環境問題
1999.06.30作成

環境問題は間違いなく、21世紀の大きな課題になるはずだ。

環境問題の恐ろしいところは「我々のどんな行動が、どんな影響を与えているか解らない」ところにある。

オゾン層破壊しかり。環境ホルモンしかり。地球温暖化しかり。

科学は原理として「実証主義」を標榜している。しかし、相手がこと地球環境となるとあまりに大きく複雑で、我々の想像力の範囲をはるかに超えており、単純な動物実験などに比べて「実証」がなかなか難しいのだ。
実際、フロンを発明した人は、フロンの便利な性質はもちろん理解していたのだろうけど、フロンがオゾン層を破壊 → 皮膚ガン患者が増えることになる、なんてことを想像だにしなかっただろう。

空気中の二酸化炭素が温室効果を持っていることも、二酸化炭素の濃度も上がっていることも確かなことで、また、地球がとにかく温暖化している事実も観測されてはいる。
しかし、温暖化が二酸化炭素によるものかどうかの実証となると非常に難しい。もちろん実証しようとする努力は必要なものの、もともと科学的な判断がなかなか難しい分野なのだ。

地球温暖化に疑問を持つ人の中には、温室効果によって寒い地方の植物が良く育つであろう、というメリットを主張する人さえいる。
しかし、その結果、その他どんな悪い影響がでてくるか、正確に予想できるだけの能力が、我々にはない。
単なる地域的、個人的エゴイズムから、現在の環境が大きく変わってしまうような事態を歓迎すべきではない、という一種不可知論的な、あるいは生態学的なスタンスが、必要だ。

だから、「因果関係が確かではない」という理由で環境問題に対して楽観的な態度をとるのは間違っている。

<<戻る  <<表紙