| 自作スピーカーシステムの作品を見て
このところ、自作アンプコンテスト、自作スピーカーコンテストの二つを見ることができた。また、誌上ながらやはり自作スピーカーコンテストの記事を見ることができた。
小生も昔はアンプからスピーカーまで自作したシステムで音を出していたから大いなる興味をもって眺めたが、いささか腑に落ちない面がないでもない。
1.オーソドックスな作品で基礎の勉強を
仮の話ではあるが、たとえば「スピーカーシステムの設計と製作」という本を開くと、基本的な設計法から始まって設計例、製作例が載っている筈である。それらの例は執筆者が実際に製作し、測定で性能を確かめたものばかりだから模範的な製作例である。それをしっかりと学習して同等の性能の作品を作ることも大事な自作である。
例えば16センチのフルレンジを使って小型スピーカーシステムを計画するとしたならば、一番オーソドックスなエンクロージャーで作ってみてそのユニットの性能の限界を確かめ、ついで自分のアイデアなり主張を盛込んだ作品を手懸けるべきである。
腑に落ちないというのは、自作で個性を発揮しよう、あるいはアイデアを発表しようと急ぐ余りか、性能が模範的な作品に追い付かないものが多々あることである。もっとオーソドックスな(理論的に根拠のしっかりした)作品の学習と、性能の水準を理解してから新工夫に取り掛かるべきであろう。
2.新工夫は目的による
オーソドックスな設計ではなく、自分のアイデアを盛込む必要がある場合は、大抵は性能が低下すると考えなければいけない。その場合の予測、すなわち、性能の低下の度合いと予測が合致したかどうかも重要な勉強であろう。
自作派は時として外観デザインを優先させて、砲弾型や球形などの人目を引きそうな形を考えるが、その形状のメリットと工作の難易度が引き合わない計画を立てがちである。見た目の面白さが目的なのか、音の良さ(ユニットの性能を十分に発揮させること)が目的なのかはっきり認識している必要がある。
3.仕様と性能の確認
アンプの自作では仕様書の作成が行なわれてから計画が進められる。スピーカーシステムの方はその点大らかで、「○○社の□□型ユニットを使ったフルレンジスピーカーシステム」というあたりでスタートするようだ。MJ誌4月号には6作品が紹介されているがメーカーならば必ず発表する仕様が出ていない。せいぜい、使用ユニットの型番と定格である。
また、どんな作品に出来上がったかという確認も物足りない。アンプならば周波数特性、出力、入力感度、歪み率はまず間違いなく発表される。それに倣えばスピーカーシステムの場合は周波数特性、最大音圧レベル、出力音圧レベル等であろう。
自作ということは物を作る楽しみを通して技術の理解を深めさせてくれる。しかし、闇雲に手を出す前に一応の心得を知っておくことも無駄ではない。今後もスピーカーを自作されるのならば、佐伯多聞氏監修の「新版・スピーカー&エンクロージャー百科」(誠文堂新光社)は必須の教科書だと考えるべきであろう。
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