さよなら桜前線
いつもの道の桜が、もうすぐ咲きそうだ
そうか、もうそんな季節なんだ
…でも、桜は好きだけど
とても好きだけど
どうしてか、見てるととても哀しくなる
夜、誰もいないところで、
桜がはらはらと散るのを見ていると
わけもなく泣きたくなる
みんなが、舞い散る桜を見上げて言う
「桜、きれいだね」「いちばんいい季節だよね」
「わたし、桜大好きなんだ…」
けれど花の季節をすぎて、緑の葉が枝を包むとき、
冷たい風が枝をすり抜けるとき、
だれも桜を見てはいない
ずっと桜はそこにいるのに、かわらず生きているのに
だれも桜を気にかけていない
そこにいるのに、生きているのに…
……そうか、桜は知ってるんだ
花の散るあいだだけ、人が見上げてくれるのを
だから、花びらを散らしながら、人にいってるんだ
「さよなら、さよなら、さよならみんな
また春がきたら、わたしのこと思いだしてね……」
桜さん、桜さん、さみしくない?
わたしとお話できたらいいのにね…
無限回廊..
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