ベベウ・ジルベルト in TRIBUTE TO THE LOVE GENERATION
2001年初のライブは、あのジョアン・ジルベルトの愛娘ベベウです。
昨年出した初の本格的ソロアルバム「tanto tempo」のナンバーを中心としたライブが、これまた昨年、お台場にできた新しいライブレストラン「 LOVE GENERATION」で行われました。

会場は若い人が多く、「彼女がジョアンの娘だから」という理由で来ている人なんて
ほとんどいないという感じ... 逆に言えば、ボサノバのボの字も知らないであろう若者たちがこんなにたくさん、ボサノバの創始者ジョアンゆかりの女性のライブに来ているなんて、感動すら覚えます。新しい世代に新しい切り口でのアプローチをかけ、それが見事に当たったという事の現れなのでしょう。

濃紫のスリップドレスで登場のベベウは、思っていたより小柄で身軽でマダム風。
そしてさすがに歌がうまい! ジョアンとミウシャの娘が音痴な訳はないかもしれないけど、2世は上手くて当然、それ以上を求められる世界なだけに、彼女の努力も相当あるのだろうと思います。というのも、16歳で独立してニューヨークに住まいを移したベベウは、ブラジル音楽以外のミュージシャン達と交友を深め、自分なりの音楽を模索してきた期間が長かったよう。それはちゃんと実を結んでいました。

そして、もともと”あらゆる打ち込み駆使!”の「tanto tempo」の曲を一体どうやってステージで表現するのだろうか?というのも今回の楽しみのひとつでした。
それに関してはちょっと思ったより打ち込みが多かったかな(同伴の知人は激怒...)
という気もしないではありませんが、ベベウとギタリストが2人で演奏した曲などは
ナチュラルで、とても心打たれるものでしたし、まったくポップスアレンジにした
「3月の水」などはかえってそれが良かった!休憩を挟んでの約2時間のライブは、あっという間でした。
ベベウの根底に流れるボサノバの血の上に築かれた「彼女の音楽」を体感した、そんな夜でした。
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ローザ・パッソス in サバス東京
2000年11月、初めて観るホーザのステージ。
期待と通りに第一声から完璧なヴォーカルです。ブラジル人にしては小柄で、黒髪のストレートヘア。ショッキングピンクの衣装がよく似合うホーザは、時々ステージに用意された数本の薔薇を客席に投げ渡しながら歌い続けます。

そして、彼女はギターを立って弾くのです!
「スカートをはいたジョアン・ジルベルト」と呼ばれる彼女がまさか立って弾くなんて...と最初はちょっとびっくりしましたが、そういえば、ホベルト・メネスカルも立って弾いたりしてたことがあったっけ。どうもストラップをしているとフォーク歌手みたいな出で立ちに見えてしまうのは私が日本人だから?
と、それは置いておいて、上手ければそんなことはどうだっていいんですよね。
鋭い音をはじき出す姿は本当に格好いいのひとことでした。
今回はバンド形式だったので、ホーザがギターを弾いたのはほんの数曲でしたが、弾き語りだけを観た〜いと強く思いました。

ライブ終了後には新作の「ホーザ、ドリヴァル・カイミを歌う」のCDを買って、サインをもらってきました。
来年の日本公演の予定はないそうですが、次回をまた楽しみにしたいと思います。
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クレモンティーヌ in ブルーノート東京

2000年11月中旬、クレモンティーヌ、久しぶりの日本でのライブです。
実は昔、私の友達が彼女のライブに行って
「クレモンティーヌが踊ってた。なんだか変だった。がっかりした」
というコメントをしたため、なんだか私までがっくりしてしまったのです。
でも、結論から言うと、今回のライブは想像以上に良いものでした。

まず、クレモンティーヌの声はCDで聴くよりもずっと強くて、音程もしっかりしていて、もとがジャズシンガーでありながらブラジルのテイストやリズムをしっかり理解した歌い方を心得ているのです。往々にして、ジャズをやっていた方がボサノバを歌う時、どうしても後ろに歌詞を引っ張ってしまう傾向があるのですが、彼女にはそれがない。ちゃんと前ノリで、ハマルのです。

