やりたい放題のことが自由にできるぐらいの優秀なハッカーがいたとしたら、その人たちが与える脅威は核兵器に匹敵、いやそれをはるかに上回るものになるだろう。
たとえば、金融機関のシステムのいくつかを麻痺させることができれば、おそらくその国経済は大混乱になる。交通システムを攻撃すれば流通も麻痺する。
あるいは敵の戦略システムを破壊したり、情報操作したりできれば、核兵器をはじめ、軍事力を無力化することさえ可能だ。
というわけでテロリストを目指す人は、爆弾の作り方などを勉強するよりもコンピュータを勉強したほうがよいかもしれない。ただしクラッキングの場合、侵入に失敗すれば何もできないので爆弾よりもリスクは大きいかも知れない。
日本は軍事力を制限されているのだから、上記のようなハッカー育成に力を注いではいかがなものだろう。
しかもハッカー養成なんておそらくそんなにお金のかかるものじゃないだろう。
ハッカーなんて、やろうと思えば高校生でもできることなのだから。
要はハッカーがJリーガーなんぞよりも、はるかにお金になる職業(現在のところそんな職業さえないのだが)で、はるかにカッコイイのだ、ということを世間が認めるぐらいのことをしてあげればよいので、おそらくは自衛隊の予算の何十分の一ぐらいがあれば十分だろう。
確かに、ハッカーを育てるということはハイスキルなクラッカーや情報テロリストを育てる結果にもなり、「両刃の剣」といった側面がある。
また、日本にはハッカーをまっとうな方向に養成できる人材に乏しいし、仮に優秀なハッカーが育てられたとして、実際にどの程度の攻撃力を持ちうるのかはまったくの謎だ。
逆に、この先セキュリティ技術のほうが進歩してしまって、ハッカーがまるで歯が立たない、という時代になってしまう可能性さえありうる。
と、いろいろな問題はあるものの、世の中の動きは早い。いまさらそんなことを心配している場合ではないだろう。このまま米国にやられっぱなしでいいはずがないではないか。