広葉樹の生産者として
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節や虫穴も木への愛着
(株)オグラ
代表 小椋俊光
父の代から広葉樹の伐採、搬出、製材、販売をしていて、昔は節や虫穴があると、そこを切り捨てて製紙用のチップにしてしまいました。 もったいないので節や虫穴のある木にも欠点がない木以上の魅力を考えて『きこりの店』という店を作って直販したら、たくさんのお客さんに買っていただけるようになりました。伐採や製材の現場を見てもらったりしながら、買ってもらうと、木に対する愛着はいっそう強くなると思います。
広葉樹の小径木を建築に使う場合にもぜひ、伐採や製材の現場をお客さんも一緒に見ていただくと良いと思います。

2002年3月31日 只見木材加工協同組合の組合員に加入
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たくさんの広葉樹を使って木材の質を上げ、価格が下がればいい
酒井建設製材所
営業 酒井正雄
できるだけ地元の山から切り出した木材を使うことで地域にお金が回るようにしたいと考えているのですが、最近は山の手入れがされていないため、山からの搬出にお金がかかる一方で、木材の質は悪くなる傾向があります。しかも、工務店など使う人は安くて質の良いものを要求するので、大きな無理があります。広葉樹専門の製材工場がほとんど無くなってしまったこともあり、様々な樹種の賃挽きにも対応しています。広葉樹を家の中で使うことで木材全体が引き立つようになればいいと思っています。

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広葉樹の欠点を隠さず良さも出す
只見木材加工(協)
酒井伸幸
ずっと広葉樹の手づくり家具を作って来ましたが、今回は大黒柱や床板、壁板などの建築用材料を作りました。広葉樹の欠点は製品にしてから割れ易い、曲り易い、隙間が開き易い、色が変わり易いということです。それ以上に木目がきれいで、同じものがほとんどなく、木としての存在感があるという魅力もあります。いかにして欠点を抑えて魅力を引きだすかということをいつも考えながら1つずつ木に合わせて作っています。最近はお客さんのほうも木の欠点や魅力を良く知っています。塗料一つでも木の素材の欠点を隠さないで素朴な良さを引き出すものを指定されることもあります。

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広葉樹のおもしろみを出すにはきちんと作る
只見木材加工(協)
酒井秀樹
栗の木は水分が多いと黒くなりやすいので、今まで土台位にしか使ってなかったが、今回は冬に切った木を良く乾燥して使ったので、渋は抑えられ、白くてきれいに仕上がった。
杉や松は曲ったり割れたり、伸び縮みはないが、おもしろみは少ない。ちゃんと乾燥させて、ちゃんと作れば、広葉樹も問題は少ないし、良いものができると思う。

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建築の中に広葉樹を使うことについて
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造る人と住む人の顔や生き方がわかる家を建て続けたい
生活空間研究所
所長 佐山希人
木材をふんだんに使い、余分な天井を貼ったりせずに、仕上げ材として使うちょっと怪しい居酒屋のような雰囲気の家「木造打ちっぱなし住宅」を設計しています。
限られた敷地の中で、その家の中に自然の光が入り、家の中を風が通り抜けていくような住宅をコンセプトに設計しています。 わたしの会社のチラシには、その家を作るのに関係した基礎屋さん、大工さん、佐官屋さん、設備屋さんなど、すべての人の似顔絵をのせています。木造打ちっぱなし住宅では、余分な化粧はしないでどの程度の技術で作ったかがひとめでわかります。造る人と住む人がお互いの顔や生き方がわかるような家を一生造り続けるつもりです。
平野さんの家を造る時には、只見の栗の木を使って大黒柱やあがりかまち、いろり縁や机の足を造りましたが、こういう材料を使うことで、大工もやりがいのある仕事だと気合いが入っていました。

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自然の恵みを活用し、ゆっくりと栖み家をつくる
YU工房 代表
三坂恭一
常々、心がけていることは、「ものづくり」を通じ社会に何を提示出来るかということです。特に住宅設計という仕事は、地形を読み、自然を科学し、総合的な生活像を把握し、問題点をまとめ、そして一つの美しい「かたち」として、多くの専門家と共につくりあげていく作業の様に思われます。
自然の恵みを利用し、夏時に足元を通る風邪の気持ち良さや冬時の太陽のぬくもりを建物の内部に導いたりと、自然の恵みの活用も必要です。又、一時的な省エネルギーだけでなく、トータル的なエネルギーの活用も考えなければなりません。工法や材料等にも地域の特性や特徴を生かし、自然と共に生活出来る「栖み家」づくりを考えたいものです。
そういう意味で木は、100年利用出来る建て方や、再利用の方法も含め、もう一度見直す素材です。杉や桧、松材だけではなく、木肌が美しく、ぬくもりのある広葉樹の活用も必要なのです。

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木材と大工賃を増やせば木のにおいのする住宅ができる
大工
渡部義明
おれはお客さんが作って欲しいって言えば、どんなもんでも作るけど、良いもの、ちょっと変わったものを作っぺと思えば、やっぱりそれなりの手間も銭もかかるのが普通だ。
ところが今のほとんどのお客さんは「安くていいものを早く」と要求する。そうなると結局はあたりさわりのないように工場で大量生産された建材を使うしかなくなる。
一軒の家を建てるのに木材の代金はせいぜい総工費の1割程度、大工手間も1割っていうのが普通だから、う〜んと木を使ったって2割。大工手間もう〜んとかけても2割。木材と大工手間を今の2倍かけて、総工費を2割増やせば、もっと木のにおいのする、建材をあまり使わない家ができんだ。

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