また、これはいつも思うのですが、ブルーノートはバックミュージシャンが非常に優秀で、毎回、「あ、この人うまいなぁ〜」という人が何人もいるんですよね。
今回は数学者みたいなフルート/サックスのピエール・ミムランというミュージシャンがすごくいい音を出すのに酔いました。彼が楽器を鳴らすと、パッとまわりが明るくなるような、そんな音なのです。
また、ギターを弾きながら数曲クレモンティーヌとデユエットしたトニーニョ・ド・カルモもなかなかの美声。そして今回はジャンヌ・モローの作詞で有名な「Les Voyages」を当時プロデュースしたギー・ボワイエがヴィブラフォンとピアノで参加し、華麗なバチ使い(?)を披露してくれました。
極め付けは、クレモンティーヌがマラカを自在に操りながら歌った「Couleur cafe」。たまげました。かなりの猛特訓をしたのでは...とその様子が目に浮かんでしまった
くらいです。

でも、ひとつ残念だったことは、パーカッショニストがいなかったこと。
ドラムはいるのですが、小物のパーカスはての空いた人がちょこっとやるという感じだったので(それも愛嬌があっていいけど)、やっぱりせっかくブラジルものをたくさんやるのなら、ドラムと別にパーカッショニストもメンバーにいたらもっともっと素敵だったのになぁ...
でも、とてもお洒落なライブだったことは確かです!

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ジョアン・ボスコ in サバス東京
5年ぶりの来日、しかも久々のソロとあって期待高まるジョアン・ボスコのライブ。
1999年6月22日から6日間行われた内の1ステージを観に行きました。

とどのつまりは「彼のギターは凄かった」という他ありません。
もちろん今まで観たアーティストも、ギターがうまかったのは決まっていますが、
たったひとりで出てきて、合間合間にコーヒーを飲みながら自分のヒット曲はもちろん、ジョビンや「ブラジル」などのボサノバ・スタンダードも折り混ぜ弾き語る姿は、あまりにも自然すぎて不思議なほどです。

何十年とギター弾いてるんだから、当然かもしれませんが、指の動きにとにかく無駄がありません。フレットを押さえる指はまるであの毒蜘蛛タランチェラみたい!
ほとんど客席を見ずにフレットを見て弾いて歌っているのにせせこましくなくて、観ている私たちも違和感を覚えません。
堂々たる風格と、築き上げた実績と自信がみなぎっていました。

同じジョアンでもジョアン・ジルベルトと違って、ジョアン・ボスコは生粋ボサノバ人ではなく、アフロ・ブラジルの方の人です。
ギターの弾き方もジョアンのバチーダではありませんが、様々なバリエーションを持っていて、聴く人を飽きさせません。(逆に基本は同じバチーダで2時間ライブをひとりでやってしまうジョアン・ジルベルトは凄いです)
イントロも、一体何の曲か歌い出すまでわからないほどあれこれ弾きまくったり、コード置き換えも並じゃあないのです。もう、しつっこいくらいにあれこれいじってあって、アレンジ能力も相当なものであることがわかりました。

ほっておいたら一晩中、誰も聴いてなくても弾いてそうなくらいで、とにかくギターが、歌が好きなんだなぁーとしみじみ思ってしまいました。
ほんのわずか時々、コードの押さえが甘くて音がガッとなってしまうこともあるんですが、そんなのぜんぜんご本人はどこ吹く風。1時間40分のステージ中、1度もチューニングをし直さずに弾き倒してました。
今年53歳とは思えないパワーです。毎晩、休憩もそこそこに2ステージやっているのに、疲れたりしないんでしょうか?!
梅雨のさなか、濡れそぼって出かけた甲斐の多いにあるライブでした。
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セルジオ・メンデス&ブラジル2000 in ブルーノート東京
10年ぶりにブルーノートに出演するセルジオ・メンデス!
1999年2月23日から6日間行われたライブ最終ステージを観に行きました。

セルジオ・メンデスはかつてアメリカでセルジオ・メンデス&ブラジル’66というグループでアメリカで活躍し、そして今もなお現役で活躍中のピアニストです。
今回は自ら弾くキーボードに加え、若いメンバー(キーボード、パーカッション、ドラム、女性ボーカル2人をブラジル2000と命名)と共に来日、エネルギッシュなステージを展開してくれました。

