サキガケ⇒ジェネレーション!(Clochette)

 海棠秀穂(変更不可)はゲームが趣味。田舎住まいの彼がたまたま隣町に行った時、初めて知らない相手と通信プレイをすることに。
 後日、学園には転校生がやってきた。その相手は秀穂が通信プレイの相手ではないかと考えた少女だった。名前は雪之宮杏音。彼女がとあるゲームを持ってきたことで全てが始まった。

 Clochetteの新作は御敷仁氏が原画を担当するチームが贈る近未来アドベンチャー。やっぱり、今回も架空の舞台をアピールする感じになってます。そして、遂に3年スパンになってしまいました。このままだと同チームの新作が次に出るのは最短で2017年ということに。
 初回特典はサキガケ⇒ファンブック、ファンタズマゴリアプロモカード。予約キャンペーン特典はサキガケ原画集、星咲桜花 限界おっぱいエスパー色紙。これと対になる早期予約特典の制服ぬぎぬぎおっぱい色紙(絵は前者の差分)のほか配布特典が色々とありました。相変わらずサービス精神旺盛です。しかし、その度に店舗に行かないといけないのは大変ですね。

 たいした内容ではありませんが修正ファイルが出ています。クリアする分には問題ありませんが、気になる人はあてておきましょう。

 ジャンルはごく普通のアドベンチャー。
 足回りは代わり映えしません。メッセージスキップは既読未読を判別して標準から遅いくらいのスピード。相変わらずアイキャッチも順速のままです(飛ばすこともあるような気もします)。2周目以降は個別シナリオに入るまでかなり時間がかかります。シーンジャンプ機能もありますが、ジャンプ距離が短いのでスキップ目的の場合、それほど有用とは言えません。毎回(はい/いいえ)を選ばされる使い勝手の悪さも健在なので別画面で進めるには向いておらず。本作でも2周目以降は最初からと各ヒロインシナリオが選べますが、クリア済みシナリオのみ有効なので初回プレイには全く意味がありません。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、ほとんど戻ることができません。ロード直後にも使用できます。シーンジャンプ機能を使用してもログが追随してくれるようになりました。

 シナリオはゲーム至上主義をとことんまで貫いています。とにかくゲームを肯定すること甚だしいです。ゲームをプレイし続ければればなんでも叶うと言っても過言ではないくらい作中では万能の存在です。ゲームをプレイすれば、友達ができる、親友ができる、恋人ができる、性格が良くなってクラスの受けも良くなる、地元の不可思議現象が解決する、行方不明の人間が帰ってくる、魔法使いの基礎が学べる、良い家庭教師がみつかる、存在さえ知らなかった親戚が見つかる、就職できる、人生の目標が見つかる、などといった具合で果たしてどこに不可能があるのか探すのが大変なほど。
 物語の大枠は全て一緒でヒロインの立ち位置によってアプローチの仕方が異なるくらい。オチも弱く、肩すかし気味なので緊張感があまりありません。正直、日常会話もほとんどゲーム(MMORPG)ばかりなこともあって2周もする頃にはかなりマンネリになってきます。いかに萌えゲー枠にしてもいささか苦しいものがあるのではないでしょうか。ヒロインたちに魅力があるのがせめてもの救いになってます。
 惹かれ合う過程はほぼゼロ。ゲーム中の学園初日で全てのヒロインはほぼ攻略状態にあるほど好感度が高いです。本作では主人公がオーバースペックという訳でもないため、ゲームだけしている日常とも相まってかなりの違和感があります。あまりにも当たり前に恋仲になる様子がその後の恋愛描写に影を落としているくらい。動機が見えないがゆえに。
 HシーンはClochetteの売りらしく本作でもなかなかのエロさ。プレイヤーも慣れてくるので驚くほどではないですが、ここのゲームに未体験ならばかなりエロく感じられるでしょう。しかし、J・さいろー氏が不在のためかロリ担当のそれはもうひとつ、といったところです。
 悪友キャラを特定場面で神経質に排除しようとする傾向は健在。本当にそこまでするなら、そもそも立ちCGのある男性キャラを用意しなければ良いのでは、と素朴に疑問に思います。

