Katsushika-Maniacs
フル川 四万
〜1〜

 クリスマスも近い12月。ロサンゼルスの市街地にある州立美術館。東洋美術を専門とするこの美術館は、現在、日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎の展覧会を開催している。
 その門の前に佇む一人の老人、ジェイク・ロバートソン、御年70歳。現在無職だが、去年までは近所の商工会議所に40年以上勤務して5人の息子を立派に育て上げた、至って真面目な爺様だ。
 そのジェイク爺は、家から大事に抱えてきた風呂敷包みを開け、1枚の額を取り出した。それは、1枚の浮世絵。緩い坂道の向こうに大きな山が美しく輝いている構図は、多分、日本の風景なのであろう。彼は、しばしその絵画を見つめ、それから顔を上げて、美術館の中へと踏み込んでいったのであった。



〜2〜

♪ちゃーん、ちゃららららー、らら、たぁらり〜たーらららら〜(寅さんのテーマ曲)
「オーイラが、いたーんじゃ、お嫁ーにゃ行けーぬー。わかあっちゃいるーんだ、コーングーちゃんー。」
 調子っ外れの歌声が響くここは、退役軍人精神病院の娯楽室。患者さん全員強制参加の映画鑑賞会の真っ最中である。
 本日の演目は、日本が誇る山田洋次監督のボヘミアン・ロードムービー、『It's tough to being a Man〜男はつらいよ〜』の第25作、『寅次郎 ハイビスカスの花』。沖縄を舞台に、浅岡ルリ子がマドンナ・リリー役を再度熱演した名作だ。
 名作の意図が通じているのかいないのかは不明であるが、入院患者の皆さんは、マードックを始め、皆様映画をご満喫のご様子。何でも、アメリカと違う価値観に触れることによって、心の中の罪悪感を軽減する精神療法の一環、だそうで、今月は既に『男はつらいよ』1〜24話を鑑賞済みであるので、患者の皆様は、すっかり葛飾柴又の団子屋近辺の連中に感化され、「おいちゃん!」だの「さくら!」だの、「帝釈天で産湯を浸かり……」だの、「家族じゃないか、水臭いねえ」だの、にわか寅次郎&おいちゃんおばちゃんの東京下町ワールドがそこここに出現している状態。
 因みに、先月までは、インドの英雄、ラジニカーント主演のミュージカル映画50本連続鑑賞の予定であったが、踊りすぎて腰をいわす患者続出で、結局インド映画の会は2本で終了となっていた。
「患者の調子、どう?」
 娯楽室の一番後ろで、患者の様子を見守っていた新入り看護婦のシェリーは、肩に乗せられた手の感覚に驚いて振り返った。
「ああ、驚かせちゃったかな、ごめん。」
 いつの間にかシェリーの真後ろに立っていた白衣の男は、人のよさそうな下がり眉毛の男前、だが全く知らない男であった。
「……あの、あなた、誰?」
「俺? んー、州立病院の方から研修に来たんだけど、受付、忙しそうだったからさ、勝手に入ってきちゃった。てへ。」
 と、微笑んで頭を掻く白衣のフェイスマン。実際には、受付を通らず、搬入口から業者の車の底にへばりついて入館していますが。
「まあ、いけない人ね。入館申請書は書いた?」
「ああ、これね。受付の人の手を煩わすのも何だから……君が代わりに受付してくれると嬉しいんだけど。」
「いいけど、受付には本人確認できる書類が必要よ? 免許証か医師免許は持ってる?」
「ごめんごめん、車に免許証忘れてきちゃった。」
「それじゃ手続きできないわね。ここ、身元確認は厳しいのよ。」
「そっかあ、困ったな。実は、もう約束の時間だから、院長室に行かなきゃいけないんだけど。……本人確認はさ、今夜、ディナーに行く時にする、ってことでよくない? ね? どうせ1日ここにいるんだし。」
「ディナーって、それってもしかしてデートに誘ってるの? 今、初めて会ったのに?」
「もちろん! 後ろ姿だけでこう……ビビッと来ちゃったんだ、ねえ、いいだろ?」
 困り顔でそんなセリフを吐くフェイスマンを、シェリーはぽかんとした顔で見つめ、その後、プッと噴き出した。
「あなたみたいな正直な人、初めてよ。いいわ、申請書だけで受付してきてあげる。」
「やった、サンキュー、えっと……。」
「シェリーよ。」
「シェリー、ありがとう。」
「どういたしまして。」
 というわけで、半分くらい正規の方法で入館証を手に入れたフェイスマンは、映画鑑賞中の娯楽室の後ろにそっと滑り込み、マードックを探す。
「今日も〜涙の日が落ちる、日がぁあおおちいるうぅぅ。」
 人一倍でかい歌声により、安易にマードック発見。
「えー、うほん、うほん。」
「おや、おばちゃん、お迎えかい?」
「誰がおばちゃんだ、さっさと来い、仕事だ。」
「仕方ないねえ。色男はつれぇなあ。」
 フェイスマンに首根っこを掴まれ、マードックは今日も外出と相成ったのでありました。



