美人は得をする
1999.10.27作成

モデルの卵子を売るサイトが米国でオープンしたらしい。
asahi.comに掲載されていたこれに対する反対意見は

●生殖医学専門家の反対意見「ヒトの生命の商品化が行き着いた最悪の例」
●社会学者の反対意見「似た容姿の子供が増えるのを想像するだけで気味が悪い」
●一方、当の主催者ロン・ハリス氏は「美人の方が得をするのが社会の常識だ」

どう考えても反対意見のほうは単なる感情論であって、卵子売買が反対されるべき理由を明確に示しているとは言い難い。
こういうことはつい最近になって始まったことで、我々としては過去の経験や推論や倫理観から「たぶんなるべくやらないほうがいいだろう」ぐらいのことしかわからないから、湧いてくる反論に大した説得力がないのも無理はないのだろう。

しかし、一つ面白いことに気づいた。
たぶん「精子売買」であれば、まずは科学者やオリンピック選手、ということになるのに、卵子となるといきなり「ファッションモデル」になってしまうというのは、我々が一般に男性や女性に対してそれぞれ何を求めているのか、を如実に表現しているようで興味深い。

女性に関しては、まるで多少の欠点があったって容貌さえ美しければいいじゃないか、と言わんばかりではないか。

考えても見て欲しい。
いくら美人だって少しでも頭脳が優秀なら、頭の中身などまったく関係のないファッションモデルなんて職業をわざわざ選択するものだろうか?
たとえば「女優」なら...容貌の美しさはもちろん、その他に演技力など、ある程度ソフトウェア面での資質を備えていなければ到底長続きするものではない。

しかし、いろいろな服をまるで人形のように着せられて、ただすまして歩いているだけの人たちの中に、頭脳明晰だったりスポーツ万能な人がうようよしているとも到底思えないではないか。
ファッションモデルにはそもそもその手の資質がまったく必要とされていないのだから。

もちろん、倫理上の問題や科学的な問題はいろいろあるだろうし、そういう問題点は我々のマインドが社会現象に追いついてくるに連れ、おいおい判ってくることだろう。
そういう難しい問題は別に考えても、「美人は得をする」という理由だけで「ファッションモデルの卵子を売る」と言う発想はあまりに安直かつ短絡に過ぎる、とは言えないか?

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