日本人と色彩感覚
1999.08.12作成

DoCoMoの携帯電話のパンフレットを見ていると各機種の写真が一覧でズラリと並んでいるページがある。
そのページを眺めると、どれも白やシルバーを貴重とした色調で何とも個性が少ない。

同じように日本の駐車場を眺めていると白や灰色の車ばかりでどうもメリハリがない。
私の自宅の前に駐車場があり、40台ほどの車が駐車しているが、色のついた車と言えば赤い車が一台、深い緑色のバンが一台、それ以外は白、シルバー、黒、紺など地味な色の車ばかりだ。

私が最初に海外に出かけていったロンドンで、道路脇にずらりと駐車している車の列を見て、新鮮な印象を受けた。赤、緑、黄色などカラフルなものが多く、それがまたロンドンのくすんだ街の風景と相まって、独特のおしゃれな雰囲気をつくっている。

車にせよ携帯電話にせよ、日本人は、なぜこんなに汚い、主張のない色ばかり選ぶのだろうか。車、携帯電話などの持ち物が、持ち主の個性を主張を代弁するものであるなら、白、グレー、シルバーのような色を選ぶ、ということは「私は主張の少ない人間です」と白状しているようなものだ。

灰色と黄色、赤、緑、青などの原色とどちらがきれいか?と問われれば誰が見たって、原色のほうがきれい、というに決まっているではないか。

確かに、一時問題になったようにピンク色の蛍光色一色に塗られた悪趣味な安売りショップの建物は嫌いだし、「街の美観を損ねる」として派手な看板を許可しない京都市の誇り高い姿勢には賛成だ。
しかし、趣味の良さに裏打ちされた、カラフルな色彩感覚は大いに指示したいし、どういうわけか日本人にはこれが欠けている。

日本人に色彩感覚がないとは思わない。そうでなければ着物、工芸品、庭園、風景、などなど日本古来のものがあんなに美しいはずがない。
ただ、工業製品のデザイン、選択において、慎ましい国民性が、趣味の良いものを生み出すことを阻害する原因となっているのも明らかだ。
カラフルなものを売り出しても買わないから、売るほうもカラフルなものを創ろうとしない、というわけだ。
あるいはつくるほうが「派手な色のものは日本では売れない」と思い込んでいる節はないだろうか?

私は多機能でなくてもいいから、美しいデザインの真っ赤か真っ黄色の携帯電話や車が欲しい。

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