しっとりボサの好きな私も、華やかなブラジリアン・サウンドにすっかりハマりました。馴染みの曲も多く、「ブラジル音楽は初めて」という友達を連れてきても、充分楽しめただろうなあと思ったくらいです。
ライブは、もちろん好きなアーティストを生で観たい・聴きたいから行くのですが、
そうじゃなくて行く場合もあります。そういう時、知らないとつまんないものから、わからなくて行ってもそれがきっかけで好きになるものと...色々ありますよね。初めてのお客でも惹きつけるというのが理想のステージとはいえ、それは本当に難しい。
そういう点では200点満点というか(セルメンに点数をつけるなんておこがましい限りですが)、見習いたいステージングでした。本当に観てて楽しかったです。

とにかく演奏がうまい!
キレが良く、バシッバシッと決まるところで気持ちいいくらいに決まるのです。
ケント・デリカットによく似たキーボーディストがもーとにかく素晴しいプレーで釘付けでした。しかも私と同じKORGの01を使ってたんです。「私のシンセであんな風に弾けるなんて...」と2重に信じられない気持ちでした。
女性ボーカルもパンチがあってよかったし、パーカショニストも大活躍でした。
...というのも、盛り上がってきた所でセルメンは休憩に引っ込んでしまったんです。
その間、このパーカッショニストがスルドにアゴゴにガンザに、パンデイロからビリンバウまでいろんな楽器を弾きまくり、さながらパーカッション・ショーです。汗だくで叩き狂ってました。
どうも彼は力ずくで演奏しきってしまうタイプのパーカッショニストのよう。パーカッショニストの知人によると、外国人は体力がついて行くからか、こういうタイプは多いようです。筋肉隆々で無茶苦茶がんばっちゃって、できちゃうんですよ。
でも本当はそんなに体力がなくても、疲れないでもできるのだそうです。だって日本人のパーカッショニストだって細い人はいますからね。どっちがいいかは、音次第ですけど。
...しばらく彼ががんばりまくって、やっとセルメンご復帰です。
往年の名曲をそのままに、そして新しいパワーをも感じさせてもらったライブでした。
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ガル・コスタ in ラフォーレミュージアム六本木

1998年7月7日から10日までの4日間行われたライブの3日目、9日のステージを観に行ってきました。
ガルといえば私の大好きなアルバム「o sorriso do gato de Alice」!
こんなアルバムを創るのが夢なんです。その夢をカタチにしているアーティストですからとっても楽しみにして出かけました。
私の席は一番前のはじから2番目のテーブル。ステージに向かって右端だったのでちょっと観にくいなあという感じでしたが、始まったらそんなことは忘れてしまいました。

渡辺貞夫氏の紹介で登場したガル・コスタ率いるバンドのメンバーは7人:ベース、ドラム、パーカッション、ギター、ピアノ、サックス、フルート、そしてボーカルのガルです。
私の席からはパーカッショニストがよく見えて、とても面白かったです。
実際にブラジル音楽の中に使われている楽器のすべては日本で手に入らないものもありますし、何をどう使ってどんな音が出てるかってわからないですよね。
だからいつもパーカッションがメンバーに入っているときはそれを観るのが楽しみのひとつです。
いろんな楽器を並べて、まるでお店屋さんみたいな中に自分が入って、1曲の中で本当にいろんな楽器をやってるのも楽しそうで、子供の頃に観てたらきっとパーカッショニストに憧れてただろうなと思いました。

「Aquarela do Brasil」で幕を開け、ガルは最初から余裕で歌います。
堂々というのがピッタリの貫祿。途中、照明さんが消し忘れたライトをゼスチャーで消せ!とやったりまでしてました。
おぉ〜やっぱりすごい。歌がうまい!と感動盛り上がってきたところでいきなり、手を高くあげたままステージの袖にさっさとひっこんでしまいました。
え?と思いきや、どうも第一部は終了ということのようで、場内は明るくなりました。

休憩ありかぁと思っていると、会場内で友人が私を見つけてやってきました。
彼女はガルの大大大ファンでなんとこの3日間すべてを観に来ているとのこと。
「明日も立ち見で来ようかなあと思って...」と言うのですから驚きです。
(後日談:結局彼女は4日間すべてのステージを観に行ったのでした)
そして彼女の情報によると、毎回こうやって休憩が入り、アンコールもなしの時もあったし、最後の曲をアンコールに廻したりしていて、あんまりサービスは良くない?とか...(笑)私は花を持ってきてたので、アンコールがなくちゃ渡せないじゃない!と思い真剣に後半のステージングを聞いてしまいました。

15分くらいの休憩のあと、再び第2部が始まりました。
渡辺貞夫氏のサックスとともに数曲を演奏、その後は大好きな「Felicidade」も歌ってくれてちょと気を取り直していた所、やっぱり最後もあっという間にステージを去ってしまったのでした。幸いこの日のアンコールはあったので、無事花を渡すことにも成功。よかった...