〜3〜

 廃業した小さな映画館。待ち合わせは、確かここのはずだった。
 ジェイク爺さんは、重たい革張りのドアを押して映画館の中へと足を踏み入れた。埃っぽいロビーに電燈は点いているものの、人影はなく、しかし微かに何かの音楽が聞こえている。
 爺さんは、音の鳴る方へと視線を上げ、上映中の札のかかった扉へと吸い寄せられていった。
 そっと扉を開けば、そこでは映画が上映中。何という話かさっぱりわからないが、怪獣ものらしい。着ぐるみ丸出しの偽ゴジラのような生き物が、両手に漬物石と麺棒を持って、マシンガンをぶっ放すガンマン風な連中に飛び蹴りからの馬乗り&タコ殴りにしている。
「こんなところに、あの伝説のAチームがいるんじゃろかい……。」
 爺さんは、結構でかい声でそう呟くと、客席へと目を向けた。照明が落ちていてよくわからないが、明らかにスクリーンが見にくそうな最前列に、お客が1、2、3……4人。普通、モヒカン、帽子、白髪が、真ん中にきっちり並んで座っている。
「おお、あれがAチームかい。」
 物わかりのよすぎるジェイク爺さんは、迷うことなく4人に近づいていった。
「やあ、スミスさん、わしがジェイク・ロバートソンじゃ……。」
 爺さんは、そう言いながら、端っこの1人の肩に手をかけた。が、反応はない。
「おんや? 寝てるんか? 起きとるなら何か言わんかい、え?」
 爺さんは、そう言って、お客の前に回り込み、そして……4人仲良く並んで座る、マネキン人形たちとご対面の運びに。意外な展開に戸惑うジェイク。と、その時、上映中なのに、不意に流れる場内放送。
『アクアドラゴン対アンブレイカブル・ガンメンの上映中ではございますが、お客様のお呼び出しを申し上げます。お車ナンバー○○××、水色のフォード・カントリー・セダンでお越しのお客様、フォグランプが点きっ放しになっています。急いでお車までお戻り下さい。繰り返します、お車ナンバー○○××でお越しの……。』
「何じゃと!? わしの車じゃないか。くそっ、やっちまった、バッテリー上がっちまう。」
 急いで映画館を出て、近所の時間決め駐車場に戻るジェイク爺さん。そして、駐車場の片隅、爺さんご自慢のフォード車の前に並んでいたのは、先程映画館に並んでいたマネキン人形。と、全く同じ格好の4人の生人間であった。



 所戻りまして、映画館の2階のVIP席。めでたくお顔合わせとなりましたAチームの面々と、今回の依頼人ジェイク・ロバートソン。引き続き上映されているアクアドラゴンを横目で見つつ、1枚の絵を囲んで何やら考え込んでいる。
「これが、美術館で偽物だと言われた絵なんだな? 何でぇ、よく描けた絵じゃねえか。」
 コングが、ジェイク爺さんの持ってきた額を手に取って言った。
「そう、わしには偽物とは思えないんじゃが、学芸員のベッティ・ランバートは、こりゃ贋作だと断言したんじゃ。元々は版画なんじゃが、わしのこれは印刷なんじゃと。」
「ちょっと待ってよ。最初から説明してくれる? 俺、東洋美術には、ちょっと疎くてさ。」
 西洋美術の知識もなさそうなフェイスマンが、ちょっと偉そうにジェイクに言った。
「うむ、ちょっと長くなるが、聞いてくれ。」
 そう言うと、ジェイクは話し始めた。
「あれは2年前のことじゃった。元々日本の浮世絵に興味があったわしは、地元の古美術オークションに時折参加していた。まあ、わしの小遣いで買える程度のモノなんて、ちょっとした版画やらの量産品ばかりじゃったが、それでも身の回りに浮世絵が増えていくのが楽しくてな、ボーナスが出る度に駆けつけていたんじゃ。女房には呆れられていたがね。それで、その日も東洋美術に特化したオークションがあると聞いて、出たばっかりの夏のボーナスを握って参加したんじゃ。結構大物が多い回でな、尊敬するウキヨエ・ペインターの北斎の絵も何点か出展されていたんじゃ。喉から手が出るほど欲しかったんじゃが、何せ予算がな。結局、3点ほど入札はしたものの、1点も買えずにその日は帰ることになった。そしたらその翌日、とある画商からわしの家に電話があってな。“昨日のオークションでの審美眼、お見それしました。あなたは相当な目利きでいらっしゃる。つきましては、違いのわかる方に、是非、見てもらいたい一品があるので、これから家に伺っていいか”と。わしは喜んでその申し出を受け入れた。何せ、素人浮世絵ファンじゃ、画商に目利きと言ってもらえて、舞い上がってしまったんじゃな。それで、奴が持ってきたのが、この絵じゃ。」
 と、額を指し示すジェイク爺さん。
「で、これは一体何なんだ? 坂道と山?」
「『甲州犬目峠』の初版。北斎先生が、日本で一番高い山、富士山をモチーフに描いた富嶽三十六景 36 Views of Mt.Fuji という連作の、41枚目の作品の初版……という説明じゃった。値段も、3000ドルと、わしにも手が届く金額じゃったんで、飛びついて買ってしまった。」
「36の景色を描いた作品の……41枚目? そりゃ偽物だろ。ド素人にだってわかる。」
 と、フェイスマン。
「……ところが、そうじゃないんじゃよ。富嶽三十六景は、最初は36枚だったんじゃが、好評で、後から10枚が追加された連作なんじゃ。無論、最初の36枚の方が人気ではあるんじゃが。」
「後から10枚、てことは、36 viewsではなくて、46 viewsだったと。」
「ああ、そうじゃ。」
「で、その絵が41枚目か。これが偽物だと。」
「どうやら、そうらしい……。」
「で、爺さん、あんたは、どうしてそれを美術館に持っていったんだ?」
「先週から、州立美術館で富嶽三十六景の展覧会が開かれると聞いてな、その展覧会をやるんなら、わしの持ってる41枚目の初版というやつが、どれくらいの価値があるものか……3000ドルは高かったのか安かったのか、専門家に見てもらおうと思ってな。で、美術館に行ってみたら……。」
「……偽物だと言われたんだね?」
 ハンニバルの問いに、ジェイク爺さんは力なく頷いた。
「ああ。展示してあった本物の『甲州犬目峠』は、わしのとは左右が逆になっとった。わしのは複写だったんじゃよ、それもネガポジの間違った。」



