バンパイア
1999.08.18作成

久しぶりにバンパイアの映画を見た。

最近この手の古典的なホラーやオカルトものはすっかり流行らなくなった。というのも比較的現実的な脅威となりつつある熱核兵器や細菌化学兵器のほうがよほど恐ろしいからだろう。

神様や悪魔よりも、一人のテロリストのほうがよほど怖い、というわけだ。

実際、ちゃちなアクション映画や小説のテーマは最近そればかりではなかろうか。なんて発想が貧困なのだろう。

観ている我々の、宗教的な価値観がますます薄れてきてしまっている今日、バンパイアが持っている「邪悪」というイメージがなかなか実感できにくくなってしまっているのも事実だろう。

あるいは私のようにひねくれ者から見ると、種の生存をかけて必至に人類と闘っているバンパイアの姿を、絶滅危機動物の痛ましい姿、と重なってしまう。
絶滅が危惧されているホオジロザメだって人を食べるではないか。人を食べるのはホオジロザメの罪ではない。それが彼らの生態なのだ。

第一、人類全体がバンパイアになってしまったところで、それがどうしたと言うのだろう。バンパイア同士の統制は比較的とれているようなので、きっと争いのない平和な世の中になるに違いない。

昼間活動できないのは不便かもしれないけれど、オゾン層が破壊されつつある今日、かえってそのほうが健康的かもしれない。

ただし、血を吸う人間がいなくなってしまうので、人類は新たな食料問題を抱えることになるだろう。人間の血を大量生産できる技術が開発されれば、それも解決されるに違いないが...

たぶん、バンパイアの正体は血液感染するウィルスなのだろうと思う。そうとしか思えない。
感染すると不老不死になって、力が強くなって、超能力が備わって。
欠点と言えば日光とにんにくと十字架が嫌いになって、せいぜい肉食になる、というだけだ。
こういうウィルスに感染するのもそんなに悪い話じゃない。

肉食はいただけないけれど、生殖能力はたぶんないので人口も増えないので、人口問題も解決するだろう。バンパイアは地球環境にもやさしい。

というわけで、たまには夢物語に浸ってみるのも頭の体操にはなる。

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