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2003年8月30日 倉高19期関東同窓会

今回は、山岡先生のお話をお聞きすることができました。先生は現在東京にお住まいになられ、蛍の研究など、ご高齢ながら、活発な活動をなさっておられます。

 
山中先生ご講演 蛍のこと  

森和久です。

山岡先生のホタルの話は、正直に言って、「こんなに面白いとは 予想していませんでした」。高校時代、理科がすべて苦手だった私ですが 今はどういうわけか植物が趣味となっております。 山岡先生のお話をかいつまんで書いてみます(メモを取らなかったので あやふやなところがありますが)。

■「ほ、ほ、ほたるこい、あっちの水は苦〜いぞ、こっちの水は 甘〜いぞ」が事実かどうか確かめた。一般にはほたるに甘い水を与えると 死んでしまうと言われていた。最初は霧吹きでかけてやったが、やはり 皆死んでしまった。どうしてだろうと考えた。昆虫は気門で呼吸するので それが砂糖水で詰まってしまうのではないかと考えた。そこで 2枚の皿に砂糖水と水とを入れて観察したら、砂糖水に集まっていた。 次ぎに砂糖水を与えたほたると水を与えたほたるの生存日数と 産卵数を比較したら、砂糖水を与えたほうが良好であった。

■沖縄ではほたるはサトウキビ畑に多い。ほたるが何をえさとしているか 不明である。葉にはとまるが花にはとまらないので密を吸っているとは 思えない。又、甘いというのはほたるにとってであって、砂糖の甘さか どうかわからない(なぜ童謡で甘いと言ったのかわからなくなる)。 ほたるの食草探しを皆さんにお願いしたい。 ほたるの減少は食草の減少が原因ではないかとの仮説を持っている。

■ほたるは夜決まった時間にとびまわる(確か、20時、24時、3時?)。 なぜかわからない。たとえば昨年は20時にホタル狩りをして 沢山とんでいたが、今年は21時にホタル狩りをすると、今年は ほたるが少なかったという話になる。

 

大石です。

森さんの様に詳細には聞き取れませんでしたけれど追加です。 本当に楽しかったですね。 夜の暗闇に飛び交う蛍。 その光の中を歩き回る、先生のにこやかな お顔。 その幻想的な情景が、お会いしている間中、脳裏にずっと浮かんでいました。

「高島平に、川に天涯を張ってホタルを飼育している人が居る。 何万匹もいるというんで、嘘だろうと思いながら夜行ってみたんですね。 そしたら、その天涯がホタルの光で、こうこうと輝いている。本当だったんですね。 その川の中で、ホタルの世話をしている人は、茶髪で変わった人なんです。 その人はホタルのことを、ホタルさんって呼ぶんですね。ホタルと一体なんです よ。」

段々と不思議にも不思議を重ねるお話になってきました。

「その人は夜、ホタルの世話をする。なぜならホタルは夜行性だから昼間は寝て いる。 だから、世話するなら夜だろうというんですね。 あっと、思ったんですね。私は何十年も研究室で一生懸命ホタルの世話をして研究 してきたけれど、昼間だったんですね。」

それから、何故ホタルの研究をしてきたのですかという質問に、何故かわからな いけれど とおっしゃって、高校生時代の思い出を話されました。

「学徒動員で、長崎の近くに居た時、原爆が落ちたんですね。 夜、船で長崎に渡り、汽車のトンネルの中で仮眠して、次の朝救援活動に出ました。 その時に、いろいろな事を見てきましたが、中でも忘れられないのはね、ある処で 痛いよ、お母さん痛いよって子供の声がするんで探してみたら、もう青くなって 死んでいる ような女性の横に男の子と女の子が横たわって居るんです、抱き起こしてみた ら、その子の 顔がないんです。その顔の下の方の小さく開いたところから、お母さん痛いよって。 私は目の前が真っ白になって………。」 「その救援活動の時、私は被爆したんです。」

真摯にホタルの研究にいそしまれる先生の、深い優しさに触れた思いでした。 「ホタルの事だったら、何処にでも行きます。」 短いお言葉に、熱がこもって いました。

     

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