42号 おわりの挨拶


The A'-Team



 お楽しみいただけましたでしょうか。
 それではまた、冬にお会いしましょう。



【おしまい】









次回予告

「フェイスです。この度、一身上の都合により、詐欺師やめます。もう決めました。絶対やめます。ハンニバルが泣いて止めても、気持ちは変わりません。だから、説得しようったって無駄……ちょ、何それ、えええっ?!」
「あたしは泣いて止めるなんてことしませんがね、お前さんが詐欺師やめるなんてこと言ってる限りは、こいつと一緒にいてもらおう。」
 こいつ=コングの首振りトーキング人形。トーキングが止まらない。
「ハンニバル、そりゃおかしいだろう。詐欺師やめるって、今までの悪行を改心したんだぜ? 喜ばしいことじゃねえか。それを何だって、こんなでっけえ奴なんかと……。」
「でも、飛行機だけは勘弁な! でも、飛行機だけは勘弁な! でも、飛行機だけは勘弁な!」
 トーキングは止まらないが単調だった。
「どっちが本物のコング?」
「でも、飛行機だけは勘弁な!」
「そりゃこっちだ、アホンダラ。俺だって年がら年中、飛行機だけは勘弁なって言ってるわけじゃねえ。」
「見た目だけじゃわかんないよ!」
「でも、飛行機だけは勘弁な!」
「待て。既にどっちのセリフかわからんぞ。」
「奴に決まってるだろが! 大体、何で俺のハリボテ人形が作られてるんだ? 許可した覚えはねえぞ!」
「でも、飛行機だけは勘弁な!」
「飛行機以外のことは許可してるように聞こえるけど?」
「だからそれは俺じゃねえ!」
「ヘリならオッケ?」
「だから俺は許可してねえっつってんだろ。って、何でここにいやがるんだアホ猿が。」
「何か面白そうな気配が漂ってきたから脱走してきた。」
「大統領でもぶん殴ってみせるぜ!」
「あ、セリフ増えた。」
「大統領でもぶん殴ってみせるぜ!」
「うるせえ、いい加減黙りやがれこの野郎!」
 と、首振りトーキング人形に右フックを食らわすコング。宙を舞いながら首を振りつつトーキングする人形。
「大統領でもぶん殴ってみせるぜ! でも、飛行機だけは勘弁……!」
「あー、ぶん殴られちゃったねえ。」
 マードックが抱き起こすも、無言となってしまった首振りトーキング人形。
「こういう時には、ていっていっ!」
 首振りトーキング人形に往復ビンタをかますマードック。
「でも、飛行機だけは勘弁な! 大統領でもぶん殴ってみせるぜ! 通称コング、メーカーの、天才だ! 通称コング、メーカーの、メーカーの、メーカーの天才だ! 天才だ! 飛行機だけは、メーカーの、メーカーの、ぶん殴ってみせる天才だぜ!」
「直っ……た?」
 周囲の3人を見上げるマードック。
「メーカーの、天才だ! 大統領だけは勘弁な! 通称コング、だけは勘弁な! 勘弁な!」
「……直ったな。【編註;直ってねえだろ。】それじゃあフェイス、当初の予定通り、お前が改心するまで、この首なし、じゃない、首振りコングと一緒にいてもらおう。コング、モンキー、やっておしまいなさい。」
 ハンニバルの指示に、フェイスマンの両腕を掴み、寝室に連れていこうとする2人。
「ちょっと待ってよ! 何この仕打ち! て言うか、この罰ゲームみたいなやつ、どの辺が苦痛なのかよくわかんないんだけど、あの、ハンニバル、聞いてる?」
 無論、ハンニバルは聞いてない。
「通称メーカーの、大統領でも勘弁な!」
「あーもう、苦痛じゃないけど、うるさい。苦痛じゃないけど!」
「だったらさっさと改心しちゃえばいいじゃん。」
 左手でフェイスの腕を掴み、右手で首振りコングの左腕を掴むマードック。
「苦痛じゃないから改心しない。全然苦痛じゃない。うるさいだけで。」
「B.A.バラカス、天才だ! メーカーのB.A.バラカス、大統領だ! 天才大統領、B.A.バラカスだ!」
「ちっと恥ずかしいな。」
「うるさいだけで苦痛じゃない。だから改心なんかしない。俺は詐欺師をやめる!」
「そうか、そうまで言うなら仕方あるまい。だが、詐欺師をやめて何をするつもりだ? 一生、首振り人形と暮らす以外の選択肢が思いつかないんだが。」
「一生、首振り人形と暮らすっていう選択肢の方が思いつかないよ、普通。もっと他にあるだろ、ほら、パン屋を開くとか、農業を志すとか、エリートサラリーマンになるとかさあ。」
「その選択肢自体が既に詐欺師臭えんだが。」
 首を傾げるコングにフェイスマンがぴっと指を突きつける。
「じゃあ何だよ。詐欺師っぽくない選択肢を言ってみてもらおうじゃないか!」




〜パターンA〜
 さて来週のAチームは――『フェイス、医者になる』、『フェイス、教師になる』、『フェイス、オリンピックに行く』の3本です。うち1本は、本当に、詐欺じゃなく実現しています! フェイス、やればできる子だね! お楽しみに〜。




〜パターンB〜
「精神病院の患者なんてどう?」
「それ、詐欺だろ、既に。」
「それじゃあれだ、ポストマン。どうだ、こりゃ詐欺師っぽくねえだろ。」
「うーん、詐欺師っぽくはないけど、俺に向いてないんじゃないかなあ。ほら、地道に郵便物を配達するなんてさあ。」
「パン屋だって地道にパン焼くだろが。」
「職業選択はそのくらいにして、そろそろ予告の時間だ。」
 懐から封筒を取り出し、便箋をピッと開くハンニバル。
「次回のAチームは、『フェイス、首振りトーキング人形と飲み明かす』。」
「やだ〜、そんなの〜。」
「『フェイス、首振りトーキング人形とガールハントする』。」
「すっかりマブダチじゃん!」
「『フェイス、首振りトーキング人形詐欺を思いつく』。」
「結局、やめられてねえじゃねえか。」
――の3本だ。」
「ふんがっふっふ。」



 さて、ここで問題です。今の「ふんがっふっふ」は誰のセリフでしょうか?
 

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