ディディエ
1999.05.14作成
このフランス映画は、飼い犬のディディエが、どういうわけか中身が犬のまま、肉体だけ人間に変わって、フランスのサッカー代表チーム入りを果たし、チームを勝利に導くというたわいもないもの。

ディディエは姿だけは人間になるものの、当然犬としての扱いしか受けない。これだけのことで、犬って人間からいかにひどい扱いを受けているか、を感じてしまう。

というのは犬は、猫などの他のペットと違って、非常に人間の役に立ってくれる。まさかサッカーの試合に勝ってくれるようなことはないだろうが、鋭い嗅覚や聴覚、人間を追っ払うためにはちょうどよいぐらいの攻撃力、足が速い、頭がよい...などなど人間にとっての利用価値は非常に高い。

しかもその忠誠心と来たら底抜けで、主人のためなら自分の命をも平気で投げ捨てる。

「なんてひどい扱いをするんだ!まるで犬並じゃないか!少しは人間らしく扱え!」
と指摘されたディディエのご主人。
「いいんだよ!犬なんだから!」
周りの人:「なんてひどい奴なんだ!」

人間の価値観で見ると、献身的な働きをしながら犬が儲けの分け前を要求するわけじゃなし、ただただご主人様に誉められて、喰い残りの骨でももらえば、喜んで満足してしまう。

犬には犬の価値観があって、「ご主人様に誉めてもらえる」という些細なことが、「自分の命をかけて仕事する」という、人間の価値観から見ると崇高な英雄行為が、彼らの中ではバランスしているのだろう。
いや、犬は馬鹿なのでそんなバランス感覚なんて最初から持ち合わせていないのだ。

そういう意味で犬ほど馬鹿で、お人好し(お犬良し?)な動物っていないと思う。
我々人間は、そういう馬鹿な犬の特性をとことん利用している、というわけだ。


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