Lazy Diary 19991031117
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1999年11月7日 (Sun.)

 夜勤のバイトから帰ってきて、土曜日の分の日記を書き上げてから10時間以上ひたすら寝続けてました。おかげでだいぶ疲れは取れたと思うんだけど…、っていうか寝過ぎかな?、ハハハ。

 東京国際映画祭の審査結果が発表されました。「ダークネス&ライト」が東京グランプリ・東京ゴールド賞・アジア映画賞の3冠獲得となりました。いい映画だとは思うけど、ちょっと賞を取り過ぎのような気もするなぁ…。観た映画の中では最優秀監督賞が「オネーギン」のマーサ・ファインズ監督、最優秀芸術貢献賞が「ルナ・パパ」、といったところが受賞してますね。とはいえ…、賛否両論出そうな審査結果だなぁ。個人的な見解としては、「見解の異なる部分もあるが、異議を唱えるほどでもない」といったところ。

 ま、何はともあれ、1週間あまり書いてきたこの「東京国際映画祭日記」もこれにて終了、ということになります。また改めて総評などは別に書く予定ではいますが。明日からはまたいつも通りの日常に戻るのね…。


1999年11月6日 (Sat.)

 映画祭に通うのも今日で最後、コンペティションの「クリミナル・ラヴァーズ (仮題)(1999年、フランス)が最後の作品です。開場30分前にオーチャードホールに着いたのだけど他のコンペ作品よりは長めの行列が出来ていて、結果的に取れた席は1階席の後方でした。ゲストはプロデューサーだけで、監督や俳優の来日はなし。
 さて、春に公開された「ホームドラマ」と短編集で気になる映画監督の一人になっていたフランソワ・オゾン監督の新作。「ホームドラマ」と比べると長編の撮り方が大分板に付いてきた、というかまた一段と上手くなったなぁ、といった印象を受ける。その一方でインパクトという点では正直言ってちょっと弱かったのも事実。映画としてのトータルの出来では「クリミナル・ラヴァーズ」の方が上なんだろうだけど、「ホームドラマ」や短編で受けた衝撃はあまり感じられなかったです。ストーリー展開にそれほど意外性が感じられなかったのも響いたかな。そうは言っても、随所に現われるオゾン的なモチーフは十分に楽しめるものでしたけどね。
 「天使が見た夢」のナターシャ・レニエやクストリッツァ作品でお馴染みのミキ・マノイロビッチが出ている、という点でも楽しみにしていて、ミキ・マノイロビッチの上手さも感じられたのだけど、それ以上にナターシャ・レニエに驚く。たたずまいも演技も「天使が見た夢」や昨年のフランス映画祭で見た本人のイメージとは全くの別人で、女優として着実に成長していることを感じられました。
 ティーチインはその後のバイトの時間との兼ね合いで最初の質問だけしか聞けませんでした。

 クロージングの「ターザン」に早くも並んでいる列や「シュリ」のパーティー会場を横目に見つつBunkamuraを後にして、今年の東京国際映画祭も予定していた全作品を観終わりました。
 全体的な感想はまた改めて書くことにしますが、今年は全部で8作品を観ました。さらに映画祭期間中に映画祭以外のところで4作観ちゃってるし、我ながら良くやったものだと思いますよ。もちろん、もっと多く観てる人は何人となくいることは分かってるのだけれど。
 振り返ってみると、今年はほとんどの作品が「当たり」だったと思います。その中でも「ルナ・パパ」と「発狂する唇」が色々な意味で特に印象深いものがあります。コンペの作品の中で随所で評価が高い「アローン〜ひとり〜」を観る作品に選ばなかったのがちょっと悔やまれるかな…。
 とはいえ、これで映画関係の大きなイベントは今年は全部終わったわけで。ふぅ、やっぱ疲れたよ。


1999年11月5日 (Fri.)

