アダムとイブ
1999.05.28作成

NHKスペシャルで遺伝子から人類のルーツをたどるという番組をやっていた。

それによると、従来、北京原人やネアンデルタール人やジャワ原人などが各地方で進化して現在の人類に至ったと言うのが定説だった。しかし、遺跡から発掘された遺伝子と現代人の遺伝子の比較調査によるとこれら原人、旧人と現代人とのつながりはなく、いま地球上に徘徊している現代人の先祖はアフリカ地方に現れた一人から派生した人種らしい、とのこと。(*注)

進化の常識から考えてみるとばらばらに進化したものが、たまたま似たような機能を持った現代人(白人だろうが黒人だろうが黄色人種だろうが機能的にはさほど変わらない)に至る、ということは進化の常識から考えてもありえない。そういう意味では従来の説のほうが常識に反した考え方だったと言えるのかもしれない。

鳥は一匹の羽根つきのとかげから、鯨は四足歩行の哺乳類から進化してきた、と言われているのに、人間だけが原人レベルから現代人にまで、複数の人種がそろって同じような進化をとげたというのはおかしな話だ。


ところで、一人の人間からすべての人類が派生してきたと言うのは、人類はみなアダムとイブの子孫、という旧約聖書の記述に一致する、と解釈できないことはない。
上記のような事実が判明する前であれば「何を馬鹿な!」と一笑に伏されそうな話だが。

聖書の記述に反する、と言う理由でガリレオの地動説、ダーウィンの進化論はじめ、優秀な科学者が迫害され、科学の進歩が遅らされてきた事実は否定できない。
また、いろいろなことが科学の力でわかるようになってきてからは、「聖書は嘘ばかりついている」と白い目で見られてきた。

たまたまにせよ、ここに至って、逆に聖書の記述を裏づけるような科学的事実が判明した、というのはちょっと皮肉なことだ。


(*注)このような判断はミトコンドリアの遺伝子で行われる。ミトコンドリアは母親のものをそのまま受け継ぐという性質があるため、この人類の源流となった女性を「ミトコンドリア・イブ」と呼ぶそうです。
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