「カツシカぁ!?」
 それまで黙って聞いていたマードックが、素っ頓狂な声を上げた。
「え、そのホクなんとかって画家、カツシカっていうファミリーネームなの? もしかしてカツシカクの出身? ミスター・トラと同郷じゃん!」
 急にテンションが上がるマードック。因みにミスター・トラとは、『男はつらいよ』の主役、フーテンの寅こと車寅次郎のことである。そして寅さんに感化されまくった彼氏の今日の出で立ちはと言えば、ベージュ系のダブルのスーツ、中はヘインズの白T。そして、真新しいセーターの上半分をぶった切ったピンクの簡易腹巻に、ヘビ柄の長財布が差してある。足元はビーサン、首から下げるは、お守りならぬ、ダウンジング・ペンダント。水脈とか探す時に使う、アメジストのついた銀鎖ね。そして頭にはチロル帽。手持ちの服で賄える範囲で寅さんルックを設えたようだ。因みに、お腹辺りでぶった切られたセーターが、フェイスマンご自慢の高級カシミアであることについては、今のところ誰も気がついていない。
「うわ、ミスター・トラと同じ出身地ってことは、絶対そっちが本物だぜ、爺さん! 本物だから、むしろ自信持ちな!」
 テンションが上がったマードックの断定には一切根拠なく。
「いやいや、落ち着けモンキー。」
 苦笑しつつ、話を進めるハンニバル。
「で、爺さん、あんたはこの絵をどうしたいんだ?」
「これを売った古美術商を見つけて、買い戻してもらいたい。」
「……買い戻す、だけでいいのか?」
「ああ。詐欺にかかったのは、わしの目利きが悪かったせいでもあるからな。売値で買い戻してくれたら、その金で車をキャンピングカーに改造して、女房と旅行に行く。もう絵画はこりごりじゃ。」
「して、これを売った古美術商の名前は?」
 ジェイク爺さんは、1枚の名刺を取り出した。
「オリエント商会という会社じゃ。社長は、ジミー・チュウ。しかし、その名刺に書いてある電話番号は繋がらんし、住所のある場所に行ってみたら、児童公園の公衆トイレがあった。」
「ふむ、そりゃ典型的な詐欺だ。それじゃあ、まずはオリエント商会の情報収集からだな。」



