鏡の謎
1999.05.20作成
鏡に写った自分は左右が反対に写る。顔の右側にあるほくろは鏡の中では顔の左側にある。

ところが、不思議なことに、左右がひっくり返るにもかかわらず、上下関係についてはまったく異変がない。

右側のあるはずのほくろが左側に移動してしまうのであれば、顎のほくろがおでこに移動したとしても不思議はないはずだ。

これは何故なんだろう?わからなくてもそんなに恥ずかしいことはない...というのは一時期流行った「何とかの体操」シリーズの本の一冊にはとんでもない堂々と嘘の答えが掲載されている。


本物の映像と鏡の中の映像は実際には向かい合っているから、比較検証する場合、二つの本来向かい合った映像を、頭の中で並べてみる作業が必要になる。

で、我々は普通、二つの映像を並べて比べる場合、まるで本のページをめくるような要領で、上下関係を壊さないような方法でひっくり返してならべる。そうすると確かに上下関係が壊れることはないが、左右がひっくり返ってしまう。

そういうひっくり返し方ではなくて、カレンダーをめくるような要領で左右の関係を壊さないようにひっくり返せば、上下関係だけが見事に逆になる。もちろん左右の関係は壊れない。

鏡の中の映像が左右だけがひっくり返ってしまう謎の原因は、鏡の中にあるのではなく我々の意識の中にある。

我々がいかに無意識のうちに常識に縛られているか、という一つの証拠に他ならない。

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