HiFiオーディオ教室

 AUDIO LESSON 85  「オーディオの始まり−2」  2/1
 前回はエジソンが円筒型レコードの蓄音機を発明し、ベルリナーが円盤型レコードを開発するに及んで、録音と再生が普及するようになったと説明しました。
 ここがオーディオの夜明けなのですが、現在の姿になるまでには、さらに幾つかの大きな改良が行われます。

 シェラック盤の発明

 ベルリナーの円盤レコードの普及にはもう一つ、彼自身によるシェラック盤(レコードの材質)の発明が貢献しました。
 シェラック盤というのはラック虫の分泌液とカーボンブラック、コーパルという樹脂などを混合した材料で作ったものです。加熱すると簡単に柔らかくなり、室温ではすぐ割れるほどの堅さになります。しかも安価な材料なのでレコード用としては大変具合の良いものでした。この材料はビニール盤のLPが出現するまでの50年間、ずっと使われました。

電気吹き込み(電気録音)

 1924年(大正13年)に真空管アンプを使用した電気録音が行われました。これによって音域が広くなると同時に、音量調節が自由にできるようになり、録音技術は大きく進歩しました。
 この進歩はかなりのもので、従来のアコースチック(音響)吹き込みと比較するとよく分かります。
 特に低音が充実しているのが特長です。そしてレコードは一気に電気録音の時代になります。

熱電子管の発明

 ここで話は横道にそれて、電子管の発明の経過を眺めてみます。
 ことの始まりはやっぱりエジソンなのです。彼はそのころ白熱電灯の開発に懸命になっていたのですが、カーボンをフィラメントに使用して電球の中を真空にすると、カーボンが蒸発して管の内壁を黒くするため、それを防止しようとして金属板を置いてみたところ、つながっていない金属板とフィラメントの間に電流が流れることを発見しました。ただし、それは金属板がプラス電位の時だけで、金属板がマイナス電位の時は流れません。この現象が熱電子によるものであることを我々は知っていますが、その当時は不思議でしたし、利用方法も思いつきませんでした。
 この現象は「エジソン効果」と呼ばれるものですが、特許を取っています。これが1883年のことです。
 その特許が切れた頃、英国人のフレミングがこの現象を利用して、無線通信における検波器(2極管)を考案し、特許を取って実用化しました。これが熱電子管のはしりです。
 これが1904年のことですが、ここから真空管が非常な勢いで発展します。

3極管の発明

 2極管の出現で無線通信は大いに進歩するのですが、特許のために誰でも作れるという状況ではありませんでした。
 そこで、米国人のフォレストが、特許に抵触しない検波器を作ろうとして、もう一つの電極を設置し、それを網状にしてフィラメントとプレートの間に置くと電流を制御できることを発見しました。
 この電極が水道の蛇口(バルブ)のように電流を流したり止めたり出来るので、真空管のことを「バルブ」と呼ぶようになったのです。1906年のことです。そして、1912年に、その電子管に増幅作用があることを発見するのです。これが3極管です。
 この3極管は最初は無線通信の受信機や長距離電話回線の中継器として実用化されるのですが、その後オーディオ用アンプとなり、1924年(大正13年)に初めて電気吹き込み(電気録音)が行われました。


【参考文献】

 この「オーディオの始まり」の項を書くに当たっては、下記の文献を参照させて貰いました。
◆「メディア技術発達史読本」山川正光著(日刊工業新聞社)
◆「電気の歴史」二見一雄著(コロナ社」)
◆「電気学から電子工学への歩み」大滝淳著(誠文堂新光社)
        

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