〜4〜

 数日後、Aチームのアジト。古い映画館は暖房が利かなかったために早々に切り上げて、今はダウンタウンの瀟洒なアパートメントに落ち着いている皆様です。
「ただいま〜。」
 フェイスマンのご帰宅。今日の彼氏は、茶のコーデュロイのスーツに水色のセーターというお洒落ルック。本当は、お気に入りのカシミアのセーター(ピンク)を着たかったが、なぜか見つからなかったため。
「フェイス、何かわかったか?」
「うん、ジェイクが絵を持ち込んだ州立美術館に行ってさ、学芸員のベッティに心当たりがないか訊いてみたよ。彼女、その会社にもジミー・チュウって名前にも心当たりはなかったけど、ここ数年、日本画関係で贋作が増えているのは確からしい。先月も1人、偽物のオウキョ(?)を掴まされた人がいるって。ベッティもさ、もし詐欺まがいの商売している古美術商がいるなら許せない、だから俺たちに協力は惜しまないって言ってくれたよ。彼女、シカゴ美術館付属大学院を出てる才媛なんだぜ。しかも90-58-90のナイスバディ。」
「ふむ、先月ということは、ジミー・チュウは、まあ、どうせこれも偽名だろうが、まだロスで活動している可能性があるな。」
 フェイスマンの報告の後ろ半分を、とりあえずさらっと無視して続けるハンニバル。
「だが、どうやって見つけ出すんだ? こっちは敵さんの顔もわからねえのによ。」
「馬鹿にするんじゃないよ、サクラ。そういう時に、オイラのこのダウジング・ペンダントが物を言うんだぜ。」
 マードックは、胸の前でアメジストのついた鎖をフラフラさせている。どういう仕組みかはわからないが、ぶら下がっているアメジストは、ぐるぐると円を描くように揺れ、たまにコングを指して止まったり。て言うか、コングが何ゆえサクラ役か。
「顔ならジェイク爺さんが見てる。それに、別にこっちから探さなくても、あちらさんから来てもらえばいいじゃないですか。むふふ。」
 ハンニバルは、そう言って企み顔で微笑んだ。



〈早くもAチームのテーマ曲、流れ始める。……が、早々にフェイドアウト。代わって、『男はつらいよ』のイントロ始まる。〉
 寅さんルックのマードック、片手にマイク、片手にアタッシュケースを持って登場。
『わたくしー、生まれも育ちも、記憶にございません。』
「ねえのかよ!」byコング
『トレビの泉で産湯を使い、姓は車?? 名は寅……次郎?? 人呼んで、ハウリング・マッド・マードックと発します……。』
「姓も名もうろ覚えじゃねえか!」byコング
 引き続き、コングの突っ込みを挟みつつ、以下、『男はつらいよ』のメロディーつきでお読み下さい。
『どうせオイラは、ヤクザなパイロット。わかっちゃいるんだ、コングちゃん……。』
「わかってんならちったぁマシな操縦しやがれ、このスットコドッコイ!」
『いつかコングの喜ぶような、アクロバットを決めたくて〜。』
「今度意味のねえアクロバット飛行しやがったら、ブッ飛ばすぞこん畜生!」
『奮闘努力の甲斐もなく、今日も〜コングに怒られる、おこーられーる〜。』
「てめぇが馬鹿な真似ばっかするからだっ!」
 歌い終わったマードック、お怒りのコングの肩をポンポン叩いて、ニッコリ。
〈Aチームのテーマ曲、フェイドイン。〉
 机の上一杯に投げ出される浮世絵の資料。それを取っ替え引っ替えしつつ、適当に選んだものをマードックにホイホイ渡していくコング。それを、切ったり千切ったりして、偽『甲州犬目峠』の上に貼り合わせていくマードック。(既に仲直り済み。)
 所変わって州立美術館。ベッティ・ランバートに薔薇の花束を渡すフェイスマン。喜ぶベッティ。カレンダーを見つつ、2人で何やら相談をするフェイスマンとベッティ。
 ドレッサーの前で、黙々と老人メイクを施すハンニバル。それを後ろで見て感慨深げに頷くジェイク。
〈Aチームのテーマ曲、終わる。〉



〜5〜

 とある日曜日。州立美術館では、クリスマスイベントの一環として、東洋美術品のオークションが開催されていた。美術館の展示品の一部、および収蔵の品々をオークションにかけ、売り上げで新しい作品の購入資金に充てようというイベントだ。何せ、東洋美術品の収集について30年以上の歴史がある美術館の、初めてのオークションである。掘り出し物を求めたコレクターたちが、こぞってオークションに臨んでいた。
「なかなか盛況じゃの。」
 総白髪に丸い鼻メガネをかけ、毛皮のコートを着た腰の曲がった老人が、隣のジェイク爺さんに声をかけた。
「スミスさん、本当に、このオークションにジミー・チュウが来るんじゃろうか。」
「来るとも。30年間収蔵品を放出していない美術館が、初めてお宝を売るんじゃ。マニアや古美術商には堪らんイベントじゃわい。……ところで、わしはスミスじゃなくてコンラッドじゃからな。」
「ああ、ミネソタの実業家で東洋美術マニアのコンラッドさんじゃったな。」
「いかにも。」
 ミネソタの実業家に身をやつしたハンニバルとジェイク爺さんは、オークション席の一番後ろの会場を見渡せる場所に陣取った。コングは入口で入場者に睨みを利かせているし、フェイスマンとマードックも会場のそこここで辺りを窺っている。このオークションについては、州立美術館が地元の新聞に開催広告を打ち、入場希望者の中から抽選で入場者を選んだ……ということになっている。一応は。