 CGはますます胸が巨大になりました。さすがに限度を超え始めているので、ふるいにかけられ落下するユーザーが増えてくるのではないでしょうか。数値的なサイズはそれほどでもないため意外と大きなポイントになるかもしれません。次回作のデザインが気になるところです。方向性はともかく、原画、CGとも絵買いに応えるクオリティを作中全体に渡って維持しています。衣装デザインや立ちCGなど、けしからん度は相変わらず高いです。
 しかし、レベルの高さに比べてイベントCGは差分抜きで85枚と微増に留まっています。このあたり、今回もゲーム本体以外に力を割きすぎている感が窺えます。この配分だとそのうち本末転倒になりそうです。
 立ちCGは表情、ポーズ(衣装)ともに豊富で会話劇での華やかさに繋がっています。セリフの途中でくるくると変わる様子は本作でもしっかりと受け継がれています。ただし、味のある会話そのものが少ないこともあってか、特徴を存分に活かしているとは言い難いです。次にどんな表情をしてくれるのか、と思うことは少なかったです。
 Hシーンは揃えたように同じ回数、同じ衣装を使ってのものでした。平等なのはいいですが、代わりにネタ割れしやすいのが残念。ゲーム中のアバター衣装はなんともClochetteらしいと表現したくなる半裸デザインですが、これが思わぬ難点となっています。最初から露出度が高いため、ちょっと脱がすとほぼ全裸状態と半脱ぎ派には悲しい事態になってしまいます。
 鑑賞モードで立ちCGを自由に見れるキャラモードはしっかり搭載されています。

 音楽は良く言えば穏やかな、悪く言えばおとなしい曲が揃っています。作中作のRPGにおいては意外なほどジャンルらしい曲は聞かれません。サントラだけを聞いても普通の学園アドベンチャーとして通りそうなくらい。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技は特に問題ありません。

 まとめ。停滞を感じる作品。チーム前作が前々作からの飛躍が著しかっただけに期待も高かったでしょうが、厳しい感じになりました。製作期間が長いことも悪いイメージを膨らませやすいです。やはり、物語に注力していない作品に3年は長いのではないでしょうか。
 お気に入り:紅藤友梨亜
 評点:60

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、雪之宮杏音
 ひたすらに悲しい転校生。優等生を最初だけ演じるとかがっかり感が半端ない。見た目だけでも良くてホント良かったですね。ヒロインだからいいけど、サブだったら切ないことこの上ないですわ。本作がゲームをするだけで全て解決する世界だからまだ救われてますけどね。
 正統派のかけらもないパラディンのデザインが泣かせる。ま、確かにワールドワイドに考えると2種以上が融合したような職種はそういう風になりがちなんでしょうけど、エロゲーだと正直ただの変な巫女コスプレにしか見えません。

2、星咲桜花
 チョロさこそが魅力って最近の風潮になりつつあるのかなー。あっさりゲームに陥落するあたり委員長キャラとしても物足りなさが目立ちます。言うなれば純愛ゲーにおける寝取られキャラ的な立ち位置なんでしょうかね。ゲーマーサイドに寝取るっていう。まぁ、そういうのってある程度は歯ごたえが必要な気もしますけど、桜花にはそういうのは求めるべくもないしなー。
 エスパーの衣装はやりすぎですな。現実に漏れ出てきた時に恥じらってくれたのがせめてもの救いでしょうかね。冗談抜きでこれが平気なのは露出狂です。

3、敷島なつめ
 矛盾の固まり。どう考えても無理だろって要素が多すぎる。特にドジっ娘要素は不自然にも程があります。最初はゲームではドジらない、だったのに途中からそれも無視するようになったし。プラスにもマイナスにも都合が良すぎますな。少なくとも意気込みで回避できるならドジっ娘ではないでしょう。親のことといい、まさか矛盾とか不自然がテーマ、な訳ないですよね。
 ハンターは抑え目の衣装が良かったです。あくまでも他の職種に比べれば、ですけど。しかし、おかげでHシーンがエロいというのは皮肉なのかなんなのか。

4、紅藤友梨亜
 魔法使いであるがゆえに良識派というポイントが良かったように思います。結果的に弄られ上手になっていたような。本来は異端なのに常識を守る立場ゆえにキャラの良さが上手に出てました。Clochette後輩キャラとしては一番の出来ではないでしょうか。
 魔法使いの衣装は狙いすぎで終始、違和感しかありませんでした。なのでHシーンも無理矢理な感じばかりが強調されていたような。あの場合は露出度が低い方が却って不自然な気がします。

5、海棠璃々子
 難しいキャラですな。情緒が子供なのに知識だけはある、というのがポイントゆえに下手すれば自分のシナリオよりも他のシナリオの方が好かれる可能性があるというあたりが特に。比較的悪くない範囲でまとめてくれたと思いますが、最初はヒヤヒヤしてました。
 ビショップは露出度が他の職種に比べてもアンバランスでよくわかりませんでした。個人的には帽子の目がなんにも使っていないのが残念。なにかしら活用するのでは、と考えていただけに。