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ミニのドレスアップ

 ドレスアップは、古いタイプに仕立てる、あるいは戻すのがミニのお洒落とされている。大量生産化によって各部のコストダウンが図られた現行ミニのディティールより、'60年代ミニのほうが優雅でキレイで粋だった。以下、Mk1時代のミニの特徴を列記する。

Mk1の特徴

●フロントグリル:ボンネットに一切干渉しないラウンドモール付き。ごく初期のタイプには白くペイントされているものもあった。クーパー系のモデルは、モーリスは分厚い7本のバーで構成されている。このサイドバーの一番下のバーエンドが、年式によって逆三角形だったり丸かったりするらしい。オースチンのクーパー系グリルは細いサイドバー11本。

●バッジ:オースチンは英国らしい紋章をあしらい、モーリスは牛をモチーフにした。トランクリッドには文字だけが入る。オースチンは筆記体、モーリスは活字体。クーパーSでは、ボンネットバッジの上にSの字が追加された。

●テールランプ:ウィンカーとブレーキが分かれたテールランプ。リバースランプは組み込まれていない。

●ドア:ドアハンドルを下方に回転させて開ける方式。内側からのロック解除は、ケーブルを引っ張ることによって行われるケーブルリリース方式のものもある。アウターのドアヒンジは意外に細い。

●ドアハンドル:ドアロック用のキーホールは運転席側だけ。助手席側は内側からのみロック可能。1966年1月のモデルからハンドル先端が曲がり、ドアパネル側にセイフティボスという円板が取り付けられた。

●トランクハンドル:船のアンカーのような形状(Mk2も同様)。

●フェンダーミラー:ミラーは標準装備ではなく、オプション。

●スライド式のサイドウィンドウ:それを収めていたレールにもいくつか種類があった。ストッパーの金具の形状、穴の位置も年式によって若干の違いが。

●クォーターウィンドウ:棒状のヒンジでウィンドウ周りにメッキモールがついている。Mk2、Mk3へと進むにしたがって、モールはだんだん細くなる。

●ワイパー取りつけ位置:中央寄り。輸出する時に左ハンドル仕様に容易に対応できるように、左右どちらからも取りつけられるようになっていた。(Mk2まで)

●リモートコントロールハウジング:当初のMk1はシフトレバーが異様に長いダイレクト式だったが、61年から登場したクーパーからはリモート式のユニットが使われた。

●ローギア(1速):ノンシンクロ。

●タイヤ:10インチホイールのタイヤ(クーパーには、ロッキード社との共同開発によって完成した10インチホイールに収まる7インチのディスクブレーキが装備された。さらにクーパーSには10インチホイールの限界といわれる7.5インチのディスクブレーキが。クーリング機構やブレーキサーボまで組み込まれた)。

●ハイドロラスティックサスペンション:ミニのサスペンションはゴムを使ったラバーコーンサスペンションが一般的だが、1964年9月からの一部のミニにはラバーコーンの代わりに、加圧した特殊な液体によってショックを吸収するサスペンションが使われた。これはF1でおなじみのアクティブサスの元祖のようなもの。しかし価格とスペースの問題からMk3以降再びラバーコーンに戻される。

●ガソリンタンク:ツインのフューエルタンク(25リットル+25リットル)は当初クーパーSにオプションで用意されていたものだが、1965年11月からクーパー1275Sに標準装備された。

●ヘッドライト:ルーカス・スリーポイント・ヘッドライト。(今では一個8万円以上)

●ライセンスランプ:'60年代に日本に正規輸入されていたミニは、ライセンスランプのベース高を上げるブラケットが付けられていた。

●インテリア:ドアの内張りがないので、現在のミニに比べるとかなり広々としている。輸出を考慮して、ハンドルの位置に関係なく使えるセンターメーターやセンターキーが採用されている。センターメーターはMk3まで続く。

●3連センターメーター:正式名称は、オーバル・インストゥルメント・ナセル。サルーン系では最上級モデルにだけ装備されていたが、クーパー系には標準装備されていた。3連メーターは左から水温、速度、油温計の組み合わせ。(79年からのミニには角型のメーターが。当初はタコメーターがない2連タイプで、現在のような角型3連となったのは'80年代末期から)

●ステアリング:ファクトリーオリジナルは、直径40cmの大径ハンドル。このタイプはMk3まで。ラック&ピニオン方式で重い。バスのように寝た角度で取りつけられている。ステアリングコラムには、ウィンカーを作動させるレバーのみが付けられている。レバー先端には、ウィンカーと連動するランプがつく。

●スターター:ごく初期のMk1はイグニッションキーを回してエンジンをかけるのではなく、運転席と助手席の間にある、床から飛び出したボタンを押してエンジンを始動させる。従ってキーは、単なる電流のオン・オフスイッチでしかない。

●ディッパースイッチ:ヘッドライトのハイ・ロービームの切り替えはヒーター下のフロアにあるスイッチを足で押して行う。Mk2からはウィンカーレバーと共用。

●シート:クーパー系のシートはブローシードという金または銀の浮き彫り加工が施される。これはブルー系とレッド系とのコンビシートのみの設定。ツートーンカラー。リクライニング機構はなし。ヘッドレストもなし。

●灰皿:センターメーターの真上に位置する灰皿は、煙草の吸殻5本までしか入らない。

●AT車は64年9月に登場。しかしクーパー系はマニュアル車のみ。


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