 そして時間になり、1人の美女が檀上に上がった。タイトなスーツに身を固めたグラマラスなその姿は、筆頭学芸員のベッティ・ランバート嬢だ。それに続き、白手袋の男が2人、絵画や彫刻を乗せたテーブルを運んできて、セッティングする。
「さて皆様、これから我が美術館の収蔵品の一部をオークションにかけます。奮ってご入札下さい。それでは最初の作品、インドネシアの仏像です。これは1830年代にバリ島の東部の遺跡で発掘され……。」
「500ドル!」
 説明を最後まで聞けぬタイミングで、マードックが声を上げた。
「早いよモンキー、ええと、じゃ1000ドル!」
 フェイスマンも叫ぶ。釣られて他のお客さんも口々に金額を叫ぶ。1500ドル、2000ドル、2200ドル、2250ドル……。
「2250、他にいらっしゃいませんか? では、この作品は2250ドルで……。」
「5000じゃ!」
 ハンニバルが朗々とした声でオーバーテイク。
 急な金額の上昇に会場がどよめく。ベッティはハンニバルの方を向いて、にっこり笑った。
「5000ドル。この仏像は、コンラッド社長が5000ドルで落札されました。」
「あんな仏像に5000ドルって、だ、大丈夫なのか、スミ……コンラッドさん。」
 横で見ていたジェイク爺さんが心配そうに尋ねた。
「大丈夫だって。あんたは心配しないで、ジミー・チュウを探すことに集中してくれ。」
「わ、わかった。」
「さて次は、こちらの高句麗の壺です。こちらは200ドルから。」
「6000!」
 マードックが叫んだ。
「モンキー、急に6000はやりすぎだって! ……ってか、6030!」
 フェイスマンが、部屋の対角線上のマードックを睨んで、微妙な値上げで入札する。
 6100、6125……。最初が高すぎたせいで、後の展開は渋め。そして、
「ぬふふ、それならわしは、1万じゃ!」
 ハンニバルが、またしても大幅アップで落札。その後も、んふふふ、楽しいねえ、と笑いながら、次々と作品を落札していくコンラッド社長ことハンニバル。
 そして、8作品目、中国製の水晶の龍に突入し、値段が5万ドルを超えた、その時。
「スミスさん、いた! 見つけたぞ!」
 興奮したジェイク爺さんが、ハンニバルの腕をバシバシ叩いた。
「ん? どいつだ?」
「前から2列目の、ハットを被った小柄な男。あれがジミー・チュウじゃ。」
「どれ、ふむ、あの東洋人か。よーし、じゃ、もう一丁、豪勢にやっときますかね。……じゃ、10万ドル!」
「水晶の龍、10万ドルでコンラッド社長が落札されました!」
 ベッティ嬢がハンニバルに拍手を送る。釣られて会場からも拍手が起こった。



 オークション終了後、杖をついてヨロヨロと会場を立ち去る振りをするハンニバルの背中に、そっと寄り添う影あり。振り返ると、小柄な東洋人が1人、上目使いでハンニバルを見てニヤニヤと笑っている。年の頃は40絡みだろうか。真っ黒な髪をポマードで撫でつけ、体より大きいスーツは、イタリア物の光沢のある生地が相当に高そうだ。
「はじめまして。私は、古美術商を商っております、ジャッキー・チョウと申します。コンラッド様におかれましては、大変なお目利きとお見受けします。そして、東洋美術品の価値をわかっていらっしゃる。東洋人として嬉しい限りです。私も古美術商の端くれ、是非ご挨拶をと存じまして。」
 現在、ジミー・チュウは、ジャッキー・チョウを名乗っているらしい。
「あんたぁ、美術商か。やあやあ、それはありがたい。ちょっと探し物があってミネソタから出てきたんじゃが、なかなか見つからんでな、ここで小金を使って帰ろうかと思っていたところじゃ。」
「……お探し物を?」
「ああ、浮世絵をなあ。」
「浮世絵! それなら私の得意分野です。是非、何点か紹介させて下さい。」
 ジャッキー・チョウと名乗る男は、いそいそと会場の隅の椅子にハンニバルを座らせ、手持ちのアタッシュケースを膝の上でぱかっと開いた。



