「生産階級=農民」と「非生産階級」のドラマで結局勝ったのは「生産階級」の人たちだったと言う見方もできる。
あるいは個性豊かな七人の侍や農民たちの人間ドラマ、と観ることもできる。
もちろんよく言われているように、カメラワークも素晴らしい。今回驚いたのは侍役の俳優が本当に侍らしい見事な身のこなしをしている、というところだ。
こういう様々な要素がまるでモーツァルトの音楽のように一点の無駄もなく、緻密に展開されている。しかも観るたびに新しい発見があるぐらいに奥が深い。歴史に残る名作とこういうものだ。
映画の勉強をしている学生からメールをもらったことがある。彼自身は黒沢映画のファンなのだそうだ。しかし、周囲の人に黒沢映画の話をしても、あきれたことに作品自体を知らない学生が多いのだとか?
こういう優れた作品を観ないで一体何を勉強しているのだろう?
「映画って単なる娯楽ではなく、芸術なのだ」と思い直させてくれる映画はこういう映画だ。