ラーメン屋さん、町中にはいくらでもあるのだが、はじめていく町などだと、本当に美味しい店はどこなのか、なかなか判らない。しかしながら、うまい店独特の店構えの傾向というのがあることも確かである。まぁ、見てくればかりを信用するとホイホイラーメンに捕まってショックを受けることもあるわけだが、以下に僕の経験から割り出された傾向をまとめて見よう。もちろん下記の条件を全部満たす必要はないが、観察しただけでうまい店かどうかを判断する場合、最重要事項は8個、重要事項は7個、ローカルルールは該当するものは全て満たす必要があるだろう。逆に半分以上あてはまらないような店であれば、かなりの高確率でまずいので、食べてみてまずくても文句を言ってはいけない。
最重要評価事項
1 店頭に「うまい」と書いてない。
2 店頭に「ニンニク」だとか「江戸だし」だとか、ダシにかかわることが書いてない。
3 ラーメン以外のメニューがない。あっても餃子程度。
4 ラーメンのスープが「トンコツスープも鶏ガラスープもあります」みたいに分かれていない。
5 ラーメンの種類が少ない。せいぜいチャーシューメン、海苔ラーメン、ネギラーメン程度。
6 24時間営業でない(営業時間は短い程よい)。
7 店員が少ない。バイトが少ない。できれば麺方(麺を茹でる人)は店主のみ。
8 「中華料理」の看板がない。
9 客席が少ない(限界は20)。
重要事項
1 店の前にメニュー代わりにラーメンの写真が貼ってない。
2 麺を茹でる時にタイマーを利用していない。
3 一度に作るラーメンの数が少ない。
4 店のテントが赤、黄色ではない。
5 白か紺の暖簾。
6 駅のホームからみえない。
7 大規模チェーン展開をしていない。
8 店員が厨房で喫煙しない。
9 清潔な店。
ローカルルール
1 喜多方ラーメンの場合、喜多方地域にある(つまり、喜多方以外の地域のはダメ)。
2 九州系の場合、あまり行列していない。
3 九州系の場合、ニンニククラッシャーがある。または生にんにくラーメンのメニューがある。
4 替え玉が可能な店の場合、うまみ汁かそれに類するものがある。
5 北海道系の場合、ウニラーメンとか、カニラーメンとかを出していない。
6 東京、神奈川の場合、ラーメンが500円より高い。
97.9.21
ぴあといえば、ラーメンについては赤本黒本が有名で、これらは確かになかなかの良書だと思う。そして、97年3月、首都圏版ラーメンランキングが発売された。これは、読者投票だけで決めたラーメンのランキングなのだが、あくまでも「人気店」であって、「うまい店」のランキングでないことに注意が必要である。「人気店とうまい店の違いとは何だ?」という声が聞こえてきそうだが、つまり
・母集団100人のうち、50人が知ってる店があって、そのうち15人が「この店が一番」と思った場合
・母集団100人のうち、10人知っている店があって、そのうち10人が「この店が一番」と思った場合
の2種類のケースを想定した時、「どちらが人気店か」という切り口では前者が該当する、といっても差し支えがない。しかし、「どちらがうまいか」となると30%の人間がうまいといった店と、100%の人間がうまいといった店では、おそらく後者が該当することになるだろう。この、ランキング上位の店が必ずしもうまい店ではない、という状況は、アンケート結果の中に店自体の「知名度」が内包されていることによる。つまり、ぴあのランキングルメはこの「知名度」というファクターが排除されていないので、どうころんでも「うまい店のランキング」には成り得ないのである。では、そのランキング内容を僕のデータベースによって再検討してみよう。
| ぴあランキング | 店名 | ブウ*評価 | 備考 |
| 1 | 九州じゃんがらラーメン | 8 | |
| 2 | 天下一品 | 5 | |
| 3 | 桂花 | 1 | |
| 4 | げんこつ屋 | 8 | 渋谷店 |
| 5 | えぞ菊 | 6 | |
| 6 | 恵比須ラーメン | 9 | 店主交代 |
| 7 | 二郎 | 8 | 新橋店 |
| 8 | 香月 | 5 | 横浜店 |
| 9 | 坂内 | 4 | |
| 10 | 味源 | 6 | |
| 11 | ふくちゃん | 未食 | |
| 12 | 屯ちん | 3 | |
| 13 | こうや | 7 | |
| 14 | はしご | 8 | |
| 15 | 大勝軒 | 未食 | |
| 16 | 日高 | 3 | 渋谷店 |
| 17 | ザボン | 6 | |
| 18 | 壱発 | 未食 | |
| 19 | 満来 | 1 | |
| 20 | 山頭火 | 6 | |
| 21 | 喜楽 | 6 | |
| 22 | 春木屋 | 5 | |
| 23 | 博多天神 | 3 | |
| 24 | ABCラーメン | 未食 | |
| 25 | 利しり | 6 | |
| 26 | 香蘭 | 未食 | |
| 27 | 豪快 | 未食 | |
| 28 | 黒兵衛 | 未食 | |
| 29 | はせ川 | 6 | |
| 30 | がんこ | 12 | 末広町店 |
なお、集計に当たっては、チェーン展開している店については、一番評価の高い店の得点を採用した。また、恵比須ラーメンについては店主が交代しているため、現在の正確な味は不明である。旧店主は六本木あたりで「元祖恵比須ラーメン」の名前で営業しているようである。
