チェルノブイリ原発事故
1999.04.26作成

あれからもう13年になるらしい。
ここで「原子力反対」なんて政治的な主張をする気はないが、正直な話、原子力発電所が恐ろしくてたまらない。

忘れもしない、当時の特別番組で原発の専門家が出てきて、

「もし炉心融解を起こしているとすると、原子力の火は消しようがありません。今後80年にわたってチェルノブイリ原発は燃え続けて大量の放射能をまき散らし続けるでしょう。」

と言ったときは見ていた私はもちろん、番組のキャスターさえも顔面蒼白になり、ただならぬ雰囲気が漂ったのを覚えている。

80年、気の遠くなるような長い時間、放射能がまき散らされる。そんなことになれば地球環境全体が放射能の影響を受けることは避けられない、と思えた。
本気で「これで平和な世界は終わった。今後は放射能におびえながらびくびくと生きていかなければならないのか...」と思うとお先真っ暗な気持ちになった。
数週間後、「火が消えたらしい」というニュースを聴くまで、私の憂鬱な気分は続いた。

テレビのニュースで身近な恐怖感を感じたのはあれが初めてだったし、その後あれほどのショックを感じたこともない。

我々は火なら水をかければ消えるんだろう、ぐらいに思っているわけだがどうやらそういうものでもないらしい。幸いなことにそのときの専門家の予測は外れた。しかし、そういうことが専門家の口から出たことで、原子力発電所っていったん事故を起こすと大変なことになるのだ、という事実を思い知らされた事件だった。

そうでなくても、周知の通り、チェルノブイリ周辺の人たちはひどい目にあっている。

もちろん日本はじめ大概の原発は旧ソビエトの原発などとは比べ物にならないくらいしっかり管理されている...はずだ。また、原発推進派の「原子力以外に何がある?」という意見もわからないではない。

しかし、原発は、人類、ひいては地球環境に大打撃を与えかねないほどの、とんでもなく高いリスクを背負っていることを忘れてはならないと思う。また、もしあのとき、あの専門家の予測通りになっていたら...と考れば、誰にせよ、決して無関心にかまえていられるような種類の問題ではない。消費税を何%にするか?と言ったようなレベルの問題とは重要性が桁違いなのだ。
日本のような狭いところでチェルノブイリ級の事故が起こったら、一巻の終わり、なのは言うまでもない。

早いところ核融合の実用化にこぎつけてくれたら...と願うばかりだ。

高等物理の勉強を怠った人のために解説しておくと、核融合は水から高いエネルギーを発生させる、という魔法のような技術で、少なくとも原子力のような環境汚染の心配はまったくない。できることは相当以前に解ってはいるが、いまだ実用レベルの技術には至っていない。ただし、核融合によって無制限にエネルギーを得られる、ということが我々や地球環境にどういう影響を与えることになるか...についてはやってみないとわからない謎である。


??戻る