全体的にMCはほとんどなく、歌中心!のさっぱりしたライブでした。
アーティストはよく最後にステージを左右に歩いて、客席に「Thank you!」って言ってまわったりするじゃないですか。そいうのがぜんぜんないんですよ。
ガルはいつもこうなのか? それともたまたまなのか...?
次回また行ってみようと思います。

余談ですが、会場では堺正章氏、岩崎広美さん、かまやつひろし氏に会いました。
この3人が一緒に来てた訳じゃないですよ、念のため。
他にも、私は存知ない方でサインしてる人たちけっこうがいたので、客席にも有名人が多かったライブでした。

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マルコス・ヴァーリ in サバス東京
4月30日、マルコス・ヴァーリのライブへ行ってきました。
知らない人はまずいないあの『サマー・サンバ』の産みの親であり、アーティスト歴34年というボサ界を代表するひとりです。
ギタリストかとばっかり思っていらっしゃる方も多いようですが、彼のメイン楽器はピアノ。そのステージングは...噂には聞けど、どんななのかと楽しみにでかけました。

当日のバンド構成はドラムにエレキベース、ボーカルのサポートに女性がひとりと自身の弾くギター、またはシンセという4人編成。
まずはのっけからシンセ弾きまくりでスタートしました。
ギターは弾き語りを数曲やっただけで、あとはすべてensoniqのシンセをメインにした音作り。これを観ていて『サマー・サンバ』にハモンドオルガンがなぜあんなにピッタリなのか?というのがよくわかった気がしましたよ。やっぱりマルコスのホーム楽器は鍵盤なのですね。

他にはもちろんシンセの弾き語りもありました。
適度に入る女性ボーカルのパトリシアとのハーモニーも心地よく、ベースとドラムとシンセだけの編成のライブというとなんか寂しげですが、そんなことはぜんぜんなくて、ほどよいバランスの保たれたステージでした。

シンセの音をあんなにそのまま弾くなんて、そんなのアリか?!というようなことでも海外アーティストの方々は平気でやってのけちゃうんですよね。いつもそれには驚くんです。今回のライブでもそうでした。
日本人のキーボーディストだったら、すごく音をいじったりするじゃないですか。
プリセットの音をそのまま使ってる人なんてあんまり...私くらいしか(笑)いない。
その私でも躊躇するようないかにもシンセ!って音をめいっぱい弾き倒してしまうのってすごいです。やっぱりり感性が違うのかなぁなんて思います。

私も初めて手にした楽器はピアノ。その後もずっと鍵盤をメインに音楽に携わってきました。でもそれでボサノバをやるってとても難しいことなんですよ。そういうことに頭を悩ませていた私には目から鱗...というのでしょうか。こんな感じでもいいんだなあ〜と。これはこれで違ったボサの形です。
全体的にみるとこのライブはMPB寄りではありましたが、ボサのテイストもしっかり入っていたし、私にとって得る所の多いステージでした。

帰りにはCDを買ってご本人にサインをしてもらいました。
上記のような思ったことを伝えたかったのだけど、私のレベルでまさかそんな高度なポルトガル語が、しかもとっさに出てくるはずもなく「Por favor.」「Obrigada!」「Tchau!」で事は済んだのでした...
でもね、それでもちょっとはコミュニケーション図れるし、嬉しいですよね。
マルコスもポルトガル語で対応してくれたし、この3語は便利です。皆さんもぜひ使ってみてください。
ついでにちゃんとしたポルトガル語をご参考までに...
 「Voce poderia me dar seu autografo?」(サインしてもらえますか?)
 「Adrei seu show.」(今日のショーはとても良かったです)
しかしながらブラジル人アーティストってみんな英語ペラペラなんですよね。
英語使った方が早かったりして...
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ジョイス&ジョビン・ファミリー in ブルーノート東京
先週のボサ・フェスティバルの興奮も覚めやらぬ8月16日、ブルーノートで行われたジョイスとジョビン・ファミリーによるジョイントライブを観て来ました。
5時30分オープンだし、いつも6時頃に着けばちょうどいいから・・・なんて思って出かけたのですが、この日は訳が違ってました。もうこの時点ですでに半分は満席状態で、前の方はぜんぜん座れないんです。さすが人気度が違う!と実感することしきり。

