
| 専科 07 「スピーカー/4」 1/1 |
| スピーカー[その4] (ウーハー/4) ここまで、「ウーハーは大きいに越したことはない」という話を進めてきました。しかし、エンクロージャーの大きいのは困る、ということから、小さくても低音を出せる工夫をして、様々なタイプのウーハーが考案されました。 その一つに「MFB方式ウーハー」があります。 アンプの世界では、1930年代に、負帰還(NFB)を施すと、増幅度を犠牲にするだけで 1.周波数特性 2.歪み率特性 3.過渡特性 4.残留雑音 5.ダンピングファクター などの諸特性を改善できるという技術が開発されました。 それによって、アンプの性能は大幅に向上したのですが、それをスピーカーに取り入れることができないか、という工夫が、主としてアマチュア主導で研究されてきました。昭和30年代のオーディオ誌にそれらの記事が載っています。勿論、モノラルの時代で、加藤、田辺氏等の名前が記憶に残っています。 この、スピーカーを取り込んだNFB技術は「MFB」と呼ばれていますが、MFBとは「モーショナルフイードバック」の略です。モーショナルは「運動の」という意味なので、スピーカーのような動く部分を取り込んだNFBということになります。 原理は「スピーカーが理論通りに動かないときは、アンプの力で強力に動かそう」というもので、例えば、ローエンドでスピーカーの音響出力が低下するのならば、アンプが馬力を出して、入力通りに動くようにしよう、という仕組みです。一種の自動制御です。 問題は、スピーカーの動作をどのように検出するかですが、当初はボイスコイルのボビンを延長してそこにコイルを巻き、その周辺に磁気回路を用意して、動電型の発電方式で検出信号を取り出しました。通称「コイル方式」呼ばれているものですが、現在も実験記事が技術系のオーディオ誌に載っています。 かつては、スピーカーメーカーもそのような構造のユニットを発売しましたが、主流にはなりませんでした。 検出方法にはもう一つ、マイクを使って、音波からスピーカーの動作を検出する方法も考えられました。この方式はアイワが昭和61年(1986年)にシスコンのスピーカーに採用して発売しています。 このマイク方式の特長は、スピーカーユニットに検出用コイルを増設するという工作の必要がなく、小型のマイクをスピーカーの振動板の前に設置して、その出力をアダプター経由でパワーアンプに戻すだけなので、手持ちのスピーカー、アンプで簡単にMFBが実現できる点ですが、これは大きなメリットです。 いずれの方式にせよ、比較的小口径のウーハー、小型のエンクロージャーで、驚くほどのローエンドの広さを実現しています。 このMFBの特長は、周波数帯域が広がるだけではなく、歪みの低減、過渡特性の改善という大きなメリットを伴っています。先にウーハーは大面積が望ましいと書いてきましたが、その場合でもMFBにはそれらの効用が期待できます。 このMFB技術がどれだけ普及するかは未知数ですが、使いこなしの技術が完成すれば大いに期待できるテクニックです。 (今回の話はコラム欄の「MFB元年」と合わせてお読み下さい) |