セツルメントとは、社会事業の一種で、貧民街の救済を行うのに、金銭物品を恵むだけの方法が必ずしも問題の解決にはならないことから、知識階級の人物が直接貧民街に移り住み、宿泊所や託児所などを設置して環境を整え、またそこで教育を行って貧困層の自覚をもたらすという方法。隣保事業とも言う。
東京帝国大学セツルメントは、1922年、関東大震災の救済の一環として、大学の知識人が労働者や貧困層に対する教育を行うために設立された。しかし国家主義体制に移るに連れて、各地のセツルメントは国家社会主義思想を教育する場として変革を余儀なくされてゆき、セツルメント事業の目的について論争(隣保事業論争)を引き起こした。
この間も東京帝国大学セツルメントは、本来の教育による自己開発の場にこだわったが、そのために1938年、閉鎖に追い込まれた。
戦後は福祉教育思想が普及したために、福祉施設が多く設立されて従来のセツルメントに代わった。そのため、大学を使ってのセツルメント事業は行われなくなり、その方法が学生によるサークル活動などを経て、現在のボランティア活動に引き継がれている。