HiFiオーディオ教室

audio lesson 35   「測定」         1/1
 「測定などというものは、よほどのマニアに任せておけばよい。感性で勝負だ」という勇ましい人もいます。しかし、オーディオはハードの機械がなければ成り立ちませんし、ハードは工業技術の産物ですから、製造するときも、使いこなし、メンテナンスするときも測定のお世話にならなければならないのです。
 例えば真空管アンプの場合、真空管は寿命のあるもので、おおよそは5000時間と言われています。使用時間に比例してカソードから放出される熱電子の数が次第に減少して、アンプとしての性能が劣化していきます。測定すれば直ぐ分かることですが、少しずつ劣化する、例えば出力が減少する、歪みが増えるなどという変化を耳だけで発見するというのは困難なことなのです。しかし、定期的にアンプの出力を測定し、更に歪み率も測定できれば、簡単に判明します。
 アンプキットを自作する場合でも、テスター1台では測定に限界があり、果たして所定の出力が得られ、波形が良好かなどを、きちんと見るまでは安心できないでしょう。
 更には、スピーカーから音が出ているとして、希望していた特性で鳴っているか、本当はチェックしたいものです。相当なベテランでも、部屋とスピーカーの組み合わせの結果として聞こえている低音が、
思いがけなく暴れていないかどうか、などは耳だけでは判断出来ないものなのです。
 このように考えると、オーディオという趣味には電気と音響の測定が、或いはチェックが欠かせないものであることがわかります。「感性と経験で勝負だ」というのは、これは無茶というものです。

 電気の測定

 オーディオ測定の基本は、やはり電気の測定から始まります。最初に、どんな測定器が必要かを説明しましょう。
◆ オーディオ用発振器
 まずはアンプの測定ですが、「入力端子から素性の分かった信号を入れ、それが出力でどのように変化しているか」を観測します。その入力に使用される信号で、最も多いのが「正弦波」と呼ばれるもので、100ボルトの商用電源も波形としてはその中に入ります。その正弦波発生装置を「オーディオ発振器」と呼びますが、テスト用CDの中にはその信号の入っているものもありますから、それを使用しても代用できます。おおよその機能は
1) 周波数範囲・・・最低限で、20Hz-20kHzです。
  普通は20Hz-1MHz。
2) 出力電圧・・・最大で5V程度。
3) 信号波形・・・正弦波の他に、方形波を出せるものが多い。
 価格は3万円から4万円程度で、中古だとその半額くらい。
◆ オシロスコープ
 電圧の波形をブラウン管を使用して目で見る装置です。波形の崩れ(波形歪み)などは直ぐ分かりますし、ノイズの発生もよく分かります。そして波形の大きさから、電圧を読みとることもできます。
 現在、オーディオ用で使われるものは
1) 周波数範囲・・・直流-20MHz
2) チャンネル数・・・2チャンネル(同時に2個所の波形観測ができ  る)
3) ブラウン管口径・・・150ミリ(管面で100ミリ×80ミリの観測)
 価格は7万円弱程度。中古は半額から1/4程度。
◆ 電子電圧計
 これはテスターでは測定できない範囲の信号電圧を測定する電圧計で、測定する信号をトランジスター、ICなどで一度増幅してから測定する電圧計です。機能としては
1) 周波数範囲・・・10Hz-500kHz
2) 測定範囲・・・1mV−300V(10dBステップ)
 価格は発振器程度。

 以上の3種の測定器が基本で、中でもオシロスコープが最も基礎的なものであり、役に立ちます。
 この他に必要なものとしてはダミー抵抗があります。発振器から入力してパワーアンプに定格の出力を出させたとき、スピーカーにそれを受け取らせる訳にはいきませんから、抵抗を使いますが、それを
「ダミー抵抗(疑似負荷抵抗)」といいます。通常は8Ωの無誘導抵抗で、容量は50Wないし100Wです。無誘導抵抗というのは、抵抗線を巻いたときに、インダクタンスを生じないように巻いたものです。

 以上の他には、できれば歪み率計が欲しいものです。オシロスコープで波形を眺めてもある程度の見当はつきますが、「何パーセント」とは言えないのが辛いところです。

 さて、このような測定器があるとどんなことが分かるかという話を次回に予定しています。
 

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