全曲をジョイントでやるのかと思っていたら、前半がジョビン・ファミリー、後半がジョイスという構成になっていました。
もちろん繋ぎの部分やラスト、アンコールなどは全員で演奏してくれたのですけど、
2組みのステージもそれぞれゆっくり、しかも一度に観られてお得な気分でした。

ジョビン・ファミリーとは前回のライブレポートにも書きましたが、ジョビンの息子のパウロとその息子(ジョビンの孫にあたる)のダニエルのことです。
ジョビンゆかりの、一番の血縁の彼等が今こうしてそのジョビンの曲を演奏し、歌ってくれていることだけでもう充分! 私にとっては泣けてくるほど嬉しいことです。しかも数々の名曲を、昔のアレンジのままやってくれたというのもすごく嬉しかった。あまりにスタンダードになりすぎて、コルコヴァードやメディテーションや3月の雨・・・などなど、巷ではいろいろすぎるアレンジで聴くことが多かっただけに、私が原点と感じるアルバムたちそのままの構成に感動しました。

そして後半にジョイスが登場。出てくるなり圧倒的な存在感です。
そしてベース(6弦のもの)だけで歌ってしまカッコ良さと言ったらない!
もちろんギターテクも必見です。私の知人の男性陣は「彼女って気が強そうだなあ」なんて言いますが、そうじゃなくっちゃジョイスじゃないでしょう。
その強さと美しさとしなやかさが女性ファンを魅きつけるんですから。
アルバム『イーリャ・ブラジル』のナンバーをはじめ、力強いボーカルを聴かせてくれました。

いつものことながら、メインアーティストと一緒に演奏しているミュージシャンたちの実力にもため息です。今回もジョイスと一緒に出ていたフルート奏者は素敵でしたよ。なんだか不思議な縦笛を、しかも2本同時に吹いたりしてびっくりしました。
ちなみにドラムスはジョイスの旦那さまでした。
約90分のライブはあっという間に終了。来年もブラジルを感じられる夏を運んできて欲しいです。
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GET'S BOSSA NOVA 97' in よみうりランド・オープンシアターEAST
”雨天決行”の文字におびえつつ迎えた8月9日、ボサノヴァ生誕40周年記念のライブはそんな心配とはかけ離れた真夏の炎天下で開催されました。
キリンが特別協賛しているだけに、雲ひとつない青空にビール、ボサノヴァという組み合わせは多くのファンをなおさら魅了したことでしょう。
しかしながらもともと飲めない、そして風邪をこじらせた私には正直言って過酷なイベントでもありました。幸いにも近づいていた台風のおかげで風があり、また私の座席がコンサート開始後40分程で日陰になったため、なんとか救われましたが、みんなバスタオルやバンダナなどでほっかむりをして直射日光を遮る工夫に余念がありませんでしたよ。男性は上半身裸ってひともたくさんいました。

さてさて肝心のライブの方はマルセウ・マイア・グループで幕を開け、オープニングにふさわしくカヴァキーニョから力強い音色を爆発させてくれました。そんな中、なんだか彼ってジャンボ尾崎に似てる・・・なんて始終関係ないことを考えていた私。
そしてお次はジョイスの娘クララ・モレーノ。
ジョアンの歌う『SO DANNCO SAMBA』と同じとは思えないような斬新なアレンジで
この曲、そして他を披露してくれました。

その後に登場した母・ジョイスはさすがの歌唱力!
私は次週のブルーノートにも行く予定にしていたので「うーん 今年は予約して良かった」とニンマリ。それにしても母娘でミュージシャンなんて格好よすぎる!
そしてそれからワンダ・サー。
私が聴いていたCDから想像してたよりもハスキーで、すごく”いい感じ”のヴォーカルでした。彼女もブラジルでは娘とライブやったりしてるんですよね。

