辛口オーディオコラム

column 25 「ホームシアターがやってくる」
 このところオーディオメーカー各社は競ってAVアンプなるものを発表している。用途はホームシアター用ということで、
● 主出力は前方の左右2チャンネル。通常の2チャンネルステレオ再生はこれを使用する。
● 補助出力は前方のセンターチャンネル、後方(または側方)左右2チャンネル。
● 場合によってはスーパーウーハー用出力1チャンネル。
ということで合計5チャンネルないし7チャンネル、総計150W〜300Wに達する大型アンプになる。当然各種切り替えスイッチ、コントロールツマミが付くから、表パネルは相当に複雑になる。

 「ホームシアター」という呼称はルーカスフイルム社(ロサンゼルス)が先鞭を付けたものと記憶しているが、基本は家庭内で、あたも映画館のような雰囲気を味わおうというというものである。いうならば
「家庭映画館」である。
 これを可能ならしめたのは投射型のビデオ装置によって、100吋以上の画面が容易に設置できるようになったことが大きい。欧米ではある種のブームになっていて、日本人よりは映画好きという性癖があるにしろ、ひょっとすると今後世界的な流行につながる可能性がある。

 ピュアオーディオの世界がこれをどう迎え撃つかとなると、予測は容易ではない。かつて、4チャンネルステレオが提案されたときは、ユーザーのニーズとメーカーサイドの思惑が一致せず、また、方式の乱立が祟って普及はしなかった。
 今度の場合はというと、主としてハード側の著しい進歩が条件としてあり、大きな可能性を感ずる。
 言うまでもなくDVDオーディオによる、完全セパレートの6チャンネル再生である。前方左右のメインスピーカーに加えて、定位補助用として前方センターに1個、さらに後方左右または側方のアンビエンス用2個は、音像の定位、雰囲気感の醸成に大きな効果があることは容易に首肯できる。
 
 さて、ではピュアオーディオの世界が映像を受け入れること是なりや、となるとこれは「ノー」である。その理由はすでに述べてあるので繰り返さないが(コラム欄番外編NO.901「映像は悪魔の囁き」参照)少々の可能性は残るかも知れない。それは音楽とは全く切り離した「視覚を対象とした光の存在」としてである。
 かつて、京都で「レーザリアム」なる光と音楽の融合を体験したことがある。ドーム状の天井をスクリーンとして、極めて明度の高い何色かのレーザーを投射し、全く抽象的な画像を現出するものである。
 このような画像は物語性を持たないため思考に影響を与えることがなく、その選択が当を得たものであるならば音楽を一層興趣深いものにしてくれる。一例として、スクリーンセーバーの画面を完全に抽象的なものとして、あたかも環境音楽のように流すことなどが考えられよう。
 音楽を聴くとき、目が何をしているのが適当か、について今は語るだけの用意はないが、ピュアオーディオに相応しい光があると考えられる。

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