辛口オーディオコラム

column 59 「オーディオの展望」 1/1
 21世紀の元旦に、新世紀に向かってのオーディオの展望を、と言っても、この不況下ではいささか力が入らない。
 この100年において、エジソンの発明した錫箔蓄音機は高忠実度再生として大きく花開いた。電気吹き込みからデジタルオーディオまで、100年という時間の力の凄さを感じさせる。現状を採点し、次の世代の可能性と方向を探ってみよう。

● スピーカー
 ここが一番未発達であることは周知の通りで、民生用としては85点位か。
 民生用としての最大の悩みは、サイズの制限である。かっては洋服ダンス程度は物ともせずに実用化したが、現在では市販は困難であろう。以下、残された問題点である。
@ サイズが制限されると低音の限界がかなり上になる。音楽再生の実用的目標としては30Hz−3dBで問題ないが、迫真力という項目まで視野に入れると20Hz/-3dBまで求めたい。
A リスニングルームとの整合をいかにするか。この問題はスピーカーには無関係とも言えるが、現実にはスピーカーの特性として受け取られる。定在波をいかに乗り越えるか、スピーカー側からの注文と協力があって欲しい。

 21世紀に向けての要望は、
1.ローエンドの一層の拡張。
 最近、映像の迫力を良いことにして、低音を蔑ろにしていないだろろうか。真面目に低音の拡張に努めて欲しい。
2.MFBの実用化。
 試聴をした体験から、スピーカーにブレークスルーがあるとしたら、MFBではなかろうか。アンプの時と同じように、系全体で特性向上を図ることが大切に思われる。

● アンプ
 出来の良いアンプについては95点を呈してよい。あと、進歩してもそれほど大きな影響力があるとは考えにくい。
 21世紀に期待したいのはデジタルアンプである。試聴経験は多くはないが、素性の良さを感じさせる何かがある。

● DAコンバーター
 DAコンバーターによって音の変わること、アンプの改良などの比ではない。トランスポートの改良も必要なのであろうが、先ずはDAである。点数を付けるとすれば90点程度か。まだ、未知の怖さを感じさせるものがある。

● 新CD
 DVDとSACDに絞られてきたようだが、オーディオのニューフェースとしてどれだけの訴求力があるのだろう。仕様性能が良いことは問題なく理解できるし、オーディオフェアにおけるデモも悪くない。
 しかし、問題は機材を一式買い足しても、というほどには強力ではなさそうだ、という点であろう。音の良さだけならDATがあるが、ここではソフトが無いために稼働率は著しく劣っているし、ソフトを希求する声もない。
 ソフト業界は機器の普及率を問題にし、ハードメーカーはソフト不足を嘆く。ソフトが10,000タイトルになったときが占いの節目か。

 というような展望をざっと掲げてみたが、オーディオ界は20世紀後半で底を打ったから、あとは上昇あるのみ、という楽観もよいか。
 

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