そしてロベルト・メネスカル、カルロス・リラとお馴染みの巨匠が次々と登場、ボサのスタンダードをこの世に送り出したその張本人の演奏や歌が目の前で観られるなんて・・・と感激もひとしおです。
次にはイヴァン・リンス登場。私の席からはピアノを弾く彼の背中しか見えなかったんですが、やっぱり現役、人気がすごい。若者(特に男)のファンが熱狂してました。

ひとりのアーティストのライブと違って、所どころにセッティングの都合もあって休憩が入るんです。その間に特設テントで売っているいろんな飲み物や食べ物を調達しに行くのですが、それがものすごい行列なんですよ。それでもどうしてもかき氷が食べたくて、次のレイラ・ピニェイロはかき氷の列に並んで聴くことになりました。
ちょっと残念でしたが、私の席はスピーカーのすぐそばだったので、低音が強調されてとてもバランスが悪かったのです。その点、全体的な音が聴けたので(並びながらでもちゃんとステージは見える)かえって良かったかなぁーなんて。ピアノ弾き語りもとても素敵で、とにかく歌唱力はピカイチ。私の後ろに並んでいた女のコ二人組みも『本当に歌ってんの?って感じ。レコードみたいにうまいよねー』と言ってました。

やっとのことで手にいれたかき氷を手に席へ戻ると、ついにアストラッド・ジルベルトが舞台へ!
もっと仰々しくお出ましになるのかと思いきや、気がついたらもうステージへ上がっていたという感じでじつにあっさり歌い始めました。
ここまでに、さんざんすごいヴォーカルを聴いてしまってるだけに、アストラッドびいきの私でも何となく物足りない感じが最初はしちゃったんでが、そこがアストラッドの良い所なんですよね。朗々と歌い上げてしまってはアストラッドじゃない。
イパネマは歌ってくれなかったけど、なんだか本当にそのまんまなんですよ。
不思議な魅力でした。

夕暮れに三日月がポッカリ浮かぶ頃、ジョビン・グループが始まります。
ジョビンの息子のパウロとその息子のダニエルがジョビンのナンバーをギターとピアノで歌ってくれました。今となってはこのふたりの演奏を聴くことが、亡きジョビンを感じられる最短の道である訳で、感慨深いものがありました。
特にダニエルはジョビンの面影が強くて、なおさら嬉しくなっちゃいました。

ここですべてのアーティストの個々のステージが終わり、ここからは色々な組み合わせでジョビンの曲をメドレーのように奏でて行く進行になりました。
ほんとに錚々たるメンバーによる豪華なショーです。これだけ観るだけでも充分満足ですよ。客席もほとんど立ち上がり、夕闇にそびえるジェットコースターの下で夢のような空間が生まれたのでした。
そしてのべ4時間半にわたるライブは一応の幕を降ろしました。

ところが皆がまだ余韻に酔っていたそのあとすぐ、突然現実に引き戻すかのように「本日は起こしいただきましてありがとうございました。これですべての公演は終了しました。係員の指示に従ってお忘れ物のないよう・・・」というアナウンスが入り、場内は大ブーイング!!
アンコールさせないで終わるなんて!とアナウンスをかき消さんばかりの拍手と”アンコール”合唱になりました。しかし敵もさるもの、アナウンスのボリュームを上げて対抗してくるという始末。でも私たちは負けない。
叫び続けるそのうちに、ステージにはまたアーティスト達が戻ってきてくれたのです!
・・・立場のなくなったアナウンスは、しかたなく途中で途切れました。

歓喜のどよめきの中、アンコール曲は出演者全員による『イパネマの娘』でした。
みんなで一緒に歌って、この瞬間ホント幸せでした!
そしてこのアンコールが終わってからも、まだしつこくアンコールをしようと思っていたら、すかさずまた例のアナウンスが入ってしまい、まぁ今度はみんなもおとなしく帰り始めたのです。
っと、その時、アストラッドが一人でステージに現われ、『Thank you』を繰り返してまた帰っていったのです。
?? そういえばさっきのアンコールにアストラッドの姿はなかったような・・・
もうおしまいだと思ってどっかに席を外してて、出そびれてしまったんでしょうか。
なぜか衣装がスカートだけ違っていたので、本当はアンコールにも出演するつもりでいたんでしょうか。

