49号 おわりの挨拶


The A'-Team



 お楽しみいただけましたでしょうか。
 それではまた、夏にお会いしましょう。



【おしまい】









次回予告

「おう、コングだ。前回の件でフェイスの奴がアユとかいう魚追っかけて、シマントーとかいうとこに行ったまんまなんで、俺が代理を務めるぜ。」
「おいらはフェイスとコングちゃん、どっちについてくかちょっと考えたんだけど、コングちゃん1人になったら寂しくて死んじゃうかもしんないし。」
「別にてめえがいなくたって、寂しくもなきゃ死にもしねえ。むしろ、そうやって手伝いもせずにいられる方が邪魔なくらいだぜ。」
 と、仕事の手を休めずにコングが言った。
 バタン。ハンニバルがドアを開けて顔を覗かせた。
「さっきフェイスから電話があったぞ。帰るに帰れないから予告やっといて、だそうだ。」
 そう伝えると、ハンニバルはドアを閉めた。
「あれ、大佐ってばフェイスと一緒に行ったんじゃなかったん?」
 マードックが閉じたドアとコングの顔に視線を往復させる。
「行ったけど、すぐ帰ってきたぜ。アユ釣りで腰をやられたとかでよ。見たところ、ピンピンしてるが。」
「あー、厭きちゃったってわけか。大佐、あんま魚好きじゃねっし。んで、シマントーってどこなんよ? シェナンドー川の辺り?」
 おおシェナンドー、こころのかーわー♪ と音程外れのボブ・ディランを口ずさむマードック。
 バタン。
「馬鹿を言うな、魚は好きだ。ナマズとかエビとかナマズだったらな! ついでにシマントーは世界の果てだ!」
 扉を開いて言いたいことだけ言い放ち、ハンニバルはバタンと扉を閉じた。
「ナマズはともかく、エビは魚じゃねえだろ。」
 コングは、マードックの歌を止めようともせず、袋貼りの手も休めずに呟いた。
「うん、虫だよね、エビとかカニはね。ところで、世界の果てって、マジでどこにあんの、シマントーは。」
 Don't they know it's the end of the world♪ と音程外れのスタンダードを口ずさむマードック。
 虫じゃねえ、という言葉をコングは飲み込んだ。言っても無駄だ。マードックは地球儀をくるくると回しているが、シマントーは載っていない。
「果てってえからには遠いんだろうねえ。言葉も通じないかもしんない。酸素もないかも。住んでる人、足が8本あるかも。」
 Fly me to the moon and let me see among the stars♪ と(以下略)。
 バタン。
「酸素はあった。言葉は通じる奴にはまあ通じた。足の数は知らん。」
 バタン。
「何なんよ、大佐は。ドアの前でずっと聞き耳立てて出番待ってるわけ? 話は聞かせてもらった、ってさ。」
 首を傾げるマードック。
 バタン。
「気にするな。腹具合が悪くて厠に常駐しているだけで、盗み聞きなんかしとらんよ。」
 バタン。
「便所のドア、使用中に開けんなよ。それに、会った奴の足の数くらい覚えとけってんだ。」
 小声で呟いたコングが、ふと手を止めた。既に貼ってある袋がある。その上、その袋の中には紙も入っている。コングはニヤリと笑った。
「来たぜ、予告。」
 封筒から紙を出して開き、読み上げる。
「“やあ、フェイスです。この手紙を読んでいるということは、僕はもう、そこにはいないってことだね。”……何だ、フェイスの奴からのメッセージか。」
 と、その時、宅配便到来。段ボール箱を受け取ったマードックが早速開梱。
「フェイスから何か届いたぜ。」
「アユか?」
「うんにゃ、ウドゥンだってよ。ああ、こりゃあパスタだね。ウドゥンって言うくらいだから、木からできてんのかもなあ。」
 既に茹でられて1食分ずつ真空パックされたうどんを箱から取り出すマードック。
「じゃあ、昼メシはそのウドゥンとかいうのに決まりだな。」
「オッケー。で、そっちのメッセージは他に何て?」
 マードックに促されて、コングは2枚目の紙を見た。
「何々……“さて次回のAチームは、『フェイス、世界の果てからこんにちは』、『ハンニバル、エビはおやつに入るか考える』、『その頃のコングとモンキー』の3本です。”だそうだ。」
「ふんがっふっふ。」
 真空パックを引き裂いてうどんにかぶりついたマードックが、コシの強いうどんを喉に詰まらせ、本気で悶え苦しみ始めた。


さて、ここで問題です。シマントーの名産品でないものはどれでしょうか。

  

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