
| column 42 「アンプ審査会の裏方」 4/15 |
| 今月号のMJ誌に自作アンプコンテストの入賞作品が報じられている。小生も審査会の裏方の一員としてお手伝いしたので楽屋裏の話を参考までに。 1.準備はどのように行われるか 審査は、設計、音質、工作の3点から行われるが、もっとも神経を使うのは音質評価の試聴である。 ◆ 試聴用スピーカーの選定 基本的に癖のないモニタースピーカーを選ぶことになる。今回はパイオニア社のエクスクルーシブ2401を選定した。小出力アンプのためには能率が重要であり、かつ、インピーダンスがきちんと8Ωであることも欠かせない。 ◆ スピーカーの設置 試聴室内での設置の如何によって主として低音域で周波数特性が変わる。したがって、設置に際してはテスター席での音圧周波数特性を実測しなが最適な置場所を決定する。この設置のために前日の準備時間3時間の殆どを費やした。 ◆ 周辺機器の選定 周辺機器の選定では、被テストアンプの音色の差が明確に聞き取れるように、CDプレーヤー、DAコンバーター、プリアンプ等に十分に分解能の高い機材を用意する必要がある。ケーブルも含まれる。 2.試聴用CDの選定 ◆ CDは録音の鮮度のよいもので、アンプの差が明確に出なければいけない。試聴時間は1曲について30秒から1分前後。曲目はクラシック、ジャズ(ポップス)、声の3種は不可欠であり、必ずアコースチック楽器のもの。 今回曲目の選定に丸一日かかったのは小出力クラスに不利にならないような曲を選ばなければならなかったことによる。そのため、大出力クラスには別に1曲用意せざるを得なかった。 3.音の送出 送出の際の注意は、被テストアンプが替わり、曲が替わっても事前に決められた聴取レベルが動いてはいけないことで、しかも短時間に音出しが行われなければならない。曲と曲の間の時間は、15秒前後である。したがつて、プリアンプは1dBステップの音量調整が不可欠となる。 4.試聴前の測定 試聴の前に必ず基本項目の測定を実施する。その理由は輸送中の事故等によって故障が発生していないか、応募書類とかけ離れた特性になっていないか、発振が起きていないか等のチェックである。 ◆ 発振 スピーカーを破損させる恐れがあるので、最初に見る。 ◆ クリッピング出力 これを最大出力として、故障の有無をチェックする。 ◆ 歪み率 1/2出力で1kHzの歪み率を測定する。 ◆ ノイズレベル これも故障の目安になる。 ◆ 入力感度 1Wを出力するための入力電圧をVrmsで測定する。この値をリファレンスアンプのそれと比較し、テスト時に何dB加減すれば同じ音量になるかを算出する。 感想 自作アンプコンテストの審査には何度か立ち会ってきているが、回を追うにしたがって完成度が高くなり、音質も向上してきている。 以下が今回の感想である。 ▼ 小出力アンプには限界がある。 今回の試聴では、小出力アンプならでは、というメリットは感じられなかった。やはりある程度の出力がないと、伸びやかさに欠ける感じがある。 ▼ 上位に評価されたものは半導体アンプが多い 音の鮮やかさ、という点で、半導体に軍配が上がった感じがある。小生が最も評価したのは6C33Cの80WのOTLであったが、これは例外的な存在。 ▼ ボリューム 今でもボリュームを付けているアンプが多いのは不思議であった。パワーアンプに音量調整は要らないはずで、付けるのは止めた方がよい。ボリュームによる音質の劣化を体験してみるとその理由がよく分かる。 |