こんなことがあったので、もしかしたらまた誰か出てくるかもしれない・・・となんだか後ろ髪引かれる思いで会場をあとにしました。
ちょっと疲れたけど、お腹いっぱい、満足!なライブでした。
毎年は無理でしょうけど、今度はぜひ屋内でボサノヴァ・イベントを開催して欲しいですね。
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カエターノ・ヴェローゾ in ラフォーレミュージアム六本木
1997年6月30日から連日5日間行われるライブの中日の7月9日、夕暮れの六本木をのんびりと歩いてカエターノのライブに出かけて来ました。

始まるまで、場内にはカエターノ自身が崇拝するジョアンの『ジョアン・ジルベルトの伝説』が流れ、思っていたよりも広くて雰囲気のよいスペースに満足。
そして今回、偶然にも私の席は一番前の真正面のド真ん中だったんです!
まさに”カエターノは私のために歌ってくれている”状態で、興奮・感激もひとしおでした。
バンドはドラム(含パーカッション)、ウッドベースにセロ、カエターノのガットギターともうひとりエレキギターやらガットギターやらバンジョーやらパンデイロやらとなんでも屋さんのミュージシャンとの5人編成。<BR>
特にセロの方(当時まだ無知だった私は彼がジャキス・モレレンバウムだと知らなかった!)はまるで子供の絵本に出てくる時計屋のおじちゃんみたいな人だったんですが、ものすごくいい演奏をしていました。
ドラムとなんでも屋さんは兄弟のようで(彼等は若かったけれども)いずれもカエターノのキャリアに負けない素晴しいミュージシャン達でした。

この日のカエターノは赤のワイシャツにモスグリーンのベルベットスーツという出で立ち。うーん、いいもの着てるよなーとつくづく思いました。なかなかダンディーです。
そして歌い出してビックリ。とにかく歌がもの凄く上手いのです!
どんな半音でも、どんな風に音が飛んでも確実に歌いあげ、まさに喉は楽器というたとえがピッタリでした。
ピアニッシモはあくまでもピアニッシモで、そしてフォルテシモはフォルテシモで
力強く、したがってダイナミックレンジが幅広く、表現力が豊かです・・・恐れ入りました。

CDよりもいいってどういうこと??と感動する私に、同伴の友人は「結局、今の技術ではそのすべてを録音することは不可能なんじゃない?」うーん。そうかも。芸術家ってすごい。

歌だけじゃなく、ちょっと酔っ払いみたいなパフォーマンスもご愛敬。
MCは、ポルトガル語で「日本語は話せない」と言った他は、ポルトガル語訛の流暢な英語でした。でも「ありがとう」は日本語でも言ってくれてましたよ。
今回のライブはスペイン語の曲が主体だったのですが、色々な言葉を操つれる所も才能なのでしょう。

この間、私のライブを一緒にやったパーカッショニストにカエターノの来日を教えてもらったのですが、彼が「人生変わりますよ」と言ってたんです(彼はとっくに人生を変えられていて、この5日間のライブを毎日観に来ていた)。何を大げさな・・・などと思っていた私でしたが、それに近いことはありますね。
そのカエターノが崇拝するジョアン、そしてジョビンは、人間じゃなくて神様ですね、ほんとに。カエターノはこのふたりの曲も歌ってくれました。

当日、私はひどい風邪をひいていて咳が止まらなくて乗ってる電車を途中で降りるほどだったんです。それに加えてこの2日前からは、うなずくのも辛いくらいの片頭痛。まさか一番前で咳込む訳にはいかないので、風邪薬をしっかり飲んでは行ったのですが片頭痛の方は、カエターノの歌でなんだかすっきり治ってしまいました。
もちろん咳だってビックリしてひっこんでました(その後こっちはまた出てきましたが)。アンコールではこのライブのプロデューサーである渡辺貞夫氏も登場、『SAMPA』で幕を閉じました。

歌っていいなあ、こんな素晴しい人と同じ時代に生まれてよかったなあとしみじみ思ったライブでした。
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クアルテート・エン・シー in サバス東京
まるで春のような陽気の2月26日、東京の青山にある「サバス東京」に行ってきました。アルバム「ブラジル・エン・シー」をひっさげてやってきた4人の素敵なおばさま方は日本語のMCというサービスぶりで、完璧なまでのハーモニーを私たちに披露してくださいました。
ドラムとベース、ギターのみの伴奏とは思えないほどの充実した音には感激してしまいました。だってギタリストのおばさまがすっごく上手いのです!!(ドラムは日本人男性、ベースはブラジル人男性でした)
こんなステージ、日本人ではありえない・・・なんて思ったりして。いいなあ!!
ブラジル、女性強し! 私もがんばらなくっちゃ。