ご覧の通り、確かにランキングに載っている店は平均得点で5.74と、そこそこに高評価のところが掲載されているともいえるが、天下一品、坂内といった大規模チェーン店、じゃんがら、桂花、香月といった有名店など、それ程実力があるとは思えない店が上位に名前を連ねていることも指摘できる(なお、じゃんがらについては「ぼんしゃん」があるために8点という高評価になっている)。
こうしてあらためて再評価してみると、やはりあくまでも「人気ランキング」であり、実力ランキングでないことはよく判る。勿論、ラーメンの評価なんて個人個人の好みではあるのだが、たとえば「くじら軒」、「山形家」、「中島家」といった無名実力派が全くランキングされておらず、がんこ、にんにく屋なども下位に甘んじているのをみると、「やっぱりあてにならないな」と思わざるをえないのである。まぁ、ぴあも「実力ランキング」とはうたってないわけで、こういった指摘をすれば「うちは実力ランキングなんてことは言ってません」という返事が返ってくることはまず間違いのないところではある。
では、このランキングをどのように利用したら良いか、ということになるが、例えば誰かが自分の身の回りの人100人に、「このランキングに載っている店のうち、どれを知っているか?」と質問してみれば良い。そして、その知名度が判ったら、5段階ぐらいにそれを分類し、知名度が上のものから順に5、4、3、2、1と、得点をつける。そして、ぴあに掲載されている点数をそれで割ってみれば良いのである。こうすることによって、知名度のファクターはある程度除去することが出来る。これは近いうちに自分の知り合いに対してアンケートを実施してみようと思うので、もしそれが実現したら、本文章のパート2として、その結果を発表しようと思う。
97.9.21
ラーメンの栄養価を調べてみると、大体蛋白質30g、脂肪10g、炭水化物90g、塩分6グラムといったところである。総カロリーは550-600kcal程度。栄養のバランスから考えるとNa以外のミネラル、ビタミン、食物繊維などが非常に少なく、炭水化物、塩分が非常に多い。蛋白質も質的にはあまり良いものとは言えず、栄養面からは完全な嗜好品といえる。もちろん、時々ラーメンを食べるのであれば、不足している野菜や乳製品などを適切に摂取すれば良いのだが、こればかり食べているとちょっと困ったことになるだろう。思い付くところで考えられる障害をあげてみると肥満、高脂血症、高血圧、肝機能障害、腎機能障害、動脈硬化、胃癌、糖尿病・・・・。これらはどれも生活習慣病であるから、食生活だけが関連するわけではもちろんないが、ラーメンを頻繁に食べる生活を続けていれば、こういった病気になってしまう可能性はそうでない人に比べて当然高くなる。
時々、ラーメンを大量に食べているにもかかわらず、全然太らない人もお目にかかるのだが、これはあくまでも「太らない体質」によるもので、上にあげた症状のうちの一つが発症していないだけである。当然塩分を処理するために胃、肝臓や腎臓に負担がかかるわけで、太らないから体に負担がかかっていないというわけではない。同様に、糖尿病になりにくい人もいるし、高血圧になりにくい人もいるわけで、こういった症状が出ないからといって油断してはならない。生活習慣病は環境要因もさる事ながら、遺伝的資質というものも大きく作用すると考えられている。したがって、広い世の中には全然太らない、肝臓や腎臓も頑丈、血圧も問題ない、という鉄人も存在するのかもしれないが、今のところそういった人にお目にかかったことはない。僕自身週に5杯ぐらいはラーメンを食べるのだが、この状況で自分の体調をベストに保つのは非常に難しい。感覚的にいうと、僕の場合で適量はせいぜい2杯/週といったところだろう。最近は明らかに食べ過ぎなので、ちょっと習慣を改善していかなくてはと考えている。
糖尿病や動脈硬化は一度発病してしまえばあとはそれとうまく折り合いをつけて行くしかなく、治療は非常に困難である。当然嗜好品にもドクターストップがかかるので、隠れて食べるにしても、気持ちよくラーメンを食べる、ということはなかなか出来なくなる。自分がラーメン屋であるとか、そういったなんらかの理由があって食べざるをえない人を除いては、「時々美味しいラーメンを食べて、人生を潤わせる」というのがごく普通のラーメンの楽しみ方だと思う。美味しいラーメンでもまずいラーメンでもほぼ同じように健康をそこなう可能性があるのであれば、「まずいラーメンを食べること」は大きな損失である。したがって、ある程度ベーシックな知見(例えば「トンコツ系が好き」だとか、「味噌ラーメンが好き」だとか、そういった自分の嗜好が把握できる程度の知見)を収集した後には、テレビ、雑誌、ホームページ等の各種情報ツールを有効利用して、なるべく美味しいものだけを食べたいものである。例えば魔人ブウ*ラーメンデータベースを参考にするのなら、やはり3点以下の店は避けたほうが無難であろう。なかにはうまい店もあるかもしれないが、その可能性は例えば8点の店に比較すれば著しく低い。味というのは個人の主観であるから「絶対評価」というのは勿論有り得ないのだが、「一つの可能性の提示」として、有効利用していただければ幸いである。
97.9.23