麻薬関連についての解説。
・原作、アニメの設定に関する説明はで表記。

A
Angel Dust
 PCPエンジェルダストは、中南米を拠点とする麻薬密売組織「ユニオン・テオーペ」が日本侵攻の手段のひとつに用いようとした麻薬である。
 PCPはフェンサイクリジン(=phencycliden)のことで、脳の新皮質(本能や認識を制御する働きがある)の機能を阻害する物質。特に痛みを感知する神経の受容体を遮断する。
もともとは全身麻酔薬として1950年に開発され、1963年に「サーニル」という商品名で手術用の麻酔薬として売り出された。
しかし様々な弊害が指摘され1965年には人体への使用が禁止された。その後は獣医用の麻酔薬に転用されることとなったが、1978年にはその使用が全面的に禁止された。
 '60年代の半ばには既にブラックマーケットに流出していたが、流出しているものには不純物が多い。
 特に粉末状のものを「エンジェルダスト」(=天使のかけら、天使の粉)と呼ぶ。純粋結晶は白色である。

 PCPの使用法としては、水に溶かして大麻のジョイントに塗って喫煙したり、粉末を煙草に混ぜて喫煙したりするのが一般的だが、錠剤やカプセルもある。
症状はすぐにあらわれ、5、6時間程度続くらしい。 
 ユニオン・テオーペでは、液体に溶かしたものを注射器で直接体内に注入していたようだ。
 PCPは催幻覚的薬物の中でケタ違いに効力が強く、LSDなど足元にも及ばない究極の幻覚剤と言われている「悪魔の薬」

 PCPの作用は様々で、強力な酩酊状態から思考の一時的な錯乱まで多岐に渡る。
第一段階で「離人現象」(=自分を身体の外側から眺めている感覚に呑み込まれる現象)が生じ、第二段階では「知覚分離」が起こり時間や空間の認識が非常に困難になる。
最終段階では全ての感覚が麻痺。人格障害もあらわれる。
 痛覚減少から機能異常をひき起こし、怪力を発する場合もありうる。
「死すら忘れる狂人」とはまさにこの状態であろう。
 常用すると記憶力の低下や言語障害なども起こり、これらの作用のいくつかは数カ月から1年以上続くこともある。乱用者は幻覚などに襲われ凶暴性を示し、過摂取は痙攣、昏睡、心臓発作、窒息、脳いっ血などを招く。

 リョウはゲリラ軍の兵士だったころ、軍の勢力巻き返しのために、海原神(後のユニオン・テオーペの総帥)に騙されエンジェルダストを投与された。その結果、一人で政府軍の小隊を全滅させるほどの戦果を示したが、その残酷な殺し方は目を覆うものがあった。リョウ自身も激しい禁断症状に苦しんで死線をさまよい、正常に回復するまでにかなりの月日を要した。

 一方、ミックが投与されたエンジェルダストは「新型で強力」「洗脳効果もバツグン」であり、爆破された飛行機の墜落現場の海上から引き上げられたミックは、虫の息ながらも薬の力によって生き延びる。海原はそれを「神の薬」と言う。生き延びたミックは海原の兵隊としてリョウと再会・対決。
 だが、香の必死な呼びかけによって、ミックは何かを思い出したかに見える。
 エンジェルダストの禁断症状は苦しく、ほとんどが発狂して死んでいくほどだが、新型のものは以前のものより中毒性が低く、ミックは教授(元ゲリラ軍の軍医。リョウも教授にエンジェルダストの死の淵から助けられた)の家でリハビリをすることにより回復した。

備考
 リョウに全滅させられた政府軍の小隊は、海坊主のいた部隊だった。生き残ったのは海坊主だけ。その時に負傷した傷が元で、後に視力を失う。
 PCPには、エンジェルヘアー、ダスト、ロケットフューエル、エレファントトランキライザー、DOA(=Dead on Arrival:病院に到着した時には死亡しているという意味)などの呼び名もある。
 シルキィクラブでリョウが踊り子にコートをかけるシーン(JC第1巻154ページ)、ポケットの名刺の「麻薬中毒患者を更正させてくれる名医」であるリョウの友人とは、教授のことであろうか?





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