 1本目は渋谷パンテオンにてファンタスティック映画祭の「キッドナッパー」(1998年、フランス)。この映画祭の中で初めての外れでした。この作品の監督の前作「シューティング・スター」もそれほど面白い映画ではなかったんだけど、これはそれ以上につまらなかった。全体的にテンポが悪いように感じたし、登場人物がみんな(悪い意味で)バカばっかに感じられたし…。笑えるシーンとかも無いわけじゃなかったんだけどね…。フランスの近頃のこの手の映画の悪いパターンとして、描写が過激気味な傾向の作品ほど脚本が薄っぺらってのがあると思うんだけど、まさにその悪いパターンそのまんまの作品。
 来日予定だったロマン・デュリスも来なかったしなぁ…。

 列に並んでいる間の時間潰しに読む本を買いに本屋に行き、SUEZENという人の「新性生活-ネオ・ライフ-」(「しんせいかつ」と読む)という漫画を買う。ヤングアニマルで連載されていた時になかなか面白く感じて、読み損ねた話がいくつかあったこともあって買ってみたんだけど、なかなか面白かったです。

 で、1時間ほど列に並んでいい席も取れて、オーチャードホールでのコンペティション「ルナ・パパ」(1999年、ロシア・ドイツ・オーストリア・日本)。ヴェネチア国際映画祭で上映された時にエミール・クストリッツァが気に入っていたとか、クストリッツァ映画的な要素が随所にある、なんて評判を知ってクストリッツァ映画好きとしては早くから気になっていた作品。
 実際に観ると、クストリッツァ的なところも確かに感じられましたし、それ以外の部分を含めても非常に楽しめました。観終わってものすごく幸せな気持ちになれる作品です。現時点ではコンペティションで1番のお気に入りかな、って3作しか観てないんだけどね。
 舞台挨拶の時には監督だけだったんだけど、ティーチインにはLAから日本に到着したばかりという俳優さんが到着。「ラン・ローラ・ラン」に出てる人なんだけど、この映画まだ観てないんだよなぁ(苦笑)。ともあれ、監督が旧ソ連の人で、この俳優さんはドイツの人。ロシア語での質問を監督が英語に翻訳してしまう、なんて一幕もあったりしてティーチインはなかなかの盛り上がりを見せていました。


1999年11月4日 (Thu.)

 1日休んだのがよかったのか疲れも抜けて気分一新、映画祭も後半戦のスタートです。…とか言っておいて、映画祭とは関係無く渋谷松竹セントラルに「タイムトラベラー きのうから来た恋人」(1999年、アメリカ)を観に行く。銀座では1週早く打ちきりになるし、渋谷では朝2回だけの上映だし…、考えると今日観とかないともう観れないような気がしたので。案の定場内はガラガラでしたよ。
 で、映画の方は面白かったです。雰囲気としては逆「カラー・オブ・ハート」みたいなところがあって、「カラー…」程には毒っ気はないものの、その分ロマンティック・コメディとしても楽しめたと思います。

 食事を取り、本屋で少し時間をつぶした後、オーチャードホールに行って列に並ぶ。1時間近く前から並んだだけあってかなりいい席を取れる。
 今日の2本目、コンペティションの「ダークネス&ライト (原題)(1999年、台湾)。17歳の少女が夏休みに帰郷し、そこで起こる出会いと別れ…ってな感じのストーリーかな。淡々と、あまりにも淡々と物語は進んでいって、決して優れた作品というわけではないのかもしれないけどこういうのも悪くはないです。
 舞台挨拶とティーチインは監督・俳優を始めとした5人。主演の女優さんは映画の時よりもちょっと大人びた感じがしました。


1999年11月3日 (Wed.)

 ラジオの公開放送の収録に当選していたのでそれに行って、その後には映画サービスデーを利用して何か観てこようと思っていたのだけど、ここのところの疲れからか見事に寝坊。大急ぎで出かける支度はしたのだけど、多分間に合わないだろうなぁ、と思ったところで行くのを止める。結局は映画を観に行くこともしないで、ずっと寝てました。
 映画祭はこれから後半戦、コンペティション部門を中心にあと3日間続きます。


1999年11月2日 (Tue.)

