辛口オーディオコラム

column 24    「スイッチングアンプ」
 少し以前にデンマークのタクトオーディオ社から、最近ではシャープ社からやはりデジタルアンプとして従来のアナログ増幅を使用しない方式のアンプが発売された。
 デジタル式と言われると分かりにくくなるが、要するにパルスの幅を変化させたり、パルスの数を変化させたりして出力される電流に緩急をつけるアンプである。パルスアンプというのも誤解されそうだし、ここでは「スイッチングアンプ」(パルスは電流をスイッチングするものなので)と呼ぶことにする。
 このようなアンプは20年ほど前にも姿を現したが、そのときはあまり評判にはならなかった。しかし、ここにきて、周辺の環境が変わってきていることから、大きく化けそうな予感がする。

 この方式では、無信号時には消費電力はほぼゼロに近い。したがって電力効率が大変に良いのが、まず、第一の長所である。
 それに伴って発熱量が小さいから、ヒートシンクは小さくなり、筐体も小さくなり、また、製造時には殆ど無調整で済みそうなので、当然価格も安くなる(はず)と考えられる。
 
 現在発表されているアンプは、CDフレーヤーなどのデジタル信号で直接駆動することに重点を置いているようだが、いずれすべてのソースに対応するようになることははっきりしている。

 普及を遅らせる要素があるとすれば、次のような技術的な問題をどこまでハイファイユースに適合できるようになるかである。
@ 発生する高周波の雑音成分をどこまで封じ込められるか
A スムースな音量調整にうまい方法があるか

 それらの技術的な話の他に予想される問題点は、アナログ増幅に郷愁を持ち、「パルスはギザギザしているから音が悪い(筈だ)」と頭から思い込むフアンの数であろう。
 新方式というものは立ち上がりは苦労するものであるし、製造側の技術力の熟成も必要であろうから、ハイファイ用として普及するまでには、少なくとも5年から10年はかかると思われる。

 しかし、なんとなく鮮度の良い音に成長しそうな気がしてならない。

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