デジタルズームという、 用語 に、反対します。


 もちろん、みなさんはズームレンズをご存じでしょう。レンズの組み合わせを買えることで、焦点距離を連続的に変化させるレンズのことです。大変便利なレンズですが、ところが、もう一種類「ズーム」という言葉を使う機能があります。それが、デジタルズームです。
 ズームレンズというのは、一本のレンズの中で、いわば倍率の違う望遠鏡を取り替えて使うような物。それぞれのレンズによって性能はまちまちですが、基本的には大きく拡大して見えるのです。
 ところが、デジタルズームというのは、光学的に拡大するのではなく、画像の一部を切り取って、あたかも拡大したかのように見せる機能です。 従いまして、確実に、画像は劣化します。いかに優れた補間技術を用いたとしても、オリジナルに迫る解像力を得ることは、原理的に不可能です。
   
この2枚は、オリジナルを縮小した物と、4倍のデジタルズーム相当の補間をした画像です。補間技術の良し後は、メーカーによって差があるにしても、基本的にこのような画像劣化は、必ず起こります。


2倍ズームとはどういう意味がご存じですか。ある被写体が、画面の中で、半分の大きさに写っていたとします。これが画面いっぱいの大きさに写ると、これが2倍ズームです。3倍ズームなら、3倍の大きさに写るわけです。デジタルズームの場合は、画面サイズを半分に切ってしまいますから、それで画面いっぱいになり、これをデジタル2倍と称します。この時、縦・横、共に半分になるわけですから、2倍デジタルズームなら画素数は1/4。4倍デジタルズームなら画素数は1/16になります。400万画素でも、2倍デジタルズームで100万画素相当。4倍デジタルズームなら25万画素相当にしかなりません。


ビデオの世界ではデジタルズームも一般的。しかし、ビデオはパソコン上で、簡単に拡大することが出来ません。そのため、デジタルズームも一定の役割を果たしていると言えるのですが、そのまま静止画に持ち込んではいけません。また、動画の場合は多少の画質劣化もわからない場合もありますが、静止画はわずかな画質劣化も気になります。動画と静止画は、違うのです。


 デジタルズームのような機能自体を悪いとは言いません。便利に使っている方もおられるでしょう。しかし、ズームと言うことを良く理解せず、デジタルズームは画質が劣化することを知らず、「デジタルだからアナログより良いのだろう」と錯覚をしている消費者もいます。たとえば、ある機種は光学3
倍、デジタル3倍で9倍ズーム。もう一方は、光学3倍でデジタル2倍だから、6倍ズーム。こんな比較をする人がいるのです。

デジタルズームは、レンズによるアナログズームより、確実におとります。

そこで私は、次のような提案をしたい。
1.ズームという用語は、レンズによる光学ズームに限定して使用する。
2.いわゆるデジタルズームについては、補間して出力をする、しないにかかわらず、ズームという用語を使わない。デジタルトリミング機能、デジタル拡大機能など、その他の表記に置き換える。
3.光学ズームと、デジタルズームは、光学3倍、デジタル3倍で計9倍ズームなど、合算した表記を行わない。別個の機能として扱い、別々に表記する。

 いわゆるデジタルズームという、機能そのものに反対する物ではありません。しかし、ユーザーに誤解を与える、不当表示とも言える用語であると考えます。したがって、相当する用語を変えるべきであると、提言いたします。

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