 目が覚めた時には既に出掛けるのにギリギリの時間。大急ぎで準備をしたけど、前日の「めまい」で寝ちゃったことを考えても少し疲れ気味なのは確かなようです。

 シネセゾン渋谷にて国際女性映画週間の上映作「LOVER GIRL」(1997年、アメリカ)。会場到着時点(上映開始10分前)で既に立ち見になっていて一度は通路に座ったのだけど、空きが出た関係者席に座らせてもらえる。国際女性映画週間はこういう所の対応の細やかさに好感が持てます。
 映画はリサとジョーの夫婦が共同で作り上げた作品で、アメリカのマッサージ・パーラー(本番無しの性風俗店、といった所でしょうか)を舞台にした少女と、彼女を取り巻く女性たちの物語です。実に丁寧に話が作られていて、登場するどの登場人物にも暖かい視線が注がれていて、100%のハッピーエンドではないのだけれど見終わった時にちょっといい気持ちになれる、そんな作品でした。あ、言っておきますけどエッチなシーンはほとんどないですし、それを期待していたわけでもないですよ(笑)。ただまぁ、個人的には性風俗産業というと「都会の夜」というイメージがあるのですが、物語の舞台になるお店は郊外に位置していて、ほとんどのシーンは昼間だったっていうのが意外だったのと同時に印象的でもありました。
 映画の後には質疑応答の時間が設けられていて両監督(というか夫婦の2人というべきか)が質問に答えたのですが、ここでも2人の誠実さを感じることが出来ました。

 食事を取って一休みし、その後どうするかしばし考えた末、公開時に見逃していた「54 <フィフティ・フォー>(1998年、アメリカ)を観に目黒シネマに向かう。最終回割引(900円)を狙っていたのだけど、運悪く?ちょうど祝前日のオールナイトの日だったので最終回割引はなく、通常の料金を払うことになる。とはいえ、逆に言えば通常と同じ料金でオールナイトで2本立てを観れるんだからそれはそれでお得ですよね。ロビーに貼ってあるポスターや新聞の切り抜きからも映画への愛を感じられるいい名画座だと思います。
 さて、肝心の映画の方はといいますと、70年代後半にニューヨークではやったディスコ"スタジオ54"を舞台にした青春物語といったところ。全体的にはわりと可もなく不可もなくといった感じなのだけど、ラストシーンはなかなか良かったです。ああいうのに何故か弱いんだよなぁ。

 また、更に自分を追い込むべく?、5日(金)の「キッドナッパー」を購入。これで映画祭は全部で8作品を観る予定となりました。で、合間を縫って映画祭以外の映画も観てますし、我ながら良くやるよな、と思います。「コンペを全部観る」とか「ファンタを全作制覇する」なんて人に比べたらどうってことの無い数なんでしょうけどね。


1999年11月1日 (Mon.)

 朝7時過ぎに目が覚める。本当はもう少し寝ていたかったのだけど、それならと前夜はメールのチェックもせずに寝たのでテレホーダイの時間中に、とネットにアクセス。
 昼過ぎに家を出て、渋谷へ。今日はファンタスティック映画祭(渋谷パンテオン)を中心に観る一日。

 「発狂する唇」(1999年、日本)。まずは舞台挨拶に総勢12人ものゲストの皆さんが出てきたのに驚く。当初予定されていた大杉漣が来なかったのは残念だけど、三輪ひとみがお人形さんみたいな感じで可愛かったのでそれはそれでOK。
 でもなぁ、2つ左の席の奴が舞台挨拶の時にポテトチップス(のりしお味?)を食べていてそれが匂ってきたのにはちょっと興ざめ。食べるなとは言わないけど、映画館のような場所では匂いや音の激しいものは食べないのがマナーだろうし、舞台挨拶をしているような時には食べたりしないのは礼儀として当然のことだと思うのだが…。
 で、映画の方なんですが…。やられました。(色んな意味で)文字通り発狂する映画、と言ってしまっても過言ではないです。舞台挨拶の時に、「バカな映画」とか「この脚本を本当に全部やれるのかと思った」なんて言葉が連発されていたので、むしろ逆に期待してしまったのですが、その期待を遥かに上回るものを観させてもらいました。この映画は本当に好き嫌いが分かれるだろうし、この映画を好きと言えるのもある程度限られた層の人だけかもしれない。でも、「バカ映画」とか「カルト」とか「エロ・グロ・ナンセンス」なんて言葉に反応してしまう人、「名作」も好きだけど、「迷作」や「珍作」にも心引かれる、という人ならぜひ観るべき作品でしょう(笑)。場内が大爆笑に包まれたいくつかのネタや三輪ひとみがあんなことやこんなことをして(されて)しまうのには本当に参りました。かといってただの「バカ映画」というだけでもなく、実際にはもっと色々な意味ですごい映画です。

