せ・ん・せ・い3(D.O.)

 童顔の少年、近藤正太郎(変更不可)は担任である瀬能七海に憧憬とも崇拝ともつかない想いを抱いていた。だがある日、七海が苦境に立たされていることを知る。正太郎は助けたいと強く願って行動に移した。
 果たして七海にとっての障害は取り除かれた。きっと喜んでくれる。正太郎はそう確信していた。ところが、七海が与えてくれたものはまぶしい笑顔どころか、軽蔑の眼差しだった。思いもかけない衝撃。そのとき、正太郎が駆られた衝動は。

 シリーズ第3弾……なんですが、私がプレイするのはこれが初めてだったりします。というのも購入動機が本作担当のライター買いであるから。ぶっちゃけCGや作品の方向性は割とどうでもいい訳で。

 修整ファイルは特に出ていないようですが、私の環境では起動時のメニューで「3Dアクセラレータを使用しない」にしないと開始直後にフリーズするという現象が起きてました。参考までに。

 システムはこの上もなくアドベンチャー。文章中に出現する選択肢によってのみ、シナリオは分岐していきます。選択肢の表示はわかりやすく難易度はかなり低めかと。
 足回りはいつものD.O.スタイル……、であったのは体験版のみ。製品版では新しいものになってます。
 メッセージスキップはなかなか高速。ただし、選択肢と選択肢の間が長いケースが多いので相対的に遅く感じられるかもしれません。次の選択肢に飛ぶ機能とかあると便利だったかも。
 メッセージの巻き戻しは別画面で行います。ボイスの再生も可能でかなりの量を戻れるようです。
 新しく構築された足回りの使い勝手は個人的にはイマイチでした。ゲームの終了やバージョン情報だけが上部ウインドウに設置されていて、その他のセーブ&ロードやスキップといった機能が下部のウインドウに設置されているというのは中途半端というか不便でした。カーソルの置き所があまりないというか。特にウインドウを表示させることによってスキップなどが止まってしまう点が最も使いにくいと感じました。

 シナリオはライター買いの期待に応える出来。豊かな語彙でしっかりと書かれた心情表現にすんなりと世界に引き込まれます。この系統の作品には門外漢に近い私にもすんなりと入ることが出来ました。
 やはり作品の方向性にかかわらず丁寧な描写は大事であると再確認。しかし、ハードな展開においては長所が短所になる、という訳でもありませんが本格派指向でない人だと引いてしまいやすいかもしれません。難しいところかと。とはいえ、展開は多種多様。中には呆気にとられるような天然系のキャラが織りなすソフト路線も。そのシナリオはかなり良い印象として残りました。
 主人公の名前が「正太郎」で女の子のような美少年。ここから連想されるようなシナリオもあります。当然のように。もちろんライターは確信犯でしょう。
 エンディングには多少の不満も。そこまでの展開が様々でありながら結末に似たようなものが多いのはやはり残念なところ。キャラクターの内実が同じであっても状況が違うだけで印象もだいぶ変わると思うのですが。
 完全に個人的な感想を言えば、メインヒロインである瀬能七海の魅力がもう一歩、弱いと感じました(ビジュアル含む)。そこが全ての起点であるだけにもうちょっと有無を言わせぬような強い魅力が欲しいかと。

 CGからはジャンルに相応しいエロさが漂っています。肉感ある原画はかなりえっちぃかと。ただ、グラマーでないはずのキャラまで巨乳にしか見えないのはマイナス。 全キャラ中、篠原薫子だけ妙にCG枚数が少ないのも残念なところ。中心近くにいるキャラだと思うんですけどねぇ。
 逆に七海に魅力を感じられない私は彼女のCGが不当に多いように思いました。
 立ちCGは膝から上で。ポーズはあまり変わりませんが表情は状況に合わせて多彩に変化してくれます。

 音楽は偏見かもしれませんが、このジャンルにはもったいないほどのレベルの高さ。特にピアノをメインに使用した曲はシナリオの内容とも相まって実にいい味を出しています。単体でも充分に聞ける曲が揃っているかと。
 ボイスは残念ながらクレジットはないんですが、かなりの有名どころが揃っているようでかなり聞き応えあり。キャラに則した演技は軽く及第点を越えています。

 まとめ。とっとと「Crescendo~永遠だと思っていたあの頃~」を買うべき、と思わせてくれる作品。月子シナリオなど想像していない方向で楽しませてもらいましたが、やはり普通の純愛系の作品を書いて欲しいかと。
 お気に入り:三浦月子、篠原薫子
 評点:60

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、瀬能七海
 やはり容姿に大きな不満あり。別にそれが全てではありませんけど、全ての原因といっても過言ではない存在なのでもう少し華がある外見の方が良かったのではないでしょうか。外見からして皆が惹きつけられるような。服装が変わって以降はより個性がなくなったような気がします。
 後は正太郎のことをどう思っていたのかがいま一歩わからないのが不満。後からあれくらいではなにかおざなりといいますか。適当に何でも言えそうな感じなので。

2、桂小鈴
 漢字の並びや服装からして最初は日本人ではなく中国系かと思ってました(向こうに「桂」という名字があるのか知りませんが)。
 彼女との間に作る不思議な同盟、連帯感のようなものはなかなか良かったです。ただ、どうしたって本質が違うので長続きはしないんですけど。

3、宮前サキ
 このルートへの移行に関する主人公の心情変化は他では考えられぬほど、描写不足気味なんですが、その劇的な変化が逆に面白かったり。どう見ても同一人物に見えない主人公が笑えます。ただ、一本道のシナリオはちと残念なところ。タイプとしては小鈴の方が上手に見えるだけに。

4、羽田圭
 メガネ保健医。加えて最初から淫乱。それだけでどうでもよし。義弟と仲良くやってください。

5、大野恵美子
 またしてもメガネ。個人的に2/8は含有率高すぎ。
 シナリオはなんつーか、メインヒロイン的ですね。そのせいか、プレイしていて妙な違和感が。なぜ、脇役が主役を張っているんだ? というような。

6、三浦月子
 月子ちゃんは無敵です。彼女の存在なくして「せ・ん・せ・い3」は語れないかと。
 睡眠薬使用ルートのリアクションは本気で驚き、次いで大笑いしました。どんな悪意も通用しない彼女はまさに無敵でしょう。
 ただ、やっぱりエンディングがなぁ。せっかくの天然さが薄れてしまっているのが。しかも、エンディング同じだしねぇ。
 あんまり自信はないんですけど、月子ちゃんの声は日向裕羅さんの声に聞こえます。特に驚いた時の声に強くそう感じます。

7、吉水伊織
 何気に不憫な存在に思えてならない彼女。デフォルトで主人公に軽く扱われているのが悲しすぎ。最も不遇なキャラに見えますよ。サキシナリオでも唐突に出てきて奴隷になっているし。本人のシナリオでもあまり報われていないような。

8、篠原薫子
 不遇さでは負けていないのがこの薫子。大事な役割を持っているのにCGはたったの5枚に単独エンドなし。おまけにマニュアルにひとりだけ載っていません(泣)。
 彼女を主人公が陥落するシーンはわかりやすいながらも雰囲気が出ていて好きです。天然さでは月子先生にも負けていませんしね~。