東京の空 毎年の桜

〜ある日ある空 / 2000年4月9日〜


世の中にたえてさくらのなかりせば
 春のこころはのどけからまし


他に用事があるからとか、人混みは嫌いだからとか思いながらも、桜の便りが聞こえ出すとそわそわします。あの樹が咲き出したとか、あの公園はもう五分咲きだとか、はたまた週末は雨だから見るなら今のうちだとか…。季節感に乏しい暮らしの中で、桜は大事なアクセントのようです。

(この1枚のみ、日比谷公園で4月3日に撮りました。)



山ざくら我が見にくれば はるがすみ
 峯にもをにも立ち隠しつつ


ここからは4月9日に新宿御苑へ花見に行った時のものです。御苑は大きな樹が多いのが気に入ってます。戦後に植樹されたソメイヨシノも清々しいきれいさがありますが、どっしり構えた桜の魅力に多くひかれます。

このページの写真は全てサンヨーDSC-X110で撮像しています。これと1枚前の写真はマクロモードで撮像しています。デジカメのマクロもずいぶんと進化した感じがします。



花ちらす風のやどりはたれか知る
 我に教へよ 行きてうらみむ


ここにひいている歌は古今和歌集に収められているものです。読んでいると、桜の咲き誇る様をたたえる歌よりも、散りゆく桜を惜しむ歌が多いですね。梅の歌が寒さの中で咲くけなげさや、春を待ちわびる心を歌っているのと趣が違います。

この日も、カメラを構えていた時に風が吹き、花が舞い翔んだ時にはシャッターを切るよりも風に身を任せてました。舞い散る桜を写真に収めることはここ何年かの目標ですが、目標達成への道はまだまだ遠そうです。



さくらちる花の所は 春ながら
 雪ぞふりつつ消えがてにする


ここの2枚はちょっと狙って撮ってみました。そんな感じがありありかな。撮ってた時は、上の写真のどっしり構えた幹と奥の池がいい感じだと思ってたのですが、いま見返すと、下の写真の方が色彩鮮やかでいいなぁ。どちらか1枚選べといわれたら、あなたはどちらを選びますか? よろしければお知らせくださいませ



春霞たなびく山のさくら花
 うつろはむとや 色かはり行く


今回もっとも驚いたのは、人混みでふと耳に入った次の言葉。
 「桜が青空に映えてきれいだねぇ」
この日、私はずーっと空が青くないなぁと思って見上げていたのに…。もっとも、別にこの日が特別に春霞が出ていたわけでも、黄砂が舞っていたわけでもないので、いつもの東京の空ではあったのですけど。「東京には空が無い」という言葉がありましたが、とうとう本当の空の青もわからなくなってしまったのかも。
東京が好きな私ですが、空の青さを忘れないよう、時には広い、青い空の下に出かけようと思った休日でした。





このページは「ある日ある空」に参加しています。「ある日ある空」は、みんなで同じ日に空を見上げ、空を撮ろうという企画です。詳しくはこちらをご覧ください。

このページの写真は、1枚を除き、2000年4月9日の12時から13時頃にかけて、東京都新宿区の新宿御苑にて撮像しました。当時の天候は晴れ。冒頭の2枚のうち、左は南の方角を撮ったものですが、右はどちらを見てたか失念しました(たぶん北東だったと思います)。



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平成12(西暦2000)年4月9日作成、5月8日更新