サイクロトロン( cyclotron )とは、円形加速器の一種。磁場の中で電気をもった粒子を同じ周期の高周波電場によって加速して、高エネルギーをもつようにする装置。高エネルギー化した粒子を他の粒子と衝突させて、物理学的反応を起こすのが目的である。具体的には放射性同位体の製造や原子核の人工破壊に用いる。
もちろん同位体のウラン235(天然に多いウラン238の同位元素で高速中性子の衝突によって核分裂を起こす)やプルトニウム239(ウラン238より生成。やはり高速中性子の衝突で核分裂を起こす。超猛毒)といった超ウラン元素は、加速器内の原子衝突でも作ることが可能である。
日本では、主に理化学研究所の仁科芳雄博士らを中心に開発が進められた。目的は必ずしも核兵器開発ではなく、原子物理学実験用である。もちろん、核反応が核兵器への転用につながることは想像可能なことである(原爆投下直後に仁科博士らはそれが核兵器であることに気づいている)。
しかし、研究用であれ民需用であれ軍事用であれ、その構造を当時の軍部は理解できなかったため、研究開発に支援を得られず、戦況の悪化と共に部品調達すら困難になった。
43年、220tの大サイクロトロンの開発は成功したが、試験をするだけの余裕もなく終戦となり、兵器開発につながる可能性があるものとして、米軍の手で完全破壊された上、海中に投棄された。
この種の加速装置は、現在は、工業用、医療用などに使われている。