HiFiオーディオ教室

 AUDIO LESSON 62   「スピーカーの話/3」  2/15
 オーディオ屋は何故低音に拘るのか、という話を、多分2度目かも知れませんが再び説明しましょう。

 理由の第一は、低音が十分でないと音楽の形が整わない、特にクラシックでは致命的な欠陥になるためです。
 第二は、それにも拘わらず低音を出すことが容易ではない、ということです。勿論、リスニングルームのスペースと費用が十分あれば問題なく出せるのですが、もっと手軽に、という条件が入ってくると俄然難しくなってきます。
 第三の理由は、小型のリスニングルームでは定在波による凹凸が激しく、低音の特性の山、谷がどのように発生するかは、きちんと計画された部屋以外では、全く運次第となるからです。

 このような情況のもとに、オーディオ屋は一所懸命に頑張ってきましたが、体験的に、「低音は音量と同時に大きな振動板が欲しい」ということも分かってきました。

 スピーカーの本を開くと「空気排除量」という理屈が紹介されています。すなわち、ある音量を再生する場合、1平方メートルの振動板が1ミリ動くのも、0.5平方メートルの振動板が2ミリ動くのも同じだという考え方です。
 ところが、耳で聴いた低音の「本当らしさ」はかなり違うもので、大きな方に軍配が上がります。こんな経験をしています。

 昔のモデルですがAR−3という、その当時評判の30センチウーハーの小型ブックシェルフと、38センチウーハー+38センチ・パッシブラジェータータイプのシステム(JBLオリンパス)を比較試聴したのです。AR−3が評判になっていたというのは、アルテック社A7−500とオルガンの再生で比較して、それを凌駕するほどの評価を得たというものです。
 小生の行った比較試聴は、チェロの演奏を目の前で行い、即座に録音・再生して両方のスピーカーで再生してみる、という方法です。結果は圧倒的にオリンパスの勝ちで、チェロの「胴鳴り」と呼ばれるふくよかな低音の本当らしさが違うのです。どうやら、オルガンのような連続音では差が分からなくても、弦楽器の細やかな表情を再現しようとすると、違いがはっきりしてくるのです。

 当時の価格はオリンパスの方が4倍ほど高価でしたが、なるほど、その理由が納得できました。
 同様の経験はその後も何度となく体験しています。すなわち、小型ウーハーでは、測定して低音が出ていても、表情に乏しく、本当らしさに欠けるのです。

 このような経験を通して、低音を本当らしく再生しようとすると、ひたすら大きなウーハーが欲しくなるものなのです。日本の小型のリスニングルームでは無理だ、という言い訳を耳にしますが、一度は「本当にそうか」と考えてみることも大切です。
 (この話はコラムNO.62と連動していますから、そちらも読んで下さい)
 
        

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