HiFiオーディオ教室

 AUDIO LESSON 46   「レゾネーターの利用」  6/15
ヘルムホルツのレゾネーター

「構造と計算式」

 ある容積とポート(ダクトとも言う)を有する空間は内部の容積とポートの部分の空気の質量で、共鳴を起こします。これが有名な「ヘルムホルツのレゾネーター」ですが、現在のオーディオでも様々な形で利用されています。最初に共鳴周波数を求める計算式を説明しておきます。
 図1がその共鳴箱の断面図で、何のことはない、これにスピーカーユニットを取り付ければ「バスレフ」のエンクロージャーです。
 ただし、ここではスピーカーではなく、リスニングルームで吸音材として利用する話です。

 計算式は図1の中に書いてある通りですが、ポートの長さだけは

l'=l+1.3r

と少し補正します。

図1 「構造と計算式」




「吸音の原理」
 このような構造で、音波がポートに入ってくると、中の空気がバネの作用をし、ポートの部分の空気の質量が錘の役目をして「単共振」を起こします。そうするとポートの部分で激しい空気の出入りが行われて、そこで空気の分子が摩擦熱を発して音響エネルギーが熱エネルギーに変換されます。これが吸音となるわけです。

「レゾネーターの利用」
 さて、このレゾネーターの用途ですが、一番多く使用されるのは「特定周波数の吸音」です。例えば、その部屋の中のある固有振動(定在波)を狙い打ちにして吸収しようと考えるときに、このような共鳴箱を幾つか拵えて「音圧の腹」の場所に設置すれば、その周波数を有効に吸収してくれる筈、というものです。「音圧の腹」というのはその周波数の音圧が最大を示す場所です。

「構造」
 構造は15ないし20ミリ程度のベニア板を組み立て、周波数の調整はポートの長さで行います。

「計算例」
内寸法=20a×30a×40a
容積V=24000
音速C=34000
ポートの半径r=3
ポートの長さl=10
補正したポートの長さl'=10+1.3r=13.9
ポートの断面積S=28.27

以上の数値を図1の計算式に入れると
f =49.83Hz
となります。注意は単位がすべてcmであることです。
 実際の製作はベニア板を組み立てて作りますが、隙間が出来ないようにボンドで密封することが大切です。吸音効果は共振のQが大きいほど大きくなりますから、出来るだけ固い構造にし、内部にはペンキを塗る(内部に流し込んで塗装する)などの工夫をします。
 ポートは水道工事の材料店から塩ビ管を買ってきて、必要な長さに切って使います。なお、ポートの位置は横でも一向に構いません。

「チューニング」
 周波数の調整はポートの長さを調整して行います。近くに置いたスピーカーから正弦波の音を出して置いて、ポートの出口に蝋燭の炎を近づけ、共鳴するとそれが猛烈に揺れ動くことで判別します。細い紙切れでも分かります。

「利用方法」
 最初に、退治したい定在波がどの方向のもので、何ヘルツかを見ます。前後方向ならばリスナー席の背後の壁(ただし、低音を反射する固い壁)が音圧の「腹」になりますから、そこに置いてみます。理屈の上では部屋の四隅のコーナーがすべての定在波の「腹」になるので、ここに集中して設置すればよいことになる筈ですが、実際にはもっとも効果のある場所を探すことが必要です。

 文献で、ブーミングの激しい会議室で、100Hz前後の6周波数に合計14個のレゾネーターを設置して効果を上げたという報告を見たことがあります。
 リスニングルームではブーミングとまではならなくても、リスナー席の音圧周波数特性を乱す定在波が対象になります。

 昔、オーディオのベテランで壺や瓶を多量に設置して効果を上げたという話がありましたが、やはり計画的に作って設置する方が確かでしょう。
        

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