ナマコが溶けてしまうわけ
1999.05.01作成
文責:飯島麻夫

ナマコが溶けてしまう理由がわかった。

種本は「ゾウの時間ネズミの時間」。昔読んだ本なのだけど、たまたま本棚から見つけて読んでみると結構面白い。動物学という観点から人間を考えるのには最適な本だ。

で、ナマコは棘皮(きょくひ)動物と呼ばれて、同じように比較的浅い海底でやたら目だっているヒトデやウニと同じ仲間。

こいつらはキャッチ結合組織という、あっという間に硬くなったり、柔らかくなったりできる便利な組織を持っていて、たとえばウニなら棘をたてたままの状態で、ヒトデなら硬い殻のつぶつぶを、まるで石のようにがっちりと固定できる。
ヒトデは知らないがウニなどはおいしいので魚が喜んで食べそうなものなのだが、この状態では魚もうかつに噛み付けない。
というわけで、外敵からは比較的安全な彼らだが、彼らとて移動したり、餌を食べたりしなくてはならない。
そういうときはキャッチ結合組織を柔らかモードに変えてあげればスムーズに動ける、というわけだ。

さてわが愛するナマコの場合、外側のほとんどがこのキャッチ結合組織でできているらしい。ウニやヒトデと違って棘とか殻とかを持っていない。だから噛み付いても怪我をするほどではないがふだんはかなり堅い。空気にさらすと結合組織を「柔らかモード」に変えてどろどろに溶けてしまうと言うわけだ。
ちなみにウニやヒトデがどろどろに溶けてしまったとしたら、棘や殻が残ってしまう。

ということは、溶けるのは周りの部分だけで、キャッチ結合組織に守られた真ん中は溶けないのだろうか?

というわけで実験して確かめてみたいことがまた一つ増えた。

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