のことを「基準振動(ノーマルモード)」と呼びます。次の図は室内に基準振動が発生したら音圧の腹、節はどんな姿になるのかという例です。



 上の図はL方向(長さ方向)の定在波だけがあるモード(1.0.0)
の図です。濃い部分が音圧の腹で音の強い場所、薄い部分が節で、音の弱い場所を示しています。
 下の図はLがモード2、Mがモード1の両方にある場合で、全体としてはモード(2.1.0)のものです。
 この基準振動、すなわち定在波がオーディオにどんな影響を与えるかは次回に説明します。

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