辛口オーディオコラム

column 99 「オーディオファンの拡大」 9/1
 オーディオファンを増やすにはどうすればよいか、というのがオールドボーイの気がかりの一つである。

 かつては、「来たい者だけ来ればよい」と自若としていたが、それではますますファンが減るという事態がはっきりしてきた以上、知恵を絞らなければいけない。
 50回を数えた全日本オーディオフェアが今年は中止、という事態はまさに存続の危機といえよう。

 小生の見るオーディオファン減少の原因は、

1.趣味の多様化
 昔は、せいぜいカメラかオートバイ程度が競争相手であったが、現在はパソコンという強力な相手がいて、電気好き、機械好きな若年層を吸収していること。

2.CDによる音質の向上
 皮肉な話であるが、CDの出現によって、シスコンでもラジカセでも、簡単に結構な音質を期待できるようになった。LPとアームの操作で熟練を誇示した手さばきは全く不要になった。
 そしてそれは必然的に良い音に対する憧れを消滅させることとなった。

3.音楽の変遷
 昔は、音楽の大きな要素として、音色の美しさがあった。現在のロックがそれを土台としているとは考えにくい。広い会場で、巨大なスピーカーが咆哮するのが音楽だとすれば、ハイファイ再生の出番はない。

 このような時代にハイファイオーディオを標榜するのは、クラシックとジャズなど、アコースチック楽器をベースとする、昔ながらの音楽を好むオーディオファン、音楽ファンである。この層を如何にして増やすか。


 オーディオファン拡大の第一の方策は「良い音の再生」を体験させることである。どんなに美味な料理でも、食べさせることなしでファンになれと言っても、それは無理というものである。

 かつて、都会には良い再生音の展示場が沢山あった。各メーカーは都心にこぞって試聴室を設置し、その会社の全技術を展示して、良い音を聴かせてくれた。
 同時に、名のあるオーディオショップは試聴室に人気のあるスピーカー、アンプを用意して、オーディオファンに聴かせてくれた。そこで良い音の真髄を体験して、いずれは手に入れよう、自作してみようと意欲を
かき立てられたものである。

 今、秋葉原で大型のスピーカーシステムを取りそろえて試聴させてくれる場所は、小生の知る限りではテレオン社の「110(ワンテン)」しかない。その他のオーディオショップは、良くて中級規模のシステムしか置いていない。天下の秋葉原にしてこの状態である。
 
 その「良い音」展示の一端がオーディオフェアの任務であった筈である。しかし、メーカー各社の思惑はビデオに走り、ピュアオーディオは救いようのない状態に陥っている。

 再建策は、素朴ながら「良い音の展示」しかない。今更、と言っても他に何かがあるわけではない。愚直のようでも原点に立ち返って、良い音の魅力を聴かせ、一人でも二人でもオーディオのシンパを養成することである。

 第二には「オーディオコンテスト」を全日本規模で実施することである。札幌、仙台、新潟、大阪、福岡で予選を行い、オーディオフェア会場で決勝という運びを考える。
 このコンテストは、勿論、プロも参加する。アマの部、プロの部、無差別部とすればよい。企業ぐるみで一向に構わない。今、日本で最も良い音を出せるのは誰か。オーディオファンはわくわくするに違いない。
 決勝会場には可能な限りの数の試聴室を設置し、審査員と観客はそこを廻って歩く。結果は最終日に会場で発表する。

 機会があるとNHKでロボットコンテストを見る。実は昨31日にも「ABU(アジア・環太平洋)ロボットコンテスト」があって、参加各国大学の力作を見た。NHKのような大組織の主催でなくとも、「全日本オーディオコンテスト」があってもよいではないか。
 勿論オーディオ協会の主催となろうが、大手メーカーとオーディオ誌が協賛すれば、実施は容易である。

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