 次の映画までかなり間が開くので、映画でも観るか(笑)、と思い、ユーロスペース1にて「どこまでもいこう」(1999年、日本)を観る。ついさっき観た「発狂する唇」とは完全に趣の異なる作品。でも、こういうのも好きなんだよなぁ。主人公の小学5年生の子供たちは自分自身のその頃の姿とは大分違うんだけど、でも「いいなぁ」って思えてしまう、そんな作品。間の取り方が実に見事という印象を受けたりもする。
 全く異なるタイプの作品ながらも、非常に優れた(というよりは自分好みの、と言った方が正しいのかな?)作品を一日に立て続けに観られて実に幸せな気分になる。
 そう言えば、主人公の2人の子供の顔立ちがどことなく知人に似ているような感じがしたなぁ。

 最後は再びパンテオンに戻ってファンタスティック映画祭の2本目、「めまい -完全復元版-」(1996(58)年、アメリカ)。ところが、早起きし過ぎたのが祟ったのか、入場前に並んでいた頃から眠気がしてきて、結局映画上映中のかなりの時間で寝てしまった。おかげでストーリーは全く分からない状態、ヒッチコック作品を観るのはこれが初めてだったんだけど何とも情けないことになってしまいました。
 だから、作品そのものは到底評価のしようが無いのですけど、「復元」についてはなかなか見事な出来栄えだったといってもいいのではないでしょうか。といっても、オリジナルを観てないから違いを比較したりは出来ないんだけどね…。

 4日(木)上映の「ダークネス&ライト」のチケットを購入し、更に1本追加。「キッドナッパー」も観たくなってきたんだけど、どこまで体が持つことやら…。


1999年10月31日 (Sun.)

 東京国際映画祭の開幕と共に、1週間の「映画祭日記」の始まりです。
 バイトから帰ってきてネットでメールをチェックしたり、映画祭の記事を見たりしてから渋谷に向かう。さすがにコンペティション部門1番人気、列が長い。2階席を何とか確保。

 ということで、Bunkamuraオーチャードホールにてコンペティションの「オネーギン」(1999年、イギリス)です。レイフ・ファインズが主演と製作総指揮、妹のマーサが監督、弟のマグナスが音楽、ということで、ファインズ一家のファミリー・フィルムと言ってしまうことも可能かもしれない。それにしてはそれなりに大掛かりな映画なんだけどね。
 映画の方はプーシキンの小説の映画化、ということなのですが原作の知識が全く無かったので雰囲気を掴むのにちょっと苦労しました。ある程度原作の知識があった方がストーリーを掴みやすいかもしれません。それを別にすればまずまずよく出来ているんじゃないかなぁ、といった感じ。
 さて、今回はレイフ・ファインズとマーサ・ファインズの2人がゲストで来たのですが、さすがにレイフ・ファインズの人気は高いですね。個人的には演技力の高さもさることながら、甘い声と品のある喋り方が好きです。ティーチインでの質問もまずまずの内容の質問が出ていました(去年の「ゴールデンボーイ」の時は酷かったからなぁ)。

 昼食の後、今度は川崎に移動。川崎ハロウィンに行ってきました。着いた時にはちょうどパレードの最中でその時は割と静かな感じだったんだけどパレードが戻ってきてからは本当にお祭り騒ぎでした。街のど真ん中でああいうことをやる、っていうのがいいです。

 とはいえ、この頃には24時間ぐらい起きっぱなしになっていてだいぶ疲れてきました。そこで、椅子に座って一休みするかとばかり映画を観ることにしました(笑)。
 チネチッタ2にて「ディープ・ブルー」(1999年、アメリカ)。相変わらず爆発シーンが派手派手なレニー・ハーリンの新作。でもまぁ、なかなか面白かったです。序盤危うく眠ってしまうところだったのですが、サメが大暴れしはじめてからは眠くなることもなく最後まで楽しめましたし。キャスティングがなかなか良いのですが、主演の一人サフロン・バローズって「サークル・オブ・フレンズ」に出てた人だったのか。

 映画の後は川崎ハロウィンをもうちょっとぶらぶらっと楽しんだ後帰宅。さすがに「ロッキー・ホラー・ショー」に向かうパワーは残ってませんでした(笑)。まぁ、この映画自体は1度観てはいますし。そういや、ここで落ち合う予定だった友人とは結局会えずじまい。
 眠い目をこすりながらF1日本GPの決勝レースを見る。アーバインのファンとしては残念な結果になってしまいましたが、スタートで前に出られちゃったのが全てだったのかな。まぁ、良くも悪くも色々と楽しめたシーズンだったのは確かです。
 F1が終わった午前0時、約31時間起き続け、やっと布団に入れました。長い1日(2日といってもいいかも)だった…。


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