辛口オーディオコラム

column 73 「電源の電圧」  8/1
 閑人氏のオーディオサイトに、117V仕様のアンプを100Vで使用して問題ないのだろうかという投稿を見かけた。
 プリアンプならば、ヒーター電圧の低下以外に問題はなさそうであるが、パワーアンプでは大きな問題になる。
 その理由は、真空管、トランジスターの動作電圧が低下すると最大出力が相当に低下するためである。トランジスターアンプでは明確に電源の2乗に比例して低下するから、15%(100/117=0.85)低下すると、最大出力は72%に下がる。100Wのアンプならば72Wになる。

 真空管アンプの場合は、一説には2.5乗に比例するという説(武末氏)があったりして、もしそれが本当だとすると15%の電圧低下は最大出力を66%にまで低下させる。すなわち、100Wが66Wにしかならない。

 このように考えると、117Vのパワーアンプは、100V⇒117Vの昇圧トランスを使用すべきであることが分かる。117Vを100Vで使用することは100Vのアンプを85Vで使用することに相当するが、これはもう、薄気味悪くて長くは続けられまい。
 なお、真空管のヒーター電圧は±10%で使用するようにハンドブックでは説明している。

 と言うわけで、117V仕様のアンプは、パワーアンプは勿論、プリアンプも100V⇒117Vの昇圧トランスを使うのが正しい。

 なお、電圧の調整に、通称「スライダック」と呼ばれている電圧調整器を使用してはいけない。その理由はスライダーのコンタクトの部分はカーボンを使用していて、その部分の抵抗で意外に電圧変動率が大きいためである。必ず100V⇒117Vの固定式変圧器を使用しなければいけない。

追記

 小型の3極管OTLで実験してみた。電源電圧を105/100/95/90/85Vとし、最大出力(クリッピング出力)を測定して、両対数グラフに、横軸を電源電圧、縦軸を最大出力としてプロットしてみると3乗の直線の傾斜に一致した。2.5乗だと66%まで低下するが、3乗だと61%まで低下する。

 5極管はどうなるか、興味のある方は実験してみられると面白い。

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