| column 22 「オーディオ機器の寿命」 |
| アンプが半導体になってから、オーディオコンポーネントの寿命が著しく延びた、或いは半永久的に使用できるようになったと、つい考え勝ちである。 トランジスターは真空管に比べるとずっと長寿命とはいうものの、アンプそのものとしてはそれほど長くなったわけではない。 したがって名器と謳われたコンポーネントを大金を払って入手するときなどは、実用にするのか、収集が目的なのか、寿命について一通りの常識は心得ておく必要がある。 寿命には部品が物理的に劣化して動作不良になるものと、設計が古くなって、時代遅れになる場合とがある。 スピーカー 比較的長寿命である。損耗する部分は振動板周辺のエッジと、ダンパーであるが、大抵はメーカーで修理可能で、機能は回復できるものが多い。 一時期、エッジの部分に発泡ポリウレタンを使用することが流行したが、10年程度でボロボロになることが分かってきた。うっかり触ったりしすると簡単に穴があいてしまうので、要注意である。 その点、昔のビスコロイド系の塗料を塗布しただけのエッジは丈夫で、50年程度の使用には耐えられる感じである。アンプと違って陳腐化も比較的遅く、中古品でも多少注意すれば実用に出来る。 パワーアンプ パワーアンプの問題点は、通電時の発熱によっていわゆる熱呼吸が行われ、コネクターの接点が酸化しやすく、次第に接触抵抗が増加することである。この辺りは真空管アンプの方が、せいぜい球のソケットの酸化程度で比較的安定である。ただし、真空管という消耗品が使用されているから、それの交換は必須である。 これはアンプ全体に言えることであるが、ケミコンの劣化も注意しなければならない。そのアンプを実用に供するときはケミコンの全交換を薦める人もいる。 半導体のパワーアンプは、当然プリント基板で、基板はコネクターで外部に接続されるが、先に述べた熱呼吸によって次第に接点の表面が酸化或いは空中のゴミによって汚れる。アンプ内部の清掃などは普通行わないから、心許ないことは確かである。 プリアンプ プリアンプの劣化は先ずボリュームに現れる。いわゆる「ガリオーム」になる現象で、その場合の原因には、ボリューム自体の摩耗による故障と、カップリングコンデンサーの絶縁低下によって直流電流が流れて、動かす度に雑音の出るものとがある。摩耗したものは救いようがないが、直流が流れ込むものはコンデンサーの交換で回復する。 ボリュームを交換しなければならなくなった時に、純正パーツが入手できればよいが、年代の古いものは同等性能の代替品を探すのに苦労する。 その次が切換スイッチの接触不良である。切換スイッチでも密閉型ならば劣化は生じにくいが、一般に使用されている接点露出タイプはいずれ接触不良になると考えなければいけない。 CDプレーヤー 寿命があるとすればメカの部分と半導体レーザーの寿命、レンズの汚れである。レーザーの寿命はメーカーに問い合わせるしかないが、レンズの汚れは専用のクリーナーを使用する。 現在までの状況を眺めている限りでは、耐久力の問題よりも陳腐化による寿命の方が早い。 パーツの問題 ◆ コンデンサー @ ケミコン 劣化は容量抜けと漏洩電流の増加である。5年ないし10年たったら、全交換というほど気を使う人もいるが、その頃には新製品も出ていて、悩む所である。ただ、名器に惚れ込んで、生涯1機種と決めている人は心得ておく必要がある。 容量抜けは気が付きにくいが、漏洩電流の増加は、ケミコンが発熱するので分かる。 A ペーパーコンデンサー 昔は「オイルチューブラー」という名称で沢山使用されていた。これが意外なほどに絶縁低下を生ずることが多く、それが次段の球にグリッド電流を流すことになって、ひどい動作状態になっている名器を一再ならず見ている。少なくとも10年経過した真空管の名器に出会ったら注意する方がよい。 B フイルムコンデンサー 劣化の少ない部品の一つである。まれにリード線と電極箔の接触が悪くなって、歪み率のひどく悪化したものを見たことがある。 C セラミックコンデンサー 積層セラは歪み率の程度が桁違いに大きいので、信号の通路に使用してある場合は注意する。 ◆ 抵抗 きちんと設計された機器で抵抗が劣化することは、まず無いと考えて良い。 ◆ スイッチ 密閉型は不良率は少ないが、接点が露出しているものは早晩接触不良になる。原因は酸化と空中のゴミに起因する接触部分の汚れである。 交換するのが最良であるが、実際には困難な場合が多く、接点復活剤に頼らなければならないが、効果は永久的ではない。 ◆ 真空管 言うまでもなく寿命のある消耗品であるが、その寿命は使い方によって大きな差を生ずる。一重にアンプの設計にかかっている。 以上のように、オーディオのコンポーネントは当然ながら寿命のあるものであり、後生大事に使う場合も、中古市場で名器を求める場合でも、その辺りのことを心得ていなければいけない。 機材の保存 使用しない機材の保存にも注意が必要で、次の点に注意する。 @ 電池は取り外しておく。絶対。 A ビニールシートで包み、空気を遮断する。できればその上で段ボール箱に入れる。湿気や、金属部の酸化、汚れを防ぐためである。 B ケミコンを使用している機械では、半年ないし1年毎に通電してケミコンを動作させること。 |