 その姿を遠くから眺めるAチームの3人とジェイク爺さん。
「おー、釣れた釣れた。」
「意外と簡単だったな。」
「……でも、大丈夫なのか、スミスさん。あんなに高額の品を次々と落札して。わしぁ、そんな経費は払えんぞ。」
 気を揉むジェイク爺さんの肩をポンポン叩くフェイスマン。
「だいじょぶだいじょぶ。だってこれ、偽オークションだもん。」
「偽オークションじゃと?」
「うん、オークション自体、全部ウソ。お客さんも、怪しい業者を除いて全員サクラ。広告出して入場希望してきた中で、身元の確認が取れなかった怪しい業者ばっかり招待したからね。でも、美術品は本物よ? だから、俺たちの誰かが落札する必要があったわけ。え、何でそんなことができたかって? そりゃあ、ほら、彼女が協力してくれたから。ねっ?」
 そう言って振り返るフェイスマンの視線の先には、笑顔で頷く学芸員、ベッティ・ランバート女史の姿があった。目くばせ&投げキッスし合うフェイスマンとベッティ。
「楽しそうじゃな、若いもんは。」
「あいつの場合、年中盛ってやがるだけだけどな。」
「まあまあ、いいじゃん、仕事は楽しくやらなきゃ。じゃ、俺は退散するね。ベッティとゴハン行く約束してるから。あとはハンニバルに任せよう。」



 こんな所(美術館)では詳しい話はできませんので……と言うジミー・チュウの提案で、近所の喫茶店に場所を移した中年と老人。チュウの差し出した目録を捲りつつ、渋い顔のハンニバル(コンラッド社長)。
「社長、どうですか? なかなかの品揃えでしょう。アメリカの美術商で、うちほど浮世絵の品揃えが豊富な店はありませんよ、本当に。……こっちの広重も珍しいでしょう?」
 チュウが、揉み手をしつつハンニバルの顔色を窺う。
「確かに、いい品揃えじゃ。いや、感心したよ。じゃが、広重もいいが、わしは何より北斎派でね、特に富士山の絵がたまらなく好きなんじゃ。」
「北斎で富士山と言えば、富嶽三十六景ですね。」
「その通り。とは言え、レプリカや小品では話にならん。希少価値の高い、特別な北斎を手に入れたいんじゃ。」
「特別な北斎……と申しますと?」
「『葛飾賑之図』……聞いたことがあるじゃろう?」
「カツシカ……ニギワイノズ、ですか? それは一体……?」
「あんた知らんのか?信じらんな。日本じゃあんなにニュースになっとったのに。」
「と、言われましても……。」
「富嶽三十六景、47枚目の作品じゃ。」
 ハンニバルは、フォーティセブン、を強調して、そう言った。
「47枚目? はは、冗談でしょう。富嶽三十六景は、全部で46枚の連作です。46枚目の『身延川裏富士』で最後、それ以降は描かれていないはず。」
 チュウの言葉に、大袈裟に落胆して見せるハンニバル。
「何じゃ、本当に知らんのか。今年の夏に47枚目が日本で発見されたんじゃ。しかも、版木はなくて、絵1枚こっきりじゃ。何でも、北斎の親戚筋にあたる葛飾区柴又の団子屋の屋根裏から発見されたんだそうじゃ。そして、店主が美術館に寄付しようとした、まさにその日、団子屋のドラ息子が絵を持って家出。どうやら、でかい借金があるらしくてな。それ以来、ドラ息子の行方は知れず、『葛飾賑之図』はアメリカの美術商に売られたとか何とか。……まあ、どこまで本当かはわからんが。ところで、あんた、日本語読めるか?」
「いえ、あまり得意では……。」
「まあいい、これがその時の新聞記事じゃ。見てみんさい。」
 と言いつつ、ハンニバルはポケットから、くしゃくしゃになった新聞のコピーを取り出してチュウに見せた。確かに、浮世絵、北斎、47、と思われる文字が見て取れる。
「とにかくわしは、この『葛飾賑之図』がどうしても欲しいんじゃ。見つけてくれたら、20万ドルで買おう。」
「に、20万ドル? 浮世絵1枚に、ですか?」
「ああ、この作品には、それくらいの価値がある。もし見つかったら、必ず買うから、他の奴に売る前に、わしに連絡してくれ。土曜にはミネソタに帰らにゃならんが、今週一杯はこっちの家にいる。ああ、こっちにも家があるんじゃよ。電話番号と住所は、このネームカードに書いてある。」
 と、名刺を渡すハンニバル。
「……わかりました。探してみましょう。」
「おお、頼んだぞ。それじゃ、わしはこれで……。」
 ハンニバルは、杖を頼りに立ち上がると、ヨタヨタと喫茶店を出ていった。



〜6〜

「見つからん。」
 ジミー・チュウは溜息をついた。コンラッドに依頼された、葛飾北斎の『葛飾賑之図』。どんな資料を当たっても、同業者に探りを入れても、全くヒットしないのだ。あの田舎者のバカ社長がガセネタに踊らされているということも十分考えられる。しかし、ガセであろうとなかろうと、浮世絵1枚に20万ドル払おうというカモを離す道理もないではないか。
「せめて図版でも出てりゃあ、レプリカを作れるんだがな。図版……。とりあえず美術館で資料を当たるか。」
 今のところ、ロサンゼルスで葛飾北斎の資料があるのは、州立美術館しかない。というわけで、ジミー・チュウは州立美術館に向かうのであった。



 州立美術館「葛飾北斎展」の会場は、閑散としていた。ジミー・チュウは、飾ってある富嶽三十六景(本物)の説明書に目を通しつつ、『葛飾賑之図』のヒントを探る。
 と、その時、静まり返った場内に素っ頓狂な声が響いた。
「何ですって? 幻の47枚目が見つかったって言うんですか?!」
 驚いて振り返った先には、学芸員のベッティ・ランバート。誰かと電話をしながら、興奮して捲し立てている。
「信じられません、ううん、ないはずがないとは思いませんが、今まで見つからなかったものが、そんな、お団子屋さんの屋根裏から出てくるなんて……。とにかく、私の方も、現物を見ないと何とも申し上げられません。今からそちらに伺いますから、待ってて下さい!」
 ベッティは、ガチャンと電話を切ると、チュウに向き直った。
「……聞こえちゃいました?」
「聞こえましたよ。47枚目、ということは、『葛飾賑之図』が出たんでしょう。聞き捨てならないですね。」
 チュウが、いかにも訳知り風にニヤリと笑った。
「ふぅ、聞こえてしまったなら、隠し通すわけにも行かないわね。あなた、この前のオークションにいらしていた美術商の……チョウさんでしたっけ。」
「ジャッキー・チョウです。」
「そう、それでね、チョウさん、その『葛飾賑之図』を売りたいという日本人が、今、カールトンホテルで他の美術商と待ってるのよ。その美術商曰く、珍品すぎて真贋の判定がつかないから、専門家に来てほしいって。」
「それは、是非ご一緒させていただきたいもんですな。そんな珍品なら、是非とも拝見したい。」
「いいわ。真贋判定に目の数は多い方がいいものね。じゃあ、急ぎましょう。」



 10分後、カールトンホテルのスイートルームに、ベッティとジミー・チュウ到着。なぜか、照明を落とした薄暗い部屋で、4人の男が顔を寄せ合って1枚の絵を囲んでいる。
「スミスさん、お待たせしました。」
「やあベッティ、遅いじゃないか。」
 ソファに腰を下ろして浮世絵を眺めていたハンニバルが、そう言って立ち上がり、ベッティに握手を求める。
「スミスさん、こちら、古美術商のチョウさん。こういう時は、人数が多い方がいいかと思ってお連れしました。こちら、NYで画商をなさっているスミスさん。」
「チョウさん、はじめまして、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
 ハンニバルとがっちり握手を交わすチュウ。しゃきっとしている今のハンニバルと、ヨイヨイのコンラッド社長が同一人物だとは疑いもしていない。
「私の方も紹介させてくれ。そちらが、今回『葛飾賑之図』を持ち込んだ、トラジロウ・クルマさんだ。」
「ヘロウ、ナイスツーミーッチュ。」
 寅さんルックのまま、目尻だけテープで吊り上げ、出っ歯のつけ歯を装着したマードックが、どこ訛りでもない英語でご挨拶。
「そしてこちらが、クルマさんの通訳のバラカスさん。それと、そっちにいるのが、ご同業のペック君。」
「どうもー。」
 軽い感じでフェイスマンもご挨拶。
「それじゃ、早速、見てもらおうか。バラカスさん、もう一度説明をお願いします。」
 4人は1枚の絵を囲んで座り、持ち主(の通訳)の説明を聞く。
「俺は、葛飾北斎の親戚だ。親父が天井裏を掃除してたら、この絵が出てきた。これは北斎が、うちに泊まりに来ていた際に、葛飾区の賑いっぷりを見て、感動して描いた『葛飾賑之図』だ。親父は地元の資料館に寄付すると言ったが、俺としては価値のわかる金持ちに買ってほしいと思って持ち出した……と、言ってる。だな?」
 通訳にしては態度のでかいコングが、マードックに振る。
「おお、イエース、その通りでーす。サクラ、頭いい。」
「誰がサクラだ。」
「そちらの方が葛飾北斎のご親戚というのは確かで?」
「ああ、クルマさんの身元は確認済みだよ。確かに柴又の団子屋の息子さんだ。」
「ほう……。」
「では、その前提で、実物を見てもらおう。」
 と、一同の視線を絵に促すハンニバル。そこには、チュウが見たこともない構図の、町と富士山が描かれている。まるでコラージュのように町並みが重なり、北斎独特のプルシアンブルーの空と赤富士が遠方に控えている。遠近感ありありの迫力(だけ)ある作品だ。
「じっくり見て、感想を聞かせてくれ。」
 ハンニバルの言葉に、身を乗り出すベッティと、チュウ、そしてペック。
「どう思う?」
 5分後、ハンニバルが問いかけた。
「……難しいわね。」
 ベッティが首を捻る。
「俺は、これ、本物だと思う。出た場所にも信憑性があるし、青の使い方は晩年の北斎そのものだし。」
 と、フェイスマン。
「ふぅん、そちらさんは?」
 ハンニバルがチュウに振った。
「……難しいですね、痛んでもいるようだし、ちょっとこれは、判別が……。」
 チュウは言い淀んだ。贋作である可能性を否定する要素が、どうにも見えてこないのだ。だが、誰も見たことのない絵画の贋作が存在するだろうか……。
「あたしは、本物だと思うね。」
 と、チュウの迷いを見透かしたようにハンニバル。
「この作品の存在については、研究者の間では噂になってた。ベッティ、そうだろ?」
「……噂はね。葛飾で1枚あってもおかしくないとは言われてたし。でもどうかしら……?」
「あー、もういいよ、みんな迷ってるなら、俺が買うから! 俺は自分の目を信じるね!」
 と、フェイスマン。
「あたしも、買い、だな。認知が広がれば、値段も上がりそうだし。既存の三十六景作品の評価も上がるだろう。で、クルマさん、いくらで売りたいんだ?」
「イクラデ、ハンバイ、スルカ?」
 コングが、たどたどしい日本語でマードックに問いかける。
「ニセンヨンヒャクナナジュウエーン。」
 マードックが日本語で答えた。
「8万ドルだそうだ。」
 コング、きっぱりと誤訳。
「8万ドルだと!」
「8万ドルだって!?」
 大袈裟に驚くハンニバルとフェイスマン。
「いやはや驚きましたね。浮世絵1枚に8万とは。」
「その金額では俺もちょっと……。バラカスさん、4万に負からないか、クルマさんに聞いてくれ。」
「ディスカウント、ああん?」
 コング、それ英語。
「それを言っちゃあ、おしめえよ。マーケマーセンー、ビタ! イチモンモ!」
「負けろとはいい根性してんじゃねえか、8万からビタ一文も負けねえからな! って言ってるぜ。」
「……わかった、5万なら出そう。訊いてくれ。」
「ディスカウント、ああん?」
「ノー!」
「ノー! って言ってるぜ。」
「5万2000なら……。」
「ノー! ハチマン、バイ・キャッシュ!」
「……って言ってるぜ。」
 葛飾北斎の親戚と同業者2人のやり取りを聞きながら、ジミー・チュウは計算を巡らせていた。……自分の審美眼は、この浮世絵は贋作であると言っている。だが、同業者が2人、本物として、少なくとも5万で買おうとしている。……ということは、ということは……これが本物であろうが偽物であろうが、あの田舎社長にはわかるはずがない! よし! 出た、結論!
「8万で買います。」
 チュウは静かな声でそう言った。
「8万だと?」
「言い値で買うってのか、あんた!」
「はい。こんなに貴重な作品、1万2万の違いで争うなんて野暮ってもんでしょう。クルマさんが仰る通り、この『葛飾賑之図』は、私が8万ドルで買います。」
「現金でよ? 俺っち、もう日本に帰らなきゃいけないから、すぐ払ってよ?」
 急に流暢な英語になってマードックが問う。
「少々お待ち下さい。」
 チュウは部屋の電話を取ると、コンラッドの名刺を取り出して、ダイヤルを回した。……出ない。一度受話器を置き、もう一度かけ直す。20コール待っても、やはり出ない。仕方ない、立て替えておくか。どうせ8万ドル払っても、20万ドル入るわけだしな。チュウは、そう考えると、持ち歩いているアタッシュケースを開け、帯のついたままの100ドル札を8個取り出して、マードックの前に積んだ。詐欺師とは言え、美術品を扱う身としては、10万程度は常に持ち歩いているのだ。
「領収書、宛名いかがいたしましょう?」
 マードックが、にこやかにそう言った。最早、日本語訛りですらない。
「宛先は、上様でいいです。」
 この時、現金を得たミスター・クルマのみならず、同業者2人も、通訳も、ベッティも、チュウ以外の全員が笑顔であることに、もうすぐ手に入る12万ドルを思って舞い上がっていたチュウが気づくことはなかった。



〜7〜

 翌日、コンラッドと連絡がつかなくなったジミー・チュウが、名刺の住所に行ってみたところ、そこにコンラッド邸はなかった。代わりにあったのは、児童公園の公衆トイレ。
 その日、公園に遊びに来た親子は、滑り台の上にいつまでも座っている寂しい大人を見たと言う。



 チュウから払われた8万ドルは、ジェイク爺さんを始めとする、ジミー・チュウ(ジャッキー・チョウ、ジュリアン・チャン等、偽名多数)に贋作を売りつけられた素人美術愛好家に返還され、残った1万ドル弱はAチームのクリスマス資金になったのであった。
【おしまい】
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