
| column 169 「電話の音質」 2005/8/15 |
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電電公社が各家庭に貸し付けた最後の電話機は600型と称する、通称「黒電話」である。ところがこれがもっとも音質がよい。その送話器は密閉カーボン型で、受話器は鉄の振動板を音声信号の流れる電磁石で振動させるものだった。現在はどちらも小さなセラミックタイプらしく、全体の音質は劣悪化の一途である。 この優秀な600型電話機の送話器と受話器はまだ現役で、街頭の緑色の公衆電話がそれである。関心のある人は携帯の音と比べてみるとよい。 回線も300−3000ヘルツという規格がどうなったのか、到底その帯域幅全部を使っているとは思えない品質である。 電話を受けて、もっとも閉口するのは親子電話の子機の方で、携帯電話よりもっと悪い。どうもメーカーによって違うらしく、酷いときにはその旨を相手に注意する。この間、あるアンプメーカーに申し上げたら交換したらしく、現在は良好である。 音質が良くて感心するのは東京メトロ(かつての営団地下鉄)の構内拡声器である。それに比べて羽田の日航到着ロビーはひどかった。500ヘルツから1000ヘルツあたりにかけて建物の吸音が不足しているらしく、やたらキンキンと響いて著しく明瞭度を損なっていた。 日本の電話の安定性は世界に冠たるものと聞くが、音質についてはとても上等とは言いかねる。民になって規格を甘くしたのかどうか知らないが、電話の音質の低下は困ったものである。 |