カバーの曲がほとんどでしたが、見事にクアルテート・エン・シーのものになっていて、この「サバス東京」のブラジルにいるような錯覚を抱いてしまうような感じも手伝って、本当に雰囲気がよく、最後まであっという間にすぎてしまいました。

それとおまけに・・・
この日は、なんと小野リサさんも観にいらしていたのです!私が夢中でシェラスコ料理を食べている間(?)にいつのまにか後ろの席にいらっしゃっていたんですね。アンコールの時にクアルテート・エン・シーが「THANKS TO〜」と色々な人の名前を上げていたときに「LISA ONO」ときこえて指差された方を振りかえると、場内に明りが一瞬ついて、そこには笑顔のリサさんがいらしたのです。

ボサノヴァはやっぱりいいなあ・・・と再認識した夜は、静かに過ぎて行ったのでした。
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小野リサ in ブルーノート東京
今回は夏に行ったコンサートと同じく村田陽一氏をヒューチャーリングとして迎え、
N.Yフレンズというバンド&ホーンセクションも加えた8人の豪華編成でした。
ブルーノートのステージにそんなに大男がたくさん上がれるのか?と心配していたら
ギリギリでOK。観ているうちにそんなのは気にならなくなりますけどね。

曲目はリサさんのフェイバリット・ソングということで色々。ジョビンの曲、ジャズノスタンダード、リサさんのオリジナルなどなど。全体的にジャズのアレンジの約1時間。もっと聴きたくて、ええっもう終わりなの?という感じでした。

そしてアンコールでは『イパネマの娘』を皆で歌いましょう、と来た!
1コーラスをリサさんが歌い、2コーラス目を「さあ、皆さんで」といきなりいわれて客席はわからない問題を出されて指されないようにおとなしくしている生徒のよう・・・リサさんが「ラララ・・・」でいいよと歌って見せてくれたのでようやく皆が「ラ」で歌い始めました。
村田氏はもちろんのこと、バックのN.Yフレンズも貫祿たっぷりのアーティスト!
中でもフルート、クラリネット、サックスを吹いていたちょっと頭の薄い白髪のおじさまが凄く素敵な演奏をされるのですよ。もう、音が違う!
そしてリサさんのビブラートのかからない安定したボーカルにすっかり酔わせていただいた夜でした。
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カトリーヌ in 渋谷クアトロ
前年の11月、ホームレコーディングの素朴さやあたたかさを十二分に出したセンスの
いいアルバムを出していて、私もこんなのやりた〜い!と思ったアーティスト・カトーリーヌがどんなライブを見せてくれるのかと、とても楽しみにして出かけてきました。お客さんは意外に若者が多く、今どきの(といってもコギャル系じゃない)女の子連れが過半数でした。
カトリーヌはカヒミさんの参加した3枚目のアルバムで、日本ではその手のが好きな音楽ファンには有名ですが、やっぱり女の子に人気なんだなと変に納得。

出てきた彼は見るからに人の良さそうな人といった感じ。
まずはギターの弾き語りで数曲披露。その後はドラム、ウッドベース、シンセにもう1台ギターを加えてのバンド形式で進められました。
途中女性ボーカルも登場。そういうキャラクターなのか、極度に緊張しているのか
ガチガチな彼女は日本人だったら生卵が飛んできそうな歌唱力・・・
でもフランス語だから(?)許せてしまうから不思議です。
全体的にどの曲も短めなので、1時間30分のステージにしては曲数が多かったのでは
ないかと思います。練習も大変だろうな〜なんて思いました。

このままレコーディングしてCD作ってるんでしょ、といった雰囲気で、なんともアットホームなライブでした。英語ならまだしも、フランス語は『メルシー』くらいしかわからない日本人ファンのためか、MCもほとんど英語でしてくれました。

カトリーヌはボサノヴァだけを追及しているミュージシャンではありませんが、日曜日の簡単なお昼を作りながら、ちょっとそこまでのドライブに、と私が愛聴している音楽です。機会がありましたら、皆さんもぜひ。
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