こども名作短篇集 第4回配本 『人買いマッシミリアーノ』 (イタリア)
| マッシミリアーノ(仮名)は、でっぷりとしたおなかと、いやらしげなヒゲと、なんとなくあたまがよさそうにみえなくもないメガネとがトレードマークのおとこです。 かれは、まずしいちほうの、まずしいわかものを「いいしごとがあるよ」とさそって、とおくのさかえたまちにつれてきては、きついしごとや、こどもにはちょっといえないしごとをさせるので、「ひとかいマッシミリアーノ」とよばれていました。 きょうもマッシミリアーノは、もうわかいとはいえないおとこをひっかけました。なにもしらないせいねん(わらい)は、すこしきんちょうしながらも、あたらしいしごとをたのしみにしているようです。 |  人買いマッシミリアーノと犠牲者 | |
|  犠牲者をいたく気に入り、喜ぶマリオ | マッシミリアーノは、きょうのえものをまっすぐに“おとくいさま”のところにつれていきました。 この“おとくいさま”のなまえはマリオといい、マッシミリアーノがつれてきたせいねんを、たかいおかねでかいとってくれるのです。もちろん、マリオのきにいったせいねんでないと、かってもらえませんけどね。 ながいつきあいから、マッシミリアーノは、きょうのえものがマリオのこのみにぴったりだ、と、かくしんしていました。でなければ、こんなおとこをひっかけたりしません。 おもったとおり、マリオはひとめでせいねんのことがきにいり、たくさんのおかねをマッシミリアーノにはらってくれました。 | |
| おかねをもらってほくほくしているマッシミリアーノのところへ、べつのおとこがやってきました。かれは、さきほどマリオのところにうられていったわかもののおとうとです。 「おれにもしごとをくれ!」 かれは、あぶないめをしていました。まるでやくぶつちゅうどくしゃのようです。 こわくなって、マッシミリアーノはけいさつをよびました。けいさつがくるまで、マッシミリアーノは、しにものぐるいでにげまわりました。このくにのけいさつは、すぐにはきてくれないのです。 でも、さいごには、このおとこはけいかんにふくろだたきにあって、うごかなくなりました。 マッシミリアーノは、おれいに、けいかんにおかねをあげました。 |  犠牲者の弟(ヤク中?) | |
|  仕事欲しさに故郷を捨てた金髪の青年 | マッシミリアーノのうわさをきいて、じぶんからやってくるわかものもいます。きょう、マッシミリアーノにあいにきたのは、まずしいみなりをしたわかものでしたが、かれは、きれいなきんぱつをしていました。きんぱつのわかものは、たかくうれるので、マッシミリアーノはえがおでいいました。 「きみには、すぐに、いいしごとをしょうかいしてあげよう。」 わかものは、さっそく、けいやくしょにさいんしました。 かれを、どれだけたかくうるか。だれが、たかいおかねでかれをかってくれるか。それがたいせつです。マッシミリアーノはぶかに、きんぱつのわかものをほしがっているおかねもちをちょうさするよう、めいれいしました。 | |
| マッシミリアーノのいう「いいしごと」は、さいしょにいったように、けっして“いいしごと”ではありません。 マリオのところにうられていったわかものは、あたまがおかしくなって、せいしんびょういんにいれられてしまいました。 あたまがおかしくなっても、まだつかえるようならつかってやろう、とおもって、マッシミリアーノはせいしんびょういんにめんかいにいきましたが、わかものは、マッシミリアーノがだれかわからないぐらい、あたまがおかしくなっていました。 しんせつでやさしいマッシミリアーノは、わかもののあたまをなでながら、かれのおとうとがけいかんにふくろだたきにあったことをはなして、びょういんをさりました。もう、このおとこは、ようなしです。 |  精神を病んだ若者を見舞う | |
|  獲物を探す2人 | しばらくすると、マリオからくじょうがきました。マッシミリアーノがうりつけたせいねんが、すぐにくるってしまったからです。 「またまた、ひどいことさせたんでしょう?」 マッシミリアーノはいいましたが、マリオはしんけんなかおで、ひていしました。 「だいじにだいじに、かわいがってやっただけなんだがなあ。」 きっと、かわいがりすぎてしまったんでしょうね。どうやってかわいがったのか、しりませんが。 マリオがあたらしいどれいをみつけるようせっつくので、マッシミリアーノはマリオといっしょにまちにでました。 ちょうど、うしろのほてるで、おかねもちのところにうられていったきんぱつのせいねんが、きょうようされるこういにたえられず、じばくしました。 こうしてマッシミリアーノは、にちや、ひとだすけをしているのでした。 |