44号 おわりの挨拶


The A'-Team



 お楽しみいただけましたでしょうか。
 それではまた、冬にお会いしましょう。



【おしまい】









次回予告

「フェイスです。今ちょっと取り乱してたところなんで。」
 乱れた髪を直し、黒縁眼鏡をツッと押さえる。
「いつものことじゃん。でも一応聞いてみる? 何で取り乱してたかってさ。」
 マードックがコングを振り返った。
「(いかにも面倒臭そうに)どうした、フェイス。またオンナが鉢合わせでもしたってえのか?」
「まあそういうことも時々あるけどね。時々じゃないか、しばしば? でも、そんな些細なことじゃないんだ!」
「じゃあ、30日前の牛乳飲んで腹が痛いとか?」
「あ、あぁ〜ん、近い! ……と言いたいところだけど、ちょっと違います。ヒント『地球滅亡』。」
「まーたストックウェルから厄介な指令が来たのか?」
「そう思う? ……ちょっと違います。ヒント『人類の危機』。」
「地球滅亡だか人類の危機だか知らねえが、大の男がわたわた慌てやがって、目障りだからどっか余所でやれ、余所で!」
「地球滅亡とか人類の危機とかいうレベルの話、おいらにゃ荷が重すぎるぜ。もちろん、フェイスがここで取り乱したって何の役にも立たないだろ? 言ってみれば、役立たず?」
「うっわ−、何そのいきなりの上から目線。役に立たないって、俺が取り乱すと喜ぶご婦人方がゴマンといるんだからなっ!」
 そこに御大登場。真剣な面持ちで足早に部屋に入り、ソファにどっかと座り、頭を抱えて動かなくなる。
「おいモンキー、こりゃ冗談じゃ済まなさそうだぜ。」
「フェイスからかってる場合じゃねっかも。」
 わらわらと駆け寄るコングとマードック。
 力なく顔を上げた御大がぱくぱくと口を動かした。
「……。」
「何だ? 聞こえねえよ。」
「……が来るんだ……。」
 ハンニバルが力なくそう呟いた。
「来る? 何が来るってんだ、デッカーか!?」
【編注・ストックウェル登場後はデッカー来ません。】
「もしかして、このアジト、もう当局に囲まれてるとか!?」
 コングとマードックの言葉に、ハンニバルは顔を上げた。
「……来るんだ……あ……小豆が……。」
「小豆ぃ?」
「小豆だとォ?」
 素っ頓狂な声を上げるコングとマードック。
「オニワソト(←節分のこと)で撒くのは大豆だっけ?」
「何か小豆の妖怪がいたよな、それか?」
「あ、小豆っ……今どこまで来てるの!?」
 ハンニバルに取りすがらんばかりに取り乱すフェイスマン。
「わからん。今日、何時になるかわからんが、ここに届くと、さっき運送会社から電話があった。ここでは困る、と言い終わらないうちに電話を切られて、その後、繋がらない。」
「よかった、まだ届いてないんだ。」
 心底ホッとしたように息をつくフェイスマン。
「一体どういう状況なんでい?」
「そんなヒントばっかじゃわかんねって。」
 事態がさっぱり掴めないコング&マードック。
「事の発端はこれさ。」
 フェイスマンが懐から封筒を取り出した。
 差出人はエンジェルことエイミー・アマンダー・アレン。恐る恐る受け取ったコングが、中から便箋を取り出す。
「親愛なるみんな。夏バテしてない? 退屈で死にそうになってるんじゃない? そこで私が一肌脱いで、夏バテも退屈も吹き飛んじゃうステキなものを送ります。楽しみにしててね!【編注・飯塚昭三氏の声で。】……何だこりゃ、ステキなものって、小豆か?」
「小豆だ。」
「小豆なんだ。」
 ハンニバルとフェイスマンが声を揃えた。
「いいじゃねえか、小豆くらい来たって。そんなもん、台所に置いとけば。」
「……60トンも来るんだ。」
「60トンだとォ? そんなこと、どこにも……お、まだ次のページがあんのか。」
 と、便箋を繰るコング。
「ええと何だ、納品書か【編注・納品されてねえだろまだ】。確かに書いてあるな、小豆60トン。」
「3ページ目、もーらいっと!」
 コングの手からマードックが便箋を奪う。
「えー何々。次回、特攻野郎Aチームは『フェイス、取り乱す』、『小豆と砂糖とハンニバル』、『コング、ひと夏の思い出』の3本です。お楽しみに! ふんがっふっふ。」
 引っ手繰った3ページ目をコングに奪い返され、口に詰め込まれたマードックであった。



かき氷はやっぱり宇治金時?


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