辛口オーディオコラム

column 93 「ヘッドホン」 6/1
 投稿室にヘッドホンの話が載っていた。最近、暫くぶりでヘッドホンを扱ったのでその話を少し。

 ヘッドホンの効用は、自分の耳で聴くだけなので、大きな再生音でも他人に迷惑をかけなくて済む点である。これは万人が承知している。小生も何人か、そのようなヘッドホンリスナーを知っている。

 ヘッドホンの音色の特徴は抜群に分解能が良いことで、これは音源からの距離による分解能の低下がないから当然と言えば当然。
 それと、密閉型だと、まずは十分な低音の量感が得られる。更にはコスト的なメリットがある。

 このように考えてくると、申し分ない再生器なのだが、オーディオファンは、音量を出せる条件下では、大抵、スピーカーに移行する。
 その理由は、「音楽の音を浴びる」というオーディオ的な現実感が希薄だからであろう。

 確かにヘッドホンは素晴らしい分解能と低音域の伸びを示すが、低音に関しては、我々は皮膚で感じ取っている部分があるのではなかろうか。それが大太鼓を聴くときの満足感になっているのではなかろうか。

 現在のヘッドホンは感度も高く、パワーも入るので大音圧の再生が出来る。感度が100dB/mWで、許容入力が2Wともなると、最大音圧レベルは133dBにもなってしまう。
 これでロックを大音量で長い時間にわたって聴いたりすれば難聴になることは目に見えていて、気を付けないと一生の損失ということになりかねない。
 人間の耳には自動音量調整機能があるが、それが回復しなくなるらしい。そして、この難聴は治療方法がないと言われているから、ことは重大なのである。かつて、高校生の難聴を調査した教員が、ロックのヘッドホン聴取が原因として指摘した話を新聞で読んだ記憶がある。

 ヘッドホンとスピーカーを交互に鳴らしてスピーカーのバランスを調整するという方法は知らなかったが、良質のヘッドホンを使ってアンプの音質設計をしているというメーカーのエンジニアの話を聞いたことがある。ただ、スピーカーを使った場合と同じにはならないとして、やがて断念したということであった。

 ヘッドホンを駆動するアンプに、低出力でよいのだからと、CDプレーヤーのヘッドホンジャックからそのまま聴く音と、本式のアンプで聴く音はかなりの差がある。
 ここでも、音さへ出ればよい、という訳にはいかない。少し前に小生がMJ誌に発表した26HU5×2の小型OTLは、それだけのコストに見合った音がする。分解能が一段上であるのは当然として、深々とした空間の奥行きの表現力に感心した。理由はよく分からない。

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