承前 和名抄の地名

投稿者[ やまし ] 発言日時 [5月7日(火)07時47分59秒]

>> >>郡郷名で一音というのは、相当に珍しいです。(紀伊は「き」?)
>> >>こういう読み方をしなければならない郡名も珍しいです。

>> #それほど珍しくもないです。上代以前に一音で呼ばれたであろう地名由来の國郡郷名は、
以下のとおり。

「上代以前に」1音でよばれる地名があったというのは、その通りでしょう。
「木」「火」「穂」あたりを地名にするのは有名ですね。

>> お−出雲國意宇郡
>> き−紀伊國、山城國紀伊郡紀伊郷、肥前國基肄郡基肄郷、讃岐國刈田郡紀伊郷
>> そ−大隅國囎唹郡
>> ち−豊前國田川郡雉怡郷
>> つ−備中國都宇郡、近江國浅井郡津宇郷、安芸國沼田郡都宇郷、越後國頸城郡都有郷、
備後國沼隈郡津宇郷
>> て−備中國下道郡弟翳郷
>> と−備後國奴可郡斗意郷、日向國児湯郡都於郷
>> の−肥前國杵島郡能伊郷
>> ひ−肥後國八代郡肥伊郷、筑前國早良郡[田比]伊郷、出雲國大原郡斐伊郷
>> へ−陸奥國閉伊郡
>> ほ−参河國寶飯郡
>> ゆ−周防國玖珂郡由宇郷、伊豫國温泉郡、但馬國二方郡温泉郷、石見國邇摩郡温泉郷、肥後國山鹿郡温泉郷
>> え(ye)−薩摩國穎娃郡穎娃郷
>> ゐ−遠江國引佐郡渭伊郷

>>  若干疑問のものも含みますが、28個みつけました。ほかにも、あるかもしれません。郡郷名以外に、
漢字2字で一音を表した例として、久宇島、許意島、肥伊里、封有牧なんてのもあります。

これらの表記によって「上代以後も」1音に読んでいたと全て主張されますか?

>> >>一方、奈良時代の始めには、「雲仙」につながる「温泉」を
「うんせん」と読んでいたとされています。

>> #地名の話なら、そんなわけないと思いますが? 何という文献に書いてあるのですか。

たとえば、こんな所にあります。
http://www.unzen.org/miru/history1/bukyou1.html
地方の俗説として切ることはできるかもしれませんが、
俗にでも「地名」の読み方として残っているわけです。
上代以前であっても、渡来人や漢語の達者な人物との交流を考えれば、
そういう地名があってもそれほど不思議には思いません。
地名や人名にはいくつかの読み方が可能なものもあると思います。

>> >>普通の文章で「温泉」を「ゆ」と読むのは当たり前だったかもしれませんが、
地名としての「温泉」が本当に「ゆ」だったのか、疑問に思います。

>> #和名抄を校訂しないのなら、「ゆ」以外にありえないわけで、
何を仰っりたいのかわかりません。
また、「温泉郡」は藤原宮から「湯評」の木簡も出ているのだから、
飛鳥時代から「ゆ」だったのはほとんど間違いないわけですし。

「ゆ」と読むのが、間違いだとは言っているわけではありません。
伊予風土記逸文に見えるように松山が「湯(ゆ)」であり、「温泉(ゆ)郡」
と中央でも地方でもそう読んでも問題なかったでしょう。
しかし、地方において「温泉」という表記によって「うんせん」
に近い読みを表そうとしたのではないかということです。
こういった2字の地名を訓読み1音に読ませる例は、
「温泉」以外にどういうものがあるのでしょう?
「小豆」を「あづき」と読ませるとかいうのもありますが、
「しょうず」と地方では残っているようです。
「飛鳥」は「飛ぶ鳥の明日香」で「あすか」ですね。


>> >>いくつかの読みがある場合に、どうやって確定するのですか?
>> >>当然難しいことになると思いますけど。

>> #和名抄以外にも各種の文字資料があることや、比定地の現在の読み方などから、
若干の例外や多少の音のゆれを除いて、ほとんどの地名は推測可能なようです。
郡名くらい大きい地名になると、疑う余地はあまりないと思います。

私が問題にしているのは、揺れの範囲をどうするかということです。
例えば、香川の刈田郡をどう読んだらいいのでしょう?
推測可能といっても、網羅的に調べていると思えない以上、
それほど確実